最終報告書 ―マーリス―
魔女協会長殿
秘宝「インメンターレ」盗難事案報告書
事案番号:第一〇五二九号
記述者:マーリス
調査場所:ロンソリーニ王国王宮内
首題の件、最終報告をいたします。
一.経緯
舞踏会の出席者を調べ始めたところ、騎士団に認識阻害の影響が濃いことが判明。詳細調査しようとしたところ、キーレの笛が鳴る。呼出地点へ急行するも、すでに騎士団長が被疑者を拘束していた。
秘宝「インメンターレ」を取り戻し、ロジーナを協会へ連行した。
ニ.尋問内容
ロジーナはもともと精神干渉魔法を持っており、協会の事務員を操って秘宝管理室を開けさせ、インメンターレを盗んだ。
目的は騎士団長との恋愛関係構築であった。
ロジーナは街中で騎士団長に一目ぼれして、精神干渉魔法をかけたが反応がないことに腹を立て、インメンターレで騎士団長にさらに強力な精神支配魔法をかけようとしたらしい。
三.所感
秘宝を私的感情のために使用した点は極めて遺憾である。いくら感情のままに生きるのが魔女だとしても軽率すぎる。
また、驚くべきことに、騎士団長は完全にロジーナの支配下に置かれることはなく、自力で精神支配を打ち破った。
このことにより、強力な精神干渉魔法であっても、最終的な選択に至る領域までは完全に支配できないことが確認された。
人間の心の強さにはいまだに驚かされる。
一方、私のかけた『条件付衣服転移魔法』は双方の意思が明確に一致した時点で、自然消滅が確認できた。
人間の感情は依然として非合理である。その最たるものが恋愛で、魔女でさえも制御できない。しかし、それは同時に強力な原動力にもなりうるのだ。
本件はその一例と記録する。
以上




