武器を集めてみた。
書いといたのを一日おきに投稿してみる。
他にすることないし。
早くアットノベルスに復旧して欲しいもんだね~
ギルドに着いた桜は早速武器を手に入れようとしたが、どうすればいいのか分からずウロウロする。
そうしていると、一人のNPCが話しかけてきた。
このゲームではNPC全てにAIが組み込まれていて、感情表現豊かに反応したりしてくれる。
モンスターにもAIが搭載されているが、基本的にボスモンスターしかまともな思考をしない。
そして、ギルドのサポートNPCであるアイリは、ギルド内で初めて見るプレイヤーの桜が何をするでもなくウロウロしていることから、どうすればいいのか分からないのだと判断して話しかけた。
このゲームでなければ、桜は永遠とウロウロしていた可能性があるだろう。
「どうしましたか?初めての方ですよね?良かったらご案内しますよ?あ、私はアイリといいます」
「ご丁寧にどうも。自分は桜です。えっと、武器を手に入れるにはどうすればいいんですか?」
「それでしたらこちらです」
アイリはそう言って桜の手を掴み、受付に連れて行く。
その際、ギルド内の半数以上のプレイヤーが嫉妬と憎悪の視線を桜に向けていた。
が、パッと見美人の桜だったので、すぐにその視線も消える。
アイリはギルドのアイドルで、いつも笑顔で小動物の様に動き回り、守ってあげたくなる可愛らしさを持つ少女だ。
そんなアイリには、βテストの時に結成された【アイリちゃんを見守る会】というレギオンが張り付いていたりする。
レギオンとは複数人で結成するチームの様なもので、普通は一人一レギオンにしか所属できない。
ただし、【アイリちゃんを見守る会】といった戦闘などと関係無いレギオンは、他のレギオンに所属していても入れるようになっている。
その代わり、【アイリちゃんを見守る会】に入っている状態で【ラミアたんのおっぱいハァハァ】や【巨乳エルフもいいが、貧乳エルフもまた良し!】に入ることは出来ない。
このようなレギオンをノーレギオンと言う。
ちなみに、ノーレギオンにまともな名前は無い。
「こちらの中から選んでください。人気所だと……王道な剣とか魔法を使える杖とかですね」
「なるほど。ん~剣かな?」
剣道なら授業でやったから、何とかなるかなと思って剣を選ぶ。
死神に剣道で挑んで、勝てるわけは無いが。
「では、ギルド裏にある練習場に行ってください」
「わかりました」
練習場に行き、ムキムキおっさんに話しかける。
このおっさんはラッテスといい、冒険に役立つことをいろいろ教えてくれるのだ。
例えば、町近くの魔物の弱点や攻撃方法、ポーションレベル1の材料などを教えてくれる。
ポーションには、いろいろ種類がある。
HPを回復するポーションは、初心者ポーションからポーションレベル10まである。
MPを回復するポーションは、マナポーションレベル1からマナポーションレベル10まである。
他にも解毒ポーションや毒ポーションなどいろいろある。
「あの、こちらで剣の練習ができると聞いたのですが」
「ん?おぉ!新人か!歓迎するぞ!俺の名前はラッテス!冒険に役立つことなら何でも教えてやる!」
「いや、あの、剣の練習を……」
「まあ、教えてやれることなんて初心者が知らないようなことぐらいだがな!HAHAHA!」
「……」
「それで!今日はどんな用だ!何か聞きたいのか!それとも、武器の練習か!」
桜は立て掛けてあった木剣を手に取り、ラッテスに振り下ろした。
慌てて避けるラッテス。
「あ、あぶねぇだろ!?いきなり何するんだ!俺が何をした!」
「剣の練習をしようかと」
無表情で、只管ラッテスに木剣を振り下ろす。
ギャーギャー叫びながら逃げ惑うラッテス。
実に高性能なAIだ。
「ほ、ほら!コレやるから勘弁してくれ!」
桜は練習剣というのを貰った。
だけど、桜の手元には何も無い。
当然の事ながら、アイテムインベントリを開いてアイテムとして出すか、装備しなければ使えない。
「何かくれたのか?」
「もしかして、分からんのか?」
「何が?」
「ふむ……ステータスを呼び出してみろ」
よく分からないが、言われた通りにステータスとやらを呼び出そうとする桜。
すると、目の前にいろいろと文字と数字の書いてある画面が現れた。
ステータスを見ないで、インベントリを開く。
練習剣を見つけたので、選択して装備する。
すると、腰に剥き出しの剣が現れた。
「そうそう。コレで初心者からルーキーだな!」
