3.二通目
輸入雑貨店の中をぶらぶらと歩いていたら、貴女によく似た西洋人形が小さなチェアーに座らされていたの。
肩まで伸びたウエーブのかかった髪に、吸い込まれそうなほど澄んだ青い瞳と、触ったら冷たそうな色白の肌。それからどことなく寂しそうで儚げで……。
もしかして今まで居ることを誰にも気がついてもらえなかったのから? 小暗がりの下に、ずっといたみたいだもの。私はたまたまこの子の気配で気が付いたのだけれどね。でも、髪の色がブラウンイエローなのが残念だったわ。貴女は混じりけの無いキラキラした金色だったからよ。
今日は初めての出逢いを振り返っていたわ。私はあの時、貴女ほど綺麗な子を見たことがなかったから、ただただ見惚れてしまっていたことを思い出すの。抱き締められた時は驚いていたけれど、もしも戻れるのなら私も強く抱き返すのにと、今は思う……そうしたら、もう絶対に離しはしないのに。
それと、雑貨店のあの子は結局私の家にいるの。何か訴えかけているような様子がつい重ってしまう。もしかしたら貴女の抜け殻なのかもしれないわね、抱き締めるととても冷たいのよ。
だからそのたびに、どんなに辛くて悲しいか……貴女も私と同じ気持ちだから、この子と逢わせてくれたのかもしれないけれど、それじゃ駄目なのよ?
私はもう何処にも消えない、ここにいるのだからね? でも、今は貴女がいなくなってしまって、手紙を書いている時は涙が溢れ続けて止まらないの……切なさが胸の奥から這い上がってきて心を潰し、寂しさに切り刻まれてボロボロに壊れてしまいそうになる。
この子ではなく、本物の貴女に私は逢いたい。
それでは、お返事を待っています。
貴女の麻里衣より。
追伸、貴女と交わした合った交換ノートを読み返しています。