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世界を救うには切り捨てが必要らしいけど、俺は拒否することにした ―切り捨てない選択をしたら、誰にも歓迎されなかった  作者: 深影シオン
第2章 切る者たちに、追われて

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幕間 王は、世界を信じていない

 玉座の間は、静まり返っていた。


 高い天井、磨き上げられた石床、壁に掲げられた歴代王の紋章。

 だが、そのどれもが、この場の緊張を和らげることはなかった。


「……確認は取れたのか」


 王は、玉座に深く腰掛けたまま言った。


 声は低く、感情がない。


「はい」


 答えたのは、黒衣の文官だった。

 神殿の白とも、騎士団の銀とも異なる色。


「大神殿が追っている“鍵”は、

 確かに実在します」


「使えるのか」


 即座の問い。


 文官は、ほんの一瞬だけ言葉を選んだ。


「使えます。

 ただし――」


「条件がある?」


「はい。担い手の意思が、障害になります」


 王は、鼻で笑った。


「意思?」


 玉座の肘掛けに、指が打ちつけられる。


「世界を左右する力に、

 一個人の感情が介在するのか」


 嘲りにも似た沈黙。


「ならば、排除すればいい」


 誰も、驚かなかった。


 文官が続ける。


「現在の担い手は、

 極めて非戦闘的。臆病者です」


「都合がいい」


 王は即答した。


「折れやすい」


 騎士団長が、一歩前に出た。


「殿下。

 神殿は“管理”を主張しています」


「管理?」


 王の目が、細くなる。


「あれは、神の言葉だ」


 玉座の間に、冷たい空気が流れる。


「神は、いつも世界を理由にする」


 王は、立ち上がった。


「だが、国が滅びるとき、

 祈りは剣にならない」


 沈黙。


「鍵があれば、戦は終わる」


 王は、地図に歩み寄る。

 幾つもの国境線。幾つもの戦火の印。


「神殿は封じたい。

 闇界は壊したい」


「では、王権は?」


 文官の問いに、王は答えた。


「使う」


 その言葉は、あまりにも明確だった。


「担い手の意思は不要だ。

 必要なのは、持たせる腕と、命令だ」


 騎士団長が、深く頭を下げる。


「誰を向かわせますか」


 王は、少し考えた。


 そして、名を告げる。


「ヴァルド家の残党を呼べ」


 その名に、空気が変わった。


「……没落した家系です」


「だからいい」


 王は冷たく言う。


「忠誠と、後悔を同時に持っている」


 文官が、理解したように頷く。


「“元・副団長”ですね」


「そうだ」


 王は、最後に言った。


「彼は、鍵の価値を知っている。

 そして――」


 一拍、置く。


「国を救えなかった男だ」


 沈黙。


「行け」


 命令は、それだけだった。


 玉座の間の扉が開く。


 騎士団が動き出す。


 世界を閉じる鍵を、

 世界を守らない者たちが、奪いに行く。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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