十本目
遅くなりました
場に緊張した空気が流れテーブルを囲んでいる三人が合図を受けたかのように同時に動いた。それはまさしく一致だと言えるほど揃っていただろう。
「「「ロイヤルストレートフラッシュ!」」」
___それが賭事(イカサマあり)で無ければ。
というか貴様ら仕事はいいのか?
後ろに拳を振り上げた侍女服の女性が顔に青筋浮かべながら笑っているぞ?
ゴンッ!!
あーあ、いわんこっちゃない。
_____三分cooking!じゃなくて三分後
「全く痛いじゃないかリンダこの俺様の偉大な脳味噌が不具合を起こしたらどうするんだい?」
このいかにもウザそうな奴はグライド=ファナルディ。W.RSSクラスである機動殻装備槍使いの全領域近接戦闘術師。
「っち、さっさと死んだら良かったのに。」
こっちの毒舌侍女服娘はアリアロード=リンダ。グライド=ファナルディの公認嫁であり、毒舌家の全方位全術師。
「ファルが死ぬべきだという意見には賛成するけど北京上空浮遊都市まであと三時間もあるんだぜ?暇つぶしぐらい必要だろ。」
「うん、あれが死ぬのはどうでもいいけどヤマトは私を蔑ろにした罪で締め落とすよ?」
「流石白峰嫁、過激だな。」
「百くんも一緒になって遊んでたでしょ~?それと人の振り見て我が振り直せって諺知らない~?」
「ハッハッハ。知っているに決まっているじゃないか。それがどうかした?」
「うん、死ね。」
こっちの方がもっと過激だった。
因みに嫁に締め落とされているのが白峰大和で【六角天】第一特例空戦中隊である『ウイング中隊』隊長を勤める格闘系近接全術師兼、機神乗り。
締め落している側が白峰嫁である榊原神津。【六角天】白峰と同じ『ウイング中隊』副隊長を勤める機動殻装備銃を使う遠近両用戦闘術師兼、機神乗り。
最後の二人のうち過激な方が塔霧累。殲滅術師兼予報士。主に使う武器は機動殻装備銃と固有能力。
最後の一人は吉田百夜。
以上。
「あれーーーー!?俺のとこだけ説明軽くね!?」
「「「「当たり前だろう。」」」」
「百くん空気を読もうよ~」
百夜はほっといて、
_____W.Rとは
世界を一つの競技場として見て個々人の戦闘能力の高さをF~SS+までの19段階に分けて記すやり方(FとEは二段階他は三段階)。上記以外にも“記すことさえ憚れるモノ達”通称アウトランカーと呼ばれるモノ達が居る。
このカテゴリには【六角天】の【二十六文字】の上位以上の人間が当てはまる。他には【江戸教導院】学長 絹原 災蔵や≪企業連盟≫の盟主 コール・オーコナーなどの戦闘能力がずば抜けて高いが基本的には温厚な人物から≪斬敵≫加賀山 樹などの存在自体が災害扱いされる危険人物まで層が厚い。_____
_____機動殻装備槍とは
機動殻武装のうちの槍版。機動殻により素体より攻撃力、耐久力、持久力が上昇している。また機動殻武装系統の中では最も多くの小型循体燃料槽を内部に仕込んでおくことが可能(量産型に限る)。_____
_____機動殻武装とは
当初は携行兵器で機神、M.FやA.Tに対抗するために作られたものだったが、【19年事件】を機に対【異体】兵器としての側面が強くなり、現在では対【異体】兵器認識されている場合が多い。通常武装を改造して素体とし、その上に機動殻を付けることで完成する武装。機動殻のタイプは大まかに分けて重機動殻化と軽機動殻化の二種類があり、素体に最適化させた後、各々が細かな調整を施して自分専用にする。_____
_________二時間後_
『ただ今当艦は神龍回廊を抜け、中華統一連邦安全保障領域に入りました。なお、北京上空浮遊都市所属の北京中空港に入港するまで三十分ほどかかります。では皆様、本日のご利用まことに有難う御座います。残りの航行をお楽しみください。』
と。アナウンスが流れ、掲示枠にもその言葉と共に現在位置の案内が表示されている。
_____回廊とは
回廊は【異体】やE・ジャマー・クォーツに【解体戦争】によってそれまでの最速移動手段だった飛行機が安全に使用できなくなった(【解体戦争】による影響は企業側が解体した領域のみ)のに代わり、速度は劣るが耐久性、対ジャマー等が勝っている空中航行艦が台頭したが、それでもいちいち相手をしていると、キリが無いため航空系企業と各国が共同で世界各地に作ったもの。
【異体】を避けるために作ったのに稀に内部に【異体】が入り込んでくる回廊がある。(例:神龍回廊、ノースアイランド回廊等)
神龍回廊は出雲~北京を結ぶ回廊。_____
「あら?もう着いたの?案外何も無く着いたのですね。」
「この馬鹿どもは結局ずっとポーカーをしてたしね。」
この嫁どもあれから休憩しては凹って、休憩しては凹ってを繰り返したらしい。
下で伸びている旦那どもも学習しなかったのか?
