PVPイベント開催らしい。
予選編だよ!
PVPイベントはまだ終わらないよ!
「イベントやろうぜ!」
「課題終わったらな」
「うがぁぁぁぁぁ!!!ゲームやらせろ!!」
「課題終わったらな」
「俺は、家に帰るぞ!椿!!」
「じゃあ、俺も帰るわ」
「すいません、真面目にやります」
現在椿は、友人に課題を教室に残ってやらせている。
英語の課題を忘れて、今日中に忘れた課題+αをやることになったのだ。
椿は手伝ってるだけ。
「あぁ~しんどいな~そういえば、今日の午後6時にイベントあるらしいぜ~」
「そうか、そこスペル間違ってる」
「マジで?……噂によると今回のイベントはPVPらしいぞ?」
「なにそれ?」
「プレイヤー同士のバトルってやつだな。βの時もやったけど、結構技量ある人出てたぜ?お前は出るか?」
「ふむ……特に予定もないし、出るかな」
「マジか……誘っておいてなんだけど、手加減しろよ?」
「なんで?」
「やべ、これミスったわ」
首を傾げる椿を見て、友人は額を抑えた。
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友人が課題を終わらせ、帰宅した椿はいろいろやってギリギリ午後6時前に桜としてログインする。
どうやら、今回のイベントは広場に出てきた転移ポータルに触れて行ける場所でおこなうようだ。
この転移ポータルは、今回のようなイベント限定で機能するモノで今回の場合は触れると闘技場のようなところに転移される。
桜は他のプレイヤーと同じようにポータルに触れ、闘技場の方へと転移する。
転移した後、少し周りを見渡してからイベント参加をしに受付へ向かう。
「参加ですか?」
「あ、アイリさん」
「はい、アイリです♪」
「イベント参加でお願いします」
「了解しました、少々お待ちくださいね……はい、登録完了です。選手控室でお待ちになっていてくださいね?」
「わかりました」
「あの、頑張ってください……応援させていただきます」
「ありがとうございます」
桜はアイリに微笑み控室へと向かう。
イベント観戦のプレイヤー達に大打撃を与えつつ、イベント参加を果たしたのだった。
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イベントが始まる。
闘技場の中心にある舞台に、一人の男性プレイヤーが立っていた。
マイクを片手に観客席を見まわす。
そして、マイクを使って話し始めた。
「レディースアンジェントルマン!これ一回言ってみたかったんっすよ!さぁ!今宵ついに始まりました!PVPイベント!!司会を務めますわ、GMの雑用係!キャラ名を死神ラブ♪というっす!よろしく!!」
雑用係の部分で笑っている者と、笑いながら「よろしく~」という者で観客席が埋め尽くされていた。
数秒待ってから、また話し始めた。
「よっし!じゃあ、待つのも面倒だろうからとっとと始めようか!今回のイベント参加者は120名!!予想以上の大集合っす!!50人ぐらいだと思ってた自分はもうすでにめんどくさい!」
『頑張れ~』
「やる気ない応援ありがとうさん!人数が多いとトーナメント形式が取れないっすから、デスマッチ形式で人数を減らそうと思うっす!!30人一組で、この舞台で最後まで立ってた2名がトーナメント出場者っす!!文句あるっすか!?」
『ないで~す』
「オッケイ!じゃあ、さっそくランダムに30人入場っす!!」
選手達が入場し、PVPイベントが始まった。
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桜は最後の組だったようで、前の三組はすでに終了した。
他の29人のプレイヤーと一緒に舞台へと上がる。
桜は特に考えず舞台真ん中に立つ。
司会者は最初の予選の時点で、観客席の方に造られてある司会席に座っていた。
「では、第4試合!始め!!」
司会の開始の合図とともに、プレイヤー達が動き出す。
