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アップデートしたらしい。

何も、思い付かなくなってきた。

それでも、頑張る。

でも、レベルは上がらない。


ちなみに、次回はスレですよ~

現在、学校で友人と情報交換と言う名の情報提供を受けている椿。

特に聞きたい訳でもないので、適当に聞き流している。

それでも、言われた内容はいつでも思い出せる高スペック。


「アップデートの内容なんだが、これまた面倒なのでな~武器の種類が増えるらしいんだよ。何で正式サービス始まってから?っていうのが、プレイヤー連中の反応なんだよね。運営も何がしたいんだか。あぁ、あと職業も増えるらしい。隠し職業とか言うので、それぞれの条件を満たすとなれるらしいんだ。勇者とか魔王なんて職業在ったりしてな」


只管友人が喋り続ける。

そんな二人に近づく男子がいた。


「何の話してんだ?」

「んぁ?なんだ、モブか」

「モブじゃねぇよ!悖敍(もとのぶ)だよ!中村悖敍!」

「うるせぇよモブ」

「この野郎!」


二人のやりとりをよそに、椿は本を読み始めた。

何故かこの教室にだけ常備されている紅茶セットで入れた紅茶を飲みながら本を読む姿は、実に絵になっている。


「ゲームの話だよ、ゲーム」

「マジで?だって、椿ってゲームするイメージ無いんだけど」

「よくわかったな。でも、VRだから椿超強いわ」

「あぁ~なんかわかる気がするわ。リアルチートだもんな」

「リアルチートだからな」


そんなことを言われている椿は、いつの間にかいなくなっていた。

二人がそのことに気がつくのは、休み時間終了後だったりする。


「じゃあ、なんてゲームなんだ?」

「【名も無き英雄の伝説】ってVRMMORPGなんだが」

「本当に?それならアネキがやってるわ」

「え?何その偶然怖い」


昼休み終了のチャイムが鳴り、二人は椿が消えていることに気がつく。

椿は、教師と一緒に教材を持って教室に入ってきた。


「「え?何時の間に?」」


そんな学校生活だった。




◇◇◇◇◇

◇◇◇◇◇

◇◇◇◇◇

◇◇◇◇◇

◇◇◇◇◇




家に帰った椿は、宿題などを終わらせてゲームにログインした。

特にゲーム内でする事がないので、エリーゼに鉱石を届けにいくことにした。

すでにログインしていたようで、いつも通り客がいない。


「エリーゼ」

「ほぇ?あぁ!桜君!」

「トレードで、ほい鉱物」


桜はごく普通に、エリーゼに鉱物を譲渡する。

最初は喜んだエリーゼだが、譲渡された鉱物を見て


「やった!桜君ありがとう!あれ?これって……」

「+付きだけど、無い方が良かった?」

「えっと……あった方がいいけど、幾らした?」

「28000L」

「高!?トッププレイヤー並の稼ぎじゃない!?」


このゲームの売り値は、買い値の1割と酷いのだ。

だから、ひたすら金が貯まりにくい。

これ故に、プレイヤー同士での売り買いトレードが基本になっている。

当然桜は、そんなこと知りもしない。


「資金ができたら買いにくるよ」

「いやいやいやいや!こんなの渡されても代金払えないよ!それに、私が使うと勿体ないし……」

「貰った武器のお礼だと思ってくれればいいよ。それに、エリーゼの作った武器、使い易いしね」


桜は不安そうなエリーゼに、優しく微笑む。

エリーゼは慣れたのか、僅かに顔を赤くしただけに留まっていた。


「うぅ~じゃあじゃあ、明日また来て!どうせ、私の作った武器なんて桜君しか使わないし、桜君のお金だし、桜君用の武器作っとくから!!」

「それはありがたいな。でも、お金いいの?」

「いいの!それに、これだけでも経験値凄いし」


この時桜は、経験値のことを技量のことだと解釈している。

エリーゼが経験値ではなくレベルと言っていれば……