「同じじゃないかな?」
「そうか?まあ細かい事は気にすんな!これからも頑張れよ!」
桜は武器を手に入れた。
なので、死神に向かって走り出す。
今回も運が良いのか悪いのか、一切敵に遭わずに死神を見つける。
そして、桜は剣を手に襲い掛かった。
◇◇◇◇◇
◇◇◇◇◇
◇◇◇◇◇
◇◇◇◇◇
◇◇◇◇◇
「勝てない……」
結局、一回も攻撃を当てられずにKILLされた。
当然だ。
何が足りないのか考える桜。
レベルが足りないことに気付かないのは、ゲーム経験皆無のせいだ。
友人の予定では、ゲーム内で合流してから一緒に雑魚を狩りながらいろいろ教える筈だった。
予想外にも、桜が死神に魅入られてしまったが故に、教えるのを諦めてしまったのだ。
なので、レベルの事を教えてくれる者はいない。
「そうか!攻撃できる範囲が足りないんだ!」
そういう結論になった。
と言う訳で、またギルドに行く。
なるべく、あの死神と同じかそれ以上の範囲を攻撃できる武器を探す。
候補は、槍、ランス、大鎌、鞭、弓、銃、杖と言った所だ。
弓、銃、杖は除外。
遠距離用の武器を当てられる自信が無い。
ランスは動きが鈍くなるから却下。
残るは槍、大鎌、鞭。
鞭は動きながら使うのには向いていないので、選択肢から外す。
槍が良さそうな気もするが、敵を知ることこそが最大の弱点。
だから、大鎌を取る事にした。
訓練所で練習。
練習大鎌獲得。
練習大鎌装備。
死神に突撃。
死に戻り。
「あれ?」
当たり前の結果に少し驚いている桜。
だが、今回は驚いている理由が少し違った。
攻撃を防げたのだ。
一回だけだが、防ぎきれた。
もう一度挑戦する。
また一回防げたが、殺される。
少し考えて、装備を剣に変えてもう一度挑戦。
一回も防げないで、殺される。
「……めんどくせぇ!」
大鎌を装備して、剣をアイテムとして出しながら死神に突貫。
大鎌で一回攻撃を防ぎ、剣で攻撃を当てようとしたが、アイテム扱いで出しているので空振り。
首を飛ばされる。
もう、見慣れてしまった風景を眺めながら考える。
始めから出してると、意味が無い。
なら、戦闘中に装備を変えれば良いのか?
と言う訳で、ちょっと挑戦してみた。
インベントリを開きながら、大鎌を人のいない所で振るい、その直後に装備を剣に変える。
なかなかスムーズに成功。
何度か繰り返してみるが、少し動きが遅い。
頭はインベントリを操作して、身体は武器を振るう。
二つの事をやろうとしているから、少し身体の動きが鈍いと考える。
どうすれば良いのか、今一良い案が浮かばない。
とりあえず、身体を動かす思考とインベントリを動かす思考を同時にする。
ゲームの知識は無いが、桜は天才なのだ。
理論的に出来る事は、何でも出来る。
所謂、思考分割を使えるようになった。
「こんなんか?よし!再チャレンジだ!」
そして死神に切り落とされた。
攻撃を当てられるようになったが、ダメージは1。
このゲームは、当てさえすればどれだけレベルに差があろうと1ダメージは与えられる。
死神のHPは1万前後。
当てただけでは、殺されるに決まってる。
「ぬぅ……勝てない」
とりあえず、戦闘中の武器の変更が出来るようになったので、他の武器も取りに行くことにした。
弓や杖といった遠距離用の武器以外を獲得する。
種類が多く、2時間ほど掛かった。
一回死神に試してみて、なかなか良い感じだったようだ。
普通に殺されていたが。
今日はコレぐらいで終わらせるようで、ラッテスから習ったステータスからログアウトを選択。
実は、ラッテスに遭わなかったらログアウトが出来なかった可能性のある桜だった。
今日のGM
「ラッテスが襲われてる……」
「さっきの死神の子じゃないか。八つ当たりか?」
「あ、ステータスの操作方法教わってる。んん?なんでまた森に?」
「死神に突っ込んで、死んだな」
「今度は大鎌か。取るの早いな」
「また死神に挑んで……今、防がなかったか?」
「……一回だけですけど、防いでましたね」
「剣の方をアイテム化して突っ込んだ。お、惜しい!?」
「武器を変えてますね。あ、また死神の所に行った」
「う、嘘だろ?初心者がなんで死神に一撃与えられるんだよ?ありえん!」
「これは、期待してもいいっすか!?あのアイテムや称号が出るのを、期待してもいいっすか!?」
「キャラクターネーム・桜か……よし、明日からしっかり監視しておくように!他の奴には気付かれるなよ?うるさいからな」
「了解!」