何かのイベントが始まったらしい。
かゆい……うま……
桜と女性神官の争いは、一時中断となった。
理由は、女神像の足元に隠し倉庫があったからだ。
女性神官に見送られて、桜は倉庫の中へと入っていった。
「……神の御加護を」
女性神官がそう言うと、隠し倉庫の扉がゆっくりと閉まっていった。
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視点・フレン
「結局、このクエストってクリアした奴いるんだっけ?」
ギルドにて、最近唐突に出た【闇神の真実】というクエストを受諾しながら、最近良く組むパーティーメンバーに聞いてみた。
「情報を見る限りじゃ、受諾して終わりらしいぞ」
「それ以上の情報は皆無といっていいかもね」
覇王と勇者のコンビがそう言った。
やっぱそうだよな……どうしたもんか?
ちなみに、クエスト内容はこうだ。
◇◇◇
限定クエスト【闇神の真実】0/3
教会の存在しない闇神について探れ!
1.情報を集めよう!【未達成】
2.???【未達成】
3.???【未達成】
◇◇◇
まず教会が無いことに驚愕だよ。
情報って……どうやって探せと?
「皆なんか知らね?」
「知るわけないニャ」
「私も知~らない」
「……さぁ?」
「我がアカシックレコードにかの情報は存在しないようだ」
「そう言うお前はどうなんだよ?」
「フレンドに聞いてみたけど、何も知らないって~♪」
「あぁ~やっぱか……桜にテルしてみるか?」
桜にフレンド通信をしてみる。
……………出ないぞ?
テルの仕方知らないっけ?
何故出ない?戦闘中?
いやいや、桜なら戦闘中だろうと出れるはずだ。
ん~わからん。
「桜、光神教会いるって言ってた」
「あ、それ私も聞いた」
「そう言えばそんなこと言ってたニャ」
え?それ俺聞いてな……いや待てよ、リアルの方でメールが送られてきたような……適当に流し読みしてたから、憶えてねぇ。
『……リア友じゃないの?』
「……さて、光神教会に行こうか」
俺は何も悪くない!
ちゃんと会って話さないからこうなるん……最近学校でほとんど寝てたな、俺……
ま、まあ!過ぎたことを気にしてもしょうがないよな!うん!さぁ行こう!
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視点・スカイ
というわけでやってきました光神教会!
桜君いるかな~♪
教会へ入ると、いつぞやの女性神官が女神像を見上げて祈りを捧げていた。
なんというか……凄い絵になる。
「すいませ~ん」
「はい?何かご用でしょうか?」
「桜君いませんか?」
「桜さん、ですか……さぁ、わかりません」
「あれ?」
じゃあ何処にいるんだろう?
後ろにいるフレン達に振り返って、桜君がいないとジェスチャーで伝える。
伝わったのか、皆残念そうな表情だ。
その中で一切表情を変えずに、私の隣に移動してきたアリスちゃん。
「どうしたの?」
「……知らないではなく、わからないと言った。何故?」
……それに違いはあるの?
あ、あれ?なんか、空気がギスギスしてきてない?
「特に理由などありませんが?」
「……今日、桜が此処に来たはず。何処?」
「わかりません」
「……桜は此処で何をしてた?」
「わかりません」
「……貴女は、本当に此処の神官?」
「お答え出来ません」
「……」
「……」
……後ろに下がりたい。
チラッと見た背後のフレン達は、三歩後ろに下がっていた。
オノレ!
「……貴女、桜の敵?」
「いいえ」
「なら、私達の敵?」
「……」
神官さんのニコニコ笑顔がより深くなる。
え、え、何?凄い怖い。
ダレカタスケテ。
アリスちゃんが自身の武器である群青色のハルバートを構える。
神官さんが首にかけていた十字架のネックレスを自身の前に逆さに掲げる。
何で戦おうとしてるのこの二人!?
フレン達が止めろとジェスチャーで伝えてくるが、無理に決まってんでしょ!?
「よっと!お?戻ってこれた」
睨み合っていた二人の間の床から桜君が現れた。
いや、何処から出てきてんの?