「うーん、実は一回だけ龍型【異体】に襲撃されそうになったんだけどねー。」
この嫁いきなり問題発言かましやがった。
「えっ、でも襲撃警報一度もなりませんでしたよ。」
「そこで百くん達の話になるんだけどー、【異体】って言っても突き詰めれば循体の集合体が意識を持っただけでしょー。それに回廊に入ってくる奴なんて循体攻撃による防御なんて紙みたいなもんだってしってるでしょー?」
「「うん/はい」」
「だからワザと航行に支障の無い威力でもって循体攻撃をしてたんだと思うよ~。」
「じゃあ、ポーカーをしてたのは?」
「特に関係無いと思うよ~」
はい、私刑フラグ入りましたー。
________北京中空港__
そこには一般の観光客などに混じって、たんこぶを三つほど重ねた男達とその近くにいる女達が話し合っていた。
「やはりボケ術式は偉大だな。展開している限りあらゆる攻撃をツッコミとして処理して肉体への負荷を可能な限り抑える。やはり偉大だ。」
「しかし私はあまり好かないな。今回みたいにダメージが限界値を越えるとこのコブのように襲いに来るからな。」
「恩恵に預かっときながらなに言ってんの?このダメ亭主。」
「あっ、貴様ダメって言ったな?ダメっていったやつがダメなんだぞ。や~いダメ人間~。」
ブチッと見事に頭の血管が切れたような音と共に白峰と百夜が術式を起動させていた。
「起きろ、『鋼楼』」「『剣よ 剣よ 我に歯向いし愚者を潰せ』」
「あっ、あれ~?二人して何をそんなにマジになってるのかな~?」
「『鋼楼』Full Burst」<イエス、マスター>
「原初の剣よ。」
「ね、ねぇ、や、やめないか?まだ任務まえだぞ。ん?」
「「貴様に」」<Full Burst!!!>「「言われたくない!!!!」」
「オーバーフロウ!」「吼えろ!」
________三分後
そこには復活したグライドを含め全員がふざけた顔ではなく、真剣な様子で百夜の話を聞いていた。
「じゃあ予定道理に白峰と榊原は空中都市防衛管理局に行って【異体】退治をよろしく。」
「おう。」「任されたよ。」
「俺達はまずは北京上空政闘院へ向かい其処で今回の怪奇事件の詳しい資料や話等を聞いてからパートナーと移動を開始だ。いいな?」
「おっけ~」「ウム」「分かったわ」
「じゃあ何か大きな事件が発生したら連絡するように。以上解散。」
_____怪奇事件とは
通常では考えられない異常な犯罪もしくはそれに準づる危険行為。などを示す。_____
それまでの怪奇事件の中でも一、二を争うイカレタ事件の解決はこうして始まった。
_____結論:解決への一歩
読者の皆さんが思いついた能力、道具などあったらぜひ教えて下さい。