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第26話 再会


ようやく会えた。

ただ幼なじみと再会するだけなのに、3日もかかってしまった。

いや、別れてからだと半月くらいか...。


うん。

なんだか感慨深いな。


「ほんとに怪我してるじゃない!何やってるのよ!」

「声大きいって。外に聞こえちゃうよ。」


クルムは僕の居るベッドに近付いて来ると、そんな風に怒鳴った。

さっきの演技には気が付いた様だったが、怪我の方も偽装だと思っていたらしい。


「クルムの方は無事そうだね。ひとまず安心したよ。」

「私は全然安心出来ないんだけど?...はぁ。【ヒール】。」


ジト目と共に手をこちらに向け、治癒魔法を使ってくれる。

しかしヒールか。

リロアさんが使っていたし、これは白魔法だよな?


「...ねぇ、痛がるフリをして。」

「いや実際痛いけど。」

「いいから早く。」

「あ、はい。...ンギィイぃぃぃぃッ!」


治療中に叫ぶとラグナさんに殴られるので、普段は声を抑えているのだが、ご要望とあらば聞かせてあげよう。

僕は腹の底に押さえ込んでいた悲鳴を解放した。


すると、扉の向こうから慌てた声が飛んでくる。


「聖女様!大丈夫ですか!?」

「大丈夫よー!痛みを抑えるためにゆっくり治療するわ!」

「...承知しました!何かあればお声がけください!」


なるほど。

時間稼ぎの為か。


「これでよし、と。...まぁゆっくりやっても相当痛いだろうけどね。」

「慣れてるから大丈夫だよ。ありがとね。」

「慣れてるって...リク、あんたどんな生活してるのよ?」


毎日怪我しているので、毎日治療も受けている。

そしてリロアさんは冒険者上がりなだけあって、痛みがどうこうよりも早さ優先だ。

そりゃもう痛い。


「じゃあとりあえずお互いの近況報告といこうか。」


治療をしながらお互いにどんな生活をしているのか報告し合った。

僕たちは物心ついた時から一緒に居るので、半月も離れていた事は無い。

その上ウルハリアに来てからの生活は今までと一変してしまったので、話すことはいくらでもあった。


「...なるほど。神聖魔法って白魔法の完全上位互換なのか。」


白魔法、光魔法、結界魔法...それら全てを兼ね備えた上で、神聖魔法でしか使えない魔法もあるそうだ。

正しく規格外だな。


「真っ先に浮かんだ感想がそれなの?別にいいけど。」

「いや、もちろんクルムが無事に過ごせてるってのが1番聞きたかった話だよ。」

「...そう?...っていうか、リクの方は全然無事じゃ無さそうね。」

「ははは。明日からまた地獄の日々だよ。」


あれからラグナさんは一度も帰って来ていない。

休み明けの訓練で張り切ったりしないか心配だ。


「でも...そっか。私も頑張る。15歳になった時、リクに差をつけられてたら嫌だもん。」

「うん。って言っても、僕は戦闘職じゃないからね。僕の方こそ差をつけられないようにもっと頑張らなくちゃ。」


近況報告の流れで、僕が考えている計画も伝えた。

僕が15歳になったら、クルムを攫って一緒に冒険者をやる。

一度里帰りした後は、女神教の威光が届かない地まで逃げて、そこで好きに生きる。


「けど聖金(ミスリル)級かぁ...。うん、どうせ目指すなら1番上よね。」

「目標は高い方が良いよね。」


ラグナさんに提示された条件。

聖金級の冒険者になって、とあるダンジョンの攻略に協力すること。

これは努力目標として提示されたものだが、クルムが乗り気になってくれるなら僕としては達成したい目標だ。

散々な目にあっているとはいえ、ラグナさんにはお世話になっているからな。


あ、そうだ。


「クルム、これ。アリアさんとガイムさんから預かったんだ。」


僕はアイテムボックスを操作し、2人に預かったペンダントを取り出した。


「これって...家宝のペンダント?昔は触らせてもくれなかったのに...。」


ペンダントを受け取ると、クルムはそれを首にかけ、胸の辺りに来た水色の宝石をギュッと握りしめた。


「そっか。ママとパパ、来てくれたんだ。」

「うん。2人とも、すごく会いたがってたよ。」

「そう...。もしまた会えたら、心配しないでって伝えて。私は元気に過ごしてるって。」

「分かった。」


まだ2人は街に居るかな?

もし村に帰っていたら、そのうち長い休みを貰って会いに行こう。


「それとコレは僕から。」

「え?」

「クルム、誕生日おめでとう。」


続けて僕は小さな箱を取り出して渡した。


「これ...指輪?」

「うん。運命の指輪って言ってね...」


アイリーンさんから聞いた説明をそのまま伝えたのだが、『運命の指輪』という名前を伝えた段階でクルムはぼーっとしてしまい...


「って聞いてる?」

「え、あぁうん。聞いてる聞いてる。」

「...気に入らなかったかな?」

「そ、そんな事ない!大事に...大事にする。」


クルムはペンダントと同じように指輪を強く握りしめた。

喜んでもらえたのかな?


コンコンコン。

「聖女様?治療の方はいかがでしょうか?」


すると、扉をノックする音と共にそんな声が聞こえてきた。


治療はとっくに終わっている。

これ以上話し込んでいたら流石に不審に思われてしまうか。


「【変身】。」


治療中は元に戻していた顔を、再び別人のものへと作り替える。


「ふふふ。包帯取った時も思ったけど、なんでよりによってそんな顔なのよ。」

「え?カッコよくない?」

「全然カッコよくないわ。」


僕たちは互いに言葉にこそしなかったが、時間切れなのは分かっていた。

少し言葉を交わした後、互いに頷く。


「今行くわー!」


クルムが扉の方に声をかける。


あ、そうだ。


「クルム。最後に1つ。」

「ん?」

「護衛の中で一番背が低い人に気を付けて。」

「ギリオールのこと?」

「多分その人。」


治療の間、クルムの安全を確認する為に扉の向こうにいる人達へと【読心術】を使ったのだが、読み取れたのは1人だけだった。


クルムによると、大人の男性が2人、女性が1人、残りの1人は僕たちと一緒に洗礼を受けた【聖騎士】の男の子だそうだ。

魔力感知で体格は分かる。

1番背が低いのがその子の思考が気になった。


「その人、クルムの事が好きみたい。」

「へ?なんで分かるの?」

「まぁ僕の魔力感知は優秀だから。」


前世の業のおかげで魔物のスキルが使える、という話は省いておいた。

今は時間が無いし、いずれまた話そう。


「嘘くさー。...それにアイツ、私に対する態度悪いのに。」


それはあれだな。

思春期特有のやつだ。

村の男の子もクルムの事を好きなのに『髪の色が変だ』とかイジワルを言って嫌われていた。


「まぁ他にも理由はあるんだけど...とにかく気を付けて。」

「分かったわ。...またね。」

「うん。また。」


そうして僕たちは再び別れることとなった。

次に会えるのはいつになるかな。


その時までにもっと強くなって、クルムを安心させてあげたい。



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