七本目
「『神』と呼ばれた男は現実を見てしまった理想主義者だったんだよ。」
守霧はため息をつきながらそう言った。ちなみに、成城はお茶を入れ終えお茶菓子の準備をしているようだ。言われる前に行動する副官として破格の人材だろう。
「現実を見てしまったってそうなる以前の『神』を親父は知っているのか?」
「知っているとも、一応月に一、二度あって遊ぶような間柄だったからな。」
「まったく想像できませんね。」
「そらそうだろ。まぁその後、たまたま仲間内の一人が提唱した神州世界対応論ってのを政府と天皇家に了承をもらって行動に移したんだよ。知ってんだろ神州世界対応論とそれを実行した神州世界対応作戦、地脈大改造計画のこと。」
「一応。」
「こんな時代であっても日本が世界に多大な影響力を持っている原因でしたよね。」
「その通りだよ。」
百夜は累の答えに満足そうにうなずいた。
『神州世界対応論』それは
地脈の相において、日本は世界の相を持っている。日本の形状、神州は世界の大陸と対応する。ということを大前提として考え各地を
樺 太 ~ 中央・南アメリカ
北海道 ~ 北アメリカ
東北地方 ~ シベリア
関東地方 ~ 中央・東南アジア
中部地方 ~ 北・西アジア
近畿地方 ~ アラビア・東ヨーロッパ
中国地方 ~ 西ヨーロッパ
四国地方 ~ オセアニア
九州地方 ~ アフリカ
沖 縄 ~ 南極大陸
本州東北から中部はアジア東側。東北沿岸がロシア。富士山はチョモランマを顕し、千葉は東南アジア。関東平野は中国、伊豆半島はインド。近畿は中東であり、紀伊半島はアラビア、中国地方はヨーロッパ、四国はオーストラリア、九州はアフリカであり、北海道は北アメリカ、樺太は南アメリカである。そして沖縄は南極大陸とされる。
というように仮定する理論であり、その理論を利用し、世界の地相を持つ日本は世界の中心である。故に日本の地脈と世界の地脈を密接に接続して活性化し、操作することで今後の世界の趨勢を左右する計画が神州世界対応作戦である。
「ま、今では多少の誤差があるけどね。」
と、昔に思いをはせていても
「そんなことより、そのあとどうなったんだ?」
彼の息子は空気をあえて読まないようだ。
「じゃあ、話すよ?
『神州世界対応論』を利用して地脈の活性化による該当地域の活性化のために日本の各地と世界各地をリンクさせる作業を『神』と【八席 四王 十二柱】のうちの八人の計九人で行われたんだ。」
「【八席 四王 十二柱】っているっていわれてるけど実際誰も見てないんじゃなかったんじゃないの?
。」
「確かに噂は聞きますけどガセだって言われてますよ。」
「いるよ。たとえば、第一特務のレム・F・スタンピートが【八席】の第七席だったりするからな。」
ブウゥゥゥゥゥゥゥゥ
「なんだい?言うな否やお茶を噴き出して汚いなぁ。」
「「あったり前でしょう(ですよ)!あんな問題の塊のような奴が【八席 四王 十二柱】ぅ?」」
「【八席 四王 十二柱】なんて皆大なり小なりそんなんばっかだよ。
ところで、それは置いといて本題は『崩天』そして『大望』とは何かだったね?」
「ああ、でもどうして『神州世界対応論』なんて古い代物が出てくるんだ?今じゃ世界各国と日本の依頼で【六角天】統括しているんじゃないのか?」
「確かにそうだけど、お前は質問してばっかだね………よし、累ちゃん添削の時間だ。推測でいいからなぜか話してみな?百夜よりいい答えを出してもらえるように期待してるよ。」
少し考えるそぶりをしてからあらかじめ答えは決まっていたとでも言うかのような素早さで答え始めた。
「地脈をリンクさせる時に首領と『神』で行った際に地脈を通して【セカイ】に何らかの干渉を受け、手にした〝力〟それが『崩天』に繋がったからでしょうか?」
守霧は面食らった表情で話した。
「ほぼ正解だよ。一個違うのは【セカイ】にじゃなくて【セカイ】からなんだけどそこは置いておこうか。」
男は一瞬ためを置いて言い放った。
「本題を言うけど、『崩天』とは
そこに在ってそこに無いそんな場所で行われる【世界再生】の儀式
その際に世界崩壊を手段としているのが『崩天』だ。」
そして、と続けてこうも言った。
「『神』が目指した【世界再生】は≪セカイの恒久的平和≫だったんだよ。」
_____結論。世界の真実