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9話 2周目の入学式

「それではこれから、入学式を開始します――」


「始まった……何も起こらないといいけど」


 アシナガデイムの奇襲により、急遽「2度目の入学式」は校内放送で行うこととなった。クラスメイトは生徒指導や校長などに見られていないことをいいことに、ワイワイガヤガヤと周りの席の新たな友達と話している。


 オレは唯一、この式辞の内容を「覚えている」。だからオレこそこの入学式をかなり退屈なものに感じるのだが……皆はそうでもないみたいだ。


 5分経過、10分経過、15分経過……ヒマだ、ヒマすぎる。おえらいさんだということは分かるんだけど、関わったことのない人の長い話なんて……


 オレが頬杖を付きながらボーっとしていると、唐突に目の前に丸められた紙くずが飛んできた。驚いて横を見ると、離れた席からエミナがこちらを見ながら何やらジェスチャーをしている。伝えたいことがあるのだろうか、オレはそのメモを開いて見てみる。


”敵が近くにいる予感 気をつけて”


(て、敵……? 怪しい人はいなさそうだけど……)


 オレは窓の外、天井、後ろ、色々なところを見回してみるが、今のところ怪しそうな部外者はいない。後から襲撃してくるのか? 異世界転移、実際に経験すると疲れるなぁ……


 鉛筆を転がしたりノートに落書きしたりしているとようやく入学式が終わったようだ。担任の先生もそれと同時に教室に入ってきた。高校生活1年目、初めての担任は優しくて人気の桧山先生のはず――


「はい、これから1年、このクラスを持つ鬼川だ! 皆、よろしくな

!」


「えっ! 《《変わっている》》、担任が!」


 おかしい。同じクラスになった人はエミナ以外、誰一人として転移前と変わっていない。途中すれ違った他のクラスの同級生も何度か見かけたことあるような人ばかりだし、校内のレイアウトとか教室の位置とかも同じままだ。それなのに、なぜ……


 ただ、今そんなことを考えている場合ではない。なぜなら、エミナ曰く敵が近くにいるからだ。今から入学記念のクラス写真を撮るようだが、要注意かもしれない……



 写真は校舎を背景に駐車場で撮るらしい。ま、前と同じなんだけど……。1組から順に撮影をするようだ、皆は楽しそうに、それと同時に緊張しながらカメラに笑顔を向けているが、オレはそんな気になれない。負けイベ確定の強敵とかが来たら怖いから、せめてでも事情を知っているエミナの近くに立っていると……耳元でエミナが囁いてきた。


「……いる、この駐車場に、生徒に紛れた敵が!」


「え、どういうこと? 変な人はいなさそうだけど……」


「とにかく、3組の撮影が終わったら着いてきて。今行くと騒ぎが大きくなるだけ」


「う、うん……分かった」


 一体何者がここにいるのだろうか、オレは顔がこわばりながらも写真撮影を終え、エミナに付いていった。




「や、やめてください! 何ですか初対面で……」


「そんなこと言うなよぉ……一緒にさ、遊ぼうぜぇ……?」


「ちょっと先生、助け――」


「先生ぇ? ヒヒヒヒヒ、先コーは助けちゃくれねぇ……オレ様が恐ろし過ぎてなぁ……! ほらこの通り……なぁっ!」


「きゃあっ!」


「ヒヒヒヒ……ただの壁ドンだよぉん……だけど次は本当に命を刈り取る……覚悟しろやああああ!」

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