零本目
特に意味は無い零本目です。
空を高く感じる秋の夜空。
まるで本物のような立体映像の空に浮かぶ月に照らされているここは海抜2000メートルの上空に半球からさらに下の部分を四分の一ほど切り取ったような形で浮かぶ科学と神秘と世界法則で造られた都市『東京圏上空浮遊都市』通称『新東京』の第三階層にある歓楽街エリアと企業エリアを結ぶメインストリートの一つ。
まだ、残業している人々がいると思われるビルから漏れる蛍光灯の光やまだ営業している店の明かりが窓ガラスによってまるで真ん中を中心に割れたかのように光を反射されている。
そんな中でたむろしている数人の若者の中心で一人の金縁で彩られた法衣を着た男が熱弁を振るっている、
“私達が今住んでいるこの世界は主たる神の神罰によって滅びた。”
“しかし愚かな生き残り共が主たる神を殺してこの世界を創り直してしまった。”
“私達は主たる神のためにこの世界を壊し主に捧げなければならない。”
しかし、それを聞いても若者達はこう返す。
“うん。それで?”
今は『崩天事変』から七十九年も過ぎている。『崩天事変』はほとんどの人間が知っているし、そんなに恐怖もない。
何よりここは空中都市『新東京』。此処にはもっとネジのぶっ飛んだ奴が居るのだ。その程度笑われてしまう。
これは崩れてもう一回作り直した世界の人々の営みの記録である。
結論------ハジマリ