水ヨーヨー Ⅱ(養護教諭・純子)(学年委員・凛香)
この章で水ヨーヨーになっちゃう美女、美少女たちが全員でそろいます。
でも私の表現力が拙く実際に美女、美少女たちになっているかどうかはイマイチ……。
予約設定先延ばしすんの忘れてた! 工事中!
十分程前から開け放たれたスライド式ドアの向こうに白衣がきている。
知蓮同様、長い脚を魅せつける驕慢な歩き方をする女だ。木製の床を打つヒールの音がそれを告げていた。
斑田は思う。養護教諭だろうか? なら科学知識も豊富だろうしカウンセラー的技法とオカルトとは両者とも反唯物論、あるいは超唯物論といった点で方法論を共有している。すると何か、所見でも持ってきてたのだろうか? となれば残念ながら、はっきりいって有難迷惑だ。まず鑑識課員たちの職域を犯してほしくないし、そして何より、プライドが高い知蓮との衝突を避けてほしいのだ。
斑田がそんな不安を抱いた理由は先の教頭風の男の少々慌てたような制止の声にある。
「困るよ門脇君ッ、もう刑事さんたちにお任せしてるんだからねッ」
斑田がドアのほうを振り返ると、例の教頭風がそこに背を向けて立ち、さらに、その後ろ姿から白衣の袖や裾がチラチラしていたのだった。
さすがに白衣は鑑識が入っている場所にズカズカ踏み込んでくるようなマネはしなかったが、教頭風の男の慌て様からいって、すぐ一悶着起こりそうな気配だ。
だが間が悪いことに、知蓮の瞑想風現場検証も一段落したようだった。斑田が室内に視線を戻すと、ちょうど知蓮がフッと肩の力を抜き、右手で長い髪をかきあげたシーンだったのだ。
(そういえば鑑識さんたち、彼女のこの仕草も本当は気に入らないんだよなァ……)
とはいえ、でるところはでた長身の女の髪がパッと舞う一瞬は、男である斑田にとってやはりときめきの一瞬だった。
斑田が知蓮のほうに歩み寄ろうした刹那、フッと彼女も斑田を振り返り、そしていった。
「生徒たちは体育館だったな? いこう」
教頭風がドアの前を空け、教室内へと向き直る。同時に斑田の眼に、白衣の全身像が飛びこんでくる。思わず舌を巻いた。
(美人が多い島だな、ここは──。今日は美人尽くしだ。もっとも被害者は東京生まれ……。それにもう美人だのなんだのなんて、いえるような状態じゃなかったけどな……)
ドアのほうへ踏みだす知蓮──。立ち塞がる白衣──。斑田がその直線上に割って入り長身を生かしパーティションになる。
「済いません、通してください」
白衣は譲らない。逆に「どちらへ?」、と眦を吊りあげ訊いてくる。
斑田と白衣とはスライド式ドアの敷居を挟み対峙している。結果、どうしても半歩下がった位置に立つ知蓮だったが、その言葉は相変わらず挑発的だ。
「聴こえていただろう。体育館だ」
「それ、困るんです。事情聴取ってことですよね? でも私の生徒たちはいま、強いショックを受けたまま家に帰れず、凄惨な事件が起こった現場近くに留め置かれている状態なんです」
視線の十字砲火が斑田の背なかと胸とを貫く。だが女たち二人はそんなことにはお構いなしに、舌戦を始めてしまう。
「警察への協力は市民の義務だ。正義の執行を望むなら悲しい、辛いなどといっていられないと学ぶことも、社会勉強ってやつだろう」
「まるでガサツなセカンドレイパーね。それでも女?」
「ああこの通り。セカンドレイプとやらを恐れるあまり警察の性犯罪認知率が二割切ってるって現状は、私にはむしろ、女による他の女たちへの裏切り行為だって思えるね。性犯罪ってのは再犯率が高いってのに、ゲス男どもが野放し状態だ」
どちらかが斑田を押し退けないのが不思議なくらい、二人ともパッとヒートアップしてしまった。
また、「それでも女?」という科白がやはり癇に障ったのだろう? 知蓮が巨乳の胸をグッと反らせる。
観ると白衣のほうもなかなかの巨乳で、ゆったりした布地を押しあげる脂肪の塊りは地味を装いつつボディラインをしっかり魅せている知蓮のそれよりナチュラルに凄いのかもしれない。とはいえ、門脇何さんといっただろうか? その白衣の女は知蓮に対し自分も胸を反らせるようなマネはしなかった。
ショートカットのクールビューティ──。顎の線がやや角ばっているのが逆にチャームポイントだ。
だからというわけではないが、斑田は我知らず、仲裁者的科白を吐いてしまう。
「だったらどうでしょう? 先生にも御同席していただくというのは?」
超能力捜査官の臨場自体そもそもイレギュラーな状態だし、にも拘らず特別な指揮権を与えられている知蓮のような存在は、船舶、航空機のキャプテン同様の地位にある。知蓮の同意さえ得られれば……。ところが──。
「だめだな。教員なんかが同席したんじゃ生徒の側にだっていろんな忖度がでるだろう。それにそもそも、この女が犯人かもしれない」
「なんですって?」
斑田は到頭美人二人の真ん中に突っ立ち、両手で彼女たち二人を牽制するポーズまで取らされる羽目になってしまった。知蓮は相変わらずその巨乳を突きだしているので、何やらディンジャラスな構図である。
斑田にとっては二人とも取り敢えず"先生"と読んでおくのが無難な存在なのだが、白衣の美人のほうの自己紹介を受けていない段階なので、他人行儀ながら知蓮のほうを苗字つきで呼ぶことになる。
「宗像先生、それ、本気でいってるわけじゃないですよね? 先生とはもう長いんで解りますよ。刑事の勘ならぬ超能力捜査官のシックスセンシズってやつでしょ? 先生がそういう絡み方をするときは逆にこの相手は少々弄ったって問題ないってことですよね?」
「お前に何が解る」
さらに白衣のほうも──。
「弄るですって?」
斑田の蟀谷に暑さによるものとはまた違った汗が伝った。
しかし、なんとかして知蓮のほうを説き伏せるしかない状況だ。超能力捜査官の身分というのは法的に実に曖昧で、某特撮番組の科学特捜隊、ウルトラ警備隊並みといっていいようなものだ。とはいえもし“怪獣”が現れたなら、なんらかの実力組織が一枚噛んで対処するほかないのである。
「宗像先生! こうしたスーパーナチュラルな事件自体従来の刑事警察の枠組みを軽く超えてしまっているもので、市民の皆さんからの協力という形で対応するしかないんです。ですがその点ではこちらの先生、えっと、何先生? こちらも自己紹介が遅れてしまいましたが私、警察庁一般事案捜査課の班田直人というものです。でっ、あっ、宗像先生、我々警察側から観た場合宗像先生もこちらの協力者の先生方も対等ということになりまして、それで、あの、まずいきなり生徒さん方の話じゃなく先生方の話をちゃんと腰を据えて伺いましょうよ!」
斑田にとって屈辱だったが、そこで問題の白衣が軽く噴きだしてくれた。
「タイヘンなのね、あなたも──」
「ええ、まぁ……」
……と、
「何ッ?」
最後の反問は当然知蓮だ。
それにしてもこの話、理想的に完結したとしても一体誰得なんでしょうかね?
いや、好きなひとはいるでしょって私は勝手に思ってるんですが……。
まぁ理想的に筆が運んだ場合はって話なんですが……。