「ん?皆何してんの?」
「えっと、ちょっと桜君に用があって……」
「俺に?」
桜君は床の穴から這い出て私の前に立つ。
何を話せばいいのか、わからないよ。
此処は適当に話を繋げよう!
「と、ところで、その下って何かあるの?」
「この下?闇神についての簡単な説明かな?」
『それちょっと詳しく!!』
今欲しい情報ピンポイント!
流石桜君!私達に出来ないことを平然とやってのける!!そこに痺れる憧れるぅ!!
「この下には石板がいくつかあって、それに闇神について書かれてた。闇神は命を司る隠された神族って書かれてたな。他にも書かれてたんだけど、スキルとかそういうのが無いと読めないっぽかった。あと、死神は闇神じゃないぞ。まあ、こういう問題の答えを無条件で教えるのはフレン達の楽しみを奪うことになるから、何の神かまでは言わないけど。あと、下はトラップ満載だったな」
「そこの親切心はいらん!!答えプリーズ!!」
「なら明日の宿題の答えはいらないな」
「やっぱり自分で探すのがゲームの醍醐味だよな!!……それで、明日の宿題ってあったけ?あるなら、ほら、ね?」
フレンこの野郎。
全員でフレンをゴミを見る目で見つめる。
「あ、いや、これはね、あれなんだよ」
「捥げればいいニャ」
「消えろ」
「死にさらせ」
「失せろ」
「自分だけ得するとかふざけんなカス」
「奈落に堕ちるがよい」
「……アホ」
フレンがorz化したけど、全員それを無視。
そのまま沈んでしまうがいいわ。
「ところで、桜君って今まで何してたの?」
「此処の整理」
桜君のその答えに私とアリスの動きが停止する。
それってつまり、シスターさんと二人っきりってこと?
シスターさんを見ると勝ち誇った顔をしている。
へーふーんそう。
「「OHANASIシヨ?」」
「話し?別に良いけど?」
『うわー』
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視点・タマさん
桜は女誑しニャ。
間違いないニャ。
ていうか、NPCすら落とすってスゲーニャ。
母親も落ちてそうでコエーニャ。
「しっかし、これからどうするよ?」
「地下に行くしかないんじゃね?」
「でも、スカイの話じゃ死神がいるんだろ、この教会」
「深淵の底で魂を狩る者に出会えば、それすなわち死であると予想しようではないか!」
「この子の言い回し鬱陶しくなってきたんだけど」
てゆうか、いつまで私は付き合えばいいんだニャ?
そろそろ店を開きたいんニャけど。
帰っていいかニャ?
……というか、付き合う理由もニャいし、帰るニャ。
何か言うと止められるのが目に見えてるから、黙って帰るニャ。
アディオス!ニャ。
今日のGM・・・ただし飲み会
「今日も一日お疲れ様でした~かんぱ~い!」
『かんぱ~い!』
「社長!一週間ぶりぐらいに会社から出た気がするッス!」
「気のせいだ!」
「社長!一日20時間労働はブラック過ぎます!」
「気のせいだ!」
「社長!ここの払いは!」
「私だ!」
『ゴチになります!』
「そう言えば、最近死神狂いはどうよ?」
「フッフッフ……桜君ならすぐにアノ死神クエストをクリアして……クフフフフフ、フッハハハハハ!!」
「……あ、こいつ酒弱いんだった」
「ウッディ!!カバディカバディカバディ!!」
「ちょ、こいつ早!?誰か止めるの手伝え!!」
「ハハハ、良いぞもっとやれ~生追加~」
「もう少し静かに飲めんのか……」
「夢だけで飯が食えるか!!パウッ!!勇気とは何か!!それは、恐怖を克服すること!!全裸で何が悪い!!」
「こいつマジで脱ぎやがった!?」
「恐怖うんぬんより羞恥心を持てよ!?」
「もう誰にも止められないぃぃぃぃぃ!!!」
「ほいメリケンサック」
「フンッ!!」
「ヘブン!?」
「よし、改めてかんぱ~い」
『かんぱ~い』
「AMSから、光が逆流する……ギャァァァァァ!!!」
「社長、こいつに一週間ぐらい休暇を」
「許可する」