とりあえず、桜はエリーゼと別れてギルドに向かう。

新しい武器とやらを手に入れるためだ。


「あ、桜さん。早速ですか?」


クスクス笑いながら、アイリは新しい武器の練習クエストを提示してくれる。

桜は苦笑しながらクエストを見る。

扇、三節棍、鎖鎌、ブーメラン等があるようだ。

鎖鎌から取ることにした桜。


「はい、このクエストですね。難しいらしいですから、頑張って下さいね!」

「了解した」


アイリに微笑まれながら見送られる桜。

そんな桜がギルドからいなくなると、男達から声にならない嫉妬の悲鳴が上がった。

そんなプレイヤー達を見つめて、アイリは苦笑したのだった。




◇◇◇◇◇

◇◇◇◇◇

◇◇◇◇◇

◇◇◇◇◇

◇◇◇◇◇




「ラッテス、逃げるなよ。訓練にならないだろ」

「逃げるに決まってんだろ!?」


桜はいつもの様にラッテスを的にし、練習用鎖鎌を振り回す。

ラッテスは、桜が来た瞬間逃げようとしたから、今追いかけられている。

鎖鎌はまるで生きているかのように動き、ラッテスの前を塞ぐように動いたり、左右から挟むように動いたり、明らかに初めて使った武器の動きではない。

その上、桜自身は歩きながら鎖鎌を操っている。

遠距離や中距離用の武器は、使うことに集中しないといけないことが多く、動きながら使えるプレイヤーはまともにいない。


「もう勘弁してくれ!!」

「う~ん……まあ、大分使えるようになったし、今回はコレぐらいでいいか」

「はぁはぁはぁ……桜、お前が嫌いになった」

「そう言えば、新しい魔法覚えたんだよ。【ファイアーボール】っていうのなんだけど……掌から出すのが一番簡単だったんだ」

「……な、何が言いたい?」

「顔掴んで使うとどうなるのか、試してもいい?」

「ホントもうなんでもしますから勘弁してください」

「そうか……残念だ」


悪意の欠片も無く、純粋にどうなるのか試したかっただけのようだ。

それが余計に怖いのだが。

桜はラッテスから初心者用鎖鎌を貰って、鎖鎌の練習クエストを終わらせた。

ちなみに、鎖鎌を取ろうとしたプレイヤーが数名いたが、まともに使えず断念している。

数分で自在に扱える桜の技量は、異常の一言。

ギルドに戻り、次はブーメランの練習クエストを受ける。

ブーメランは熟練度が10になると二つ、20になると三つと同時に使える数が増えるようだ。

ただし、風向きや投げたブーメランが戻ってくるタイミング、どんな風に投げるかなど、かなり工夫が必要な武器のようだ。

とりあえず、練習ブーメランと初心者用ブーメランをラッテスから奪い取り、桜は死神へ挑みに行くことにした。

そんな桜を追いかける、男一人女二人の三人組がいたのだった。




◇◇◇◇◇

◇◇◇◇◇

◇◇◇◇◇

◇◇◇◇◇

◇◇◇◇◇




木の上から死神を見詰める桜。

忘れていたであろうアビリティー【眼力】を使い、かなり離れたところから死神を見据えている。

手に持つ武器は、エリーゼの作った弓矢【木漏れビ】。

そして、スキル【スナイプアロー】を発動する。

【スナイプアロー】は通常の倍以上の距離に矢を飛ばせるが、システム補正が飛距離にかかるので当てられるかはプレイヤー次第になることから、使う者はいない。

矢が放たれた瞬間武器を大剣に代えて、木から飛び降りつつ後ろに振り向く。

死神が一瞬で桜の背後に現れ、桜の首に鎌を振るう。

死神は、初撃を与えたプレイヤーの背後に一瞬で移動し、首を狙ってくる。

分かっていたとしても、普通のプレイヤーはまともに反応できない。

廃プレイヤーでも、スキルを使って防ぐので削り殺される。

だが、桜の場合は常人以上のリアルスキルを持ち、この死神の攻撃に慣れたことでスキルも何も使わないで防ぐ。

桜は吹き飛ばされながら武器を鎖鎌に代えて、着地と同時に真横の木に絡める。

