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第35話 かつてそこには


ダンジョンにはダンジョンマスターと呼ばれる管理者が居る。


その中でも特に抜きん出た力を持ち、人類全体に危険を及ぼす恐れがある者を、人々は【魔王】と呼んだ。


しかしながら、未だかつて魔王が世界を滅ぼしたという記録は無い。

魔王が現れる時には決まって【勇者】が現れ、それを駆逐するからだ。


歴史上、勇者が魔王に敗北したのは1度だけ...

その魔王は畏怖の念を込めてこう呼ばれる。


【大魔王】と。


「...つまりこの村は、大魔王のダンジョンだったと。」

「そういう事になるわね。」


アリアさんから聞かされた話は、あまりにも衝撃的な内容だった。


ここイガラシ村は、大魔王のダンジョン【魔王城】の第1階層なのだそうだ。


地下には魔王城が広がっており、今も尚魔物達が跋扈している。

大魔王は1000年前に勇者を返り討ちにしてからダンジョンに引きこもっており、イガラシ村...つまりダンジョンに危機が迫った時にのみ手勢を差し向け防衛するらしい。


昔は地上部分にも巨大都市があったらしいが、その都市は一夜にして姿を消し、今はこの農村が残るのみ。


そして僕たちイガラシ村の住人は、ダンジョンの配下という扱いになり、同じ配下の魔物には襲われないのだと言う。


中々にとんでもない話だ。


「リク君は、魔物だった時の記憶があるでしょう?」

「...えっと。」


話の流れが急に変わった様な気がするが...。

いや、変わっていないのか?


「隠さなくてもいいわ。ごく稀にね、この村ではそういう人が生まれるのよ。ダンジョン内で魂が輪廻してるとかで。」

「......。」

「そういう人は、子供のうちから少し変わってるの。子供らしからぬ発言をしたり、祝福とは違うスキルを使ったりね。」


僕はカエデさんの前で【変身】や【水球】を使っている。

どちらも【大商人】には発現し得ないスキルだ。

カエデさんから話を聞いたのだろう。


本来これらの村の秘密は、成人してから伝えられるそうだ。

今回は非常事態という事で、僕や他の子供達にも伝えられたが、これは異例なのだという。


「そして多分...クルムもそうよ。」

「...え?」


クルムが...僕と同じ転生者?


「親だからね。分かるのよ。多分貴方と同じ日に前世の記憶を取り戻したのね。」

「...。」


言われてみれば心当たりはある。

自分の変化で手一杯で、クルムの事まで意識出来ていなかっただけだ。


「...今日は疲れたでしょう。村の皆も呼び戻すから、リク君も久しぶりに家で寝ていきなさいな。」


ここにいる村人以外は皆、地下に避難しているらしい。

この建物には隠し通路があり、そこから地下へと降りることが出来るそうだ。

地下とはつまりダンジョンの第2階層...。

そこは古代遺跡のような作りになっており、非常時に備えて食料なども備蓄されている。

ダンジョンマスター...大魔王は村人に第2階層までの使用を許しているようだ。


僕はアリアさんの言葉に甘え、アリスガワ家に泊まらせてもらう事にした。


今日は色々あり過ぎて、身体もそうだが頭が疲れた。

今は何も考えずに休もう。

これからの事は明日にでも考えようと思う。



――――――――――



翌朝。

一晩明けて少し頭がスッキリした。

身体の方は相変わらず疲れているが、これに関してはいつも通りだ。

行軍や森を駆けずり回るより、日々の修行の方が余程疲れるくらいである。


「おはようございます。」

「おはよう。よく眠れた?」

「はい。お陰様で。」


1階に降りるとアリアさんが朝食の支度をしていた。

ガイムさんの姿は無いようだが...


「ガイムさんはどちらに?」


まさか昨日の今日で普通に仕事に出かけたのか?

そう思って口にしたのだが、アリアさんは苦笑いを浮かべて答える。


「今日は朝から()()()()ね。」


話を聞くと、ガイムさん含め男衆は、女神騎士団の痕跡を消しに行っているらしい。


それほど数がある訳では無いが、旅人や他所から来た商人がこの村を訪れる事もある。

村に程近い平原で女神騎士団が1部隊丸々死んでいては、大騒ぎになってしまう。


だから『初めからここには来なかった』という事にするそうだ。


うん。

であれば...


「僕も手伝いに行きます。」

「え?」

「僕のスキルはそういうのに向いていると思うので。」


僕は朝食を摂った後、平原に出向いてみる事にした。

アリアさんは僕が転生者であると知っているからか、10歳の子供が遺体処理に出向く事に反対しなかった。


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