1、明菜
最悪な気分だった。
カレシの優と
”今日、行けなくなった。ワリィ”
のメールを最後に連絡がとれないから。
「集合時間すぎてんじゃん・・・」
”なんで?!”
”てか、もう金時計にいるし!!”
”メール返事ください”
イライライラ
返事が、来ない。
金時計の長針、半分進んだみたい。
「今日はショッピングでもして帰るか・・・」
今日は付き合って3ヶ月の記念日だったのに。
サイテーー
初めて優にこんな強いイラ立ちを感じた。
名古屋駅の待ち合わせスポット。
金時計前を立ち去ろうとする私は
学校帰りの制服のままで、
さっきから何人からか、変な視線を感じる。
エンコー親父か
エロエロキャッチか
あるいは勧誘。
自然に足取りは速くなる。
スタスタスタ
トントン
肩を叩かれ、振り返る。
「すみませ~ん♪」
そこには、金髪のショートカットのお姉さんが立っていた。
なんだ、美容師のキャッチか。
無視して立ち去ろうとすると
お姉さんはかぶせて話しかけてきた。
「あのっ、フフフ。この辺で、タバコっフフ吸えるとこないですかねフフ」
ラリってる。
怖い怖い怖い
「私未成年なんでわかりません」
なるべく刺激しないように、
本当のことを答えた
「そうかぁ~ざんねんだああああフフフ。あ、あなたカレシのことで悩んでる?」
「?!」
「カレシね、たぶん外せない用事が入っちゃっただけで、なんにも悪気はないと思うよフフ」
「え、あの・・・・」
「すみませ~ん!この辺でタバコ・・・・」
聞き返す間もなく、
お姉さんは去っていった。
変な人!
美人だったけど、あれは薬中か、精神的にイッちゃった人かな?
怖い怖い
名古屋駅って変な人多いもん、気をつけなきゃ!
でも、カレシのこと・・・・
????
その日は、パッセをぶらぶらして
帰り道美容師のキャッチに声かけられて
帰宅して終了した。
お風呂に入ってる間に
優からメールが来てた。
着信も入ってた。
”ごめん、急にバイト先から呼び出されて、
今日バイトになっちゃったんだ。
メール一通入れるのが精一杯だった。
ほんと、ごめん”
当たり障りない返事をして
ケータイを閉じて
考えたのは、金髪のお姉さんのことだった。