死神へと鎖をのばし、わざと弾かせてさらに木に巻き付ける。

更に鎖を投げて、木に巻き付ける。

鎖が光り、魔法陣(・・・)が発動する。


「【ライト・ストライク】」


陣詠唱のデメリットは、途中で中断するとまた陣を書かなくてはいけないことだ。

そして、メリットは本来なら使用できない魔法を使用することができることだ。

ライト・ストライクは、陣こそ複雑ではないが陣自体がかなり大きい。

それ故に、普通の戦い方で陣を書くとなると、極端に成功率が低下する。

桜は、そんな陣を武器を使って描いたのだ。

まさしく裏技のような方法といえる。

というか、運営側もこんな方法で魔法が使えると思っていなかったりする。

魔法陣から放たれる光が、空へと登り死神を飲み込む。

桜は、この程度で死神が終わると思っていないので、追撃の為にブーメランを両手に出し、左右に投げる。

光が収まった瞬間、鎖を動かして死神の首に巻き付ける。

死神は弱点属性をもろに食らったことで、二秒間気絶状態になっていた。

鎖を思いっきり引いて、頭をローブのフードから引き摺出す。

このタイミングで、思考詠唱で魔法の準備をする。


〈小さき火の光よ〉


露わになった死神の頭部は、左上に亀裂が走り、赤い光が目から溢れ、黒いオーラを纏っていた。

その露わになった頭部に、左右からブーメランが激突する。


〈その光にて、燃やせ〉


顔への攻撃に怯んだ一瞬の隙を突き、顔面を掴み【ファイヤーボール】を発動。

本来の【ファイヤーボール】の詠唱は『小さき火の光よ』だ。

何故桜はわざわざ長く詠唱したのかというと、MPの問題だったりする。

いくら陣詠唱で魔力の消費を抑えていても、初期状態で使える魔法ではない。

桜が発見したことだが、詠唱を本来よりも長くするとMP消費がかなり減る。

ただし、詠唱がちゃんとしていないと、威力が半減したり、魔法自体が発動しなかったりする。

とまあ、あとは何時も通りのギリギリの戦い。

だが、今回の戦闘で死神のHPを1割削りきったのだった。

この結果、とある称号を手に入れたことを、桜はまだ知らない。




◇◇◇◇◇

◇◇◇◇◇

◇◇◇◇◇

◇◇◇◇◇

◇◇◇◇◇




「TUEEEEE」

「流石死神初心者さん!萌え~」

「うっわ……アレ人間かよ」


チャットしながら隠れている女子と記者っぽい服装の男女の三人が桜の戦闘を観察していた。

そして桜が負けて、死神が三人を見る。


「……オワタ\(^Д^)/」

「……めっさ見られてる」

「……当然っちゃ当然だな」


当然、三秒ともたず死に戻ったとさ。

今日のGM


「桜君キタ!!」

「なんだあの動き!?」

「そんな魔法の使い方が!?」

「……男三人で何を興奮してるんですか?正直気持ち悪いです」

「興奮するなという方が無理ですよ!!徹夜でパソコンはキツイッス!!」

「この為に俺とこいつがどれだけ苦労したと!!武器のグラフィック超大変だった!!」

「無理矢理付き合わされた俺の事も考えて言え!!クエスト増やすのメッチャ辛かった!!」

「……先輩。あの三人が、只管キモイです」

「あらあらまあまあ~きっと楽しいことがあったのよ~」

「はぁ、どうでもいいですけど、臭いです。お風呂入ってますか?」

「「「イヤッホゥ!!」」」

「もうどうしようもありませんね」

「あら~?どうしましょうか~?」

「私達は次のイベントのことでも考えましょう、先輩」

「そうね~考えましょうか~」

「桜君COOL!!」

「そこに痺れる!憧れるぅ!!」

「誰かわかんねぇけど、マジ最高!!」

「あらあら~」

「……教官」

「よし来た。シバいてくるわ」

「「ギャァァァァァ!?」」」

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