桜はなんとなく、他のプレイヤーを観察する。
斬りかかってくる者も魔法を使ってくる者も、全部無視しつつも回避しながら観察する。
観察の結果、桜は一つの結論に至った。
「死神の方が強いな」
当たり前である。
そんな結論に至った桜を余所に、一際激しい戦闘が行われている場所で一人のプレイヤーが叫ぶ。
「無駄無駄!俺の防御の前でお前等の攻撃なんか無駄なんだよ!!」
重鎧で全身を包み大盾と長剣を持った、超重装甲のプレイヤーが他プレイヤーの攻撃を全て受けカウンターで沈めていた。
桜はそれを見て、溜息を吐いた。
死神が相手だったらあんな重そうなの邪魔でしかない、そう思ってしまう。
だからなのか、攻撃してくるプレイヤーを避けながら重装甲プレイヤーへと近づく。
自身に近づく桜に気が付いた重装甲プレイヤーは、桜の武器を見て鼻で笑った。
「ハンッただの初心者が俺に向かってくるとは、身の程知らずが!!」
桜は初心者棍をその手持っていた。
棍で戦ったらカッコ良さそうという理由で、結構なプレイヤーが初心者棍を持っているのですぐにわかるのだ。
重装甲プレイヤーは初心者の無駄な攻撃が当たった瞬間、カウンターを決めるつもりで構える。
その構えは、武器の間合いや相手の動きを一切考えていない隙だらけの構えだった。
しかも、桜のことを初心者と侮っているので、他のプレイヤーへ視線が行ってしまっている。
桜は棍を地面に叩きつけ、その反動で跳ね上がるのと同時に棍の先端を重装甲の無防備な顎に振り上げる。
ほんの数センチ、重装甲が浮かび上がる。
すぐに武器を格闘用に変え、重装甲の顔を掴んで跳ねる様に地面に叩きつける。
ドンッ!という音を響かせ、重装甲の体が十数センチ浮かび上がる。
桜はその場で一回転と同時に、武器をハンマーに変えて重装甲の背中にハンマーを叩きつけて上に跳ばす。
双銃のリボルバーに武器を変えて、合計12発を交互に真上に撃つ。
何時の間にか、他のプレイヤー達が桜の行動を注視して戦闘をやめていた。
そんな周りのことなど気にせず、撃ち切った銃を【大鎌・孤独】に変えて首を斬り落とした。
首と体が地面に落ちてすぐにポリゴン化し、敗者エリアへと転送される。
桜は武器を大剣に変えて、背後から斬りかかってきたプレイヤーを弾き飛ばす。。
それが合図になったのか、舞台上のプレイヤー全員が桜へ殺到する。
「ふぉぉぉぉぉ!!!まさかまさか!自分がこのゲームで一番注目しているプレイヤーの桜君だ!!他プレイヤーがまともにダメージを与えられなかったプレイヤーを瞬☆殺!!プレイヤースキルが違い過ぎるぅぅぅ!!!そして桜君を脅威と見なした他のプレイヤー全員が桜君へ向かって行くぅぅぅ!!いや、一名隅っこに退避していますね!汚い!!プレイヤー名曝しちゃる!あのプレイヤーは、フレン選手だぁぁぁぁぁ!!!皆さんブーイングの準備!!」
『ブー!!卑怯者!!』
『フレン戦え!!』
「ちょ!?お前等ふざけんな!策士と呼べ!」
『策士(笑)』
「すげぇイラッと来た」
そんなやり取りをしていたら、フレン以外のプレイヤーが桜によって首を落とされたのだった。
その瞬間、トーナメント出場者が確定した。
「いよっしゃぁぁぁぁぁ!!トーナメント出場者の決定だぁぁぁぁぁ!!一名汚い策士(笑)がいるが、どうせ桜君にヤられるのが落ちだぁぁぁ!!」
「それ俺のことだろ!?」
「どっかのフレン選手は置いといて!トーナメント表の発表だぁぁぁ!!」
一回戦、レミエール・S・K・ルシフェルVSジャンヌ・ダルク
二回戦、勇者VSアリス
三回戦、フレンVS覇者
四回戦、アッシュVS桜
今日のGM
「うわ~あのバカ楽しんでるな~」
「……超羨ましい」
「なんであいつだけ……終わったらブッコロ」
「皆さん落ち着いて……彼の夜食でも食べましょう」
『賛成』
「働きたくねぇ~」
「俺も遊びてぇ~」
「彼氏欲しいなぁ~」
「何でもいいので仕事してください」
『えぇ~』
「……」