4、しいなその2
しいなその2
「お前さ、さっきから吸いすぎじゃない?」
手厳しい指摘にも私は負けない!
「大丈夫、今日は1ミリだから」
「あのさ・・・・そういうハナシじゃなくない?」
そう言ってため息をついたあんたも、さっきからひっきりなしに
シガレットケースに手が伸びてますけど?
って言いたかったけど、言わない。
私のことを心配してくれてるのは、伝わってきたから。
「慎司さぁ~~ん」
「なんだよ」
「慎司さんの灰皿も、山盛りになってまーーすよん♪」
やっぱり言っちゃった。
良く思われようとすると、自分の首が絞まるだけだから。
自然体だよ。思ったことは言わなければ。
「ふっふふ。俺はいーーーーの!!!」
そう言って、慎司さんは口の端でタバコをくわえて、目を細めた。
ん~いい表情!!!
「かっこいい~!!!」
思わず出てしまった本心。
まあ、私なんて軽口女だから大丈夫。
金髪の私と、黒髪ロン毛の慎司さん。
名駅のファミレスで浮いてるかな?
カップルに見えてるかな?
慎司さんは年中Tシャツと、ジーパンと、黒縁眼鏡がトレードマークだけど
今日は珍しく襟の開いたカットソーを着ていて、
鎖骨フェチの私にはたまらなかった。
「はは。お前調子乗るとすぐ言うよな。」
あきれた調子で言われると
どMの私はグッと来る。
だから、本心が見えないように、私は心を隠す。
「慎司さん、あの子、来ますかね?」
「大丈夫。ギリギリまで悩んでたみたいだけど、俺らのこと悪い奴だとは思ってない」
「そうですか・・・。じゃあ、もう一本吸っちゃおー!」
「お前女なんだから大概にしとけって。」
店のドアが開いて、店員の掛け声が聞こえる。
「お、来たんじゃねーの?」
「おーいこっちこっち」
久しぶりに会った明菜ちゃんは、
少し暗い表情をしていた。
かわいそうに。