住田さんと僕の気持ちはすれ違う。
彼女との出会いは普通だった。僕は漫画が好きだから学校で読んでいたら,みんなにオタクと呼ばれたり,髪が長いからという理由で男の娘と呼ばれたりしていた。誰も僕の名前を知らないんじゃないのかっていうくらい。
そんな中,彼女は僕の名前を呼んでくれた。そして,僕の漫画のこときもいとか言わずに
僕の好きな漫画の話も聞いてくれた。
単純な僕は彼女のことを好きになってしまった。普通だ。ラブコメのスタートとしては
良い。でも,僕の恋はすぐに終わった。彼女は彼女の幼馴染と付き合っていたから。これは噂なんかじゃなく,彼女の彼氏が言っていたのだから。
僕の名前は綾小路翔。名前はかっこいいけど,顔は普通。前髪は長めで,目にかかっていないと落ち着かない。好きなものは甘い系の食べ物。そして
―僕の初恋の人の住田薫さん(後から知ったが、美人でお金持ちで賢くてスポーツ万能らしい)
「今年からお前らは高校二年生だ。部活,遊び,恋愛。いろいろしたいと思う。
だが,やはり一番大切なものは勉強だ。勉強によってこれからの人生が変わる。
勉強してお金稼いで,幸せになろうぜ!ってことで,今から学習合宿の班分けしまーす。」
との先生の言葉で,僕たちのクラスは班分けすることになった。クラスメイトの中で僕を唯一揶揄わなくて,めっちゃ仲がいい御宅拓雄君だ。彼,名前と料理好きのために太ってしまった身体からオタクと思われがちだけど,全然アニメとか見ないらしい。
僕たちペアと組みたい人はいないらしくて,ジャン負けで僕たちペアと組むことになった神木智雄君と嫌味藻部尾。二人ともカーストトップ勢。そんでもって,神木君は僕の初恋の人,住田薫さんの彼氏だったりする。やばーい。
え?男女合同の班じゃないの?ってそんなの今時ないよ。だって,男女ペアだったら結局遊んだり、いやらしいこととかするじゃん。それこそないよって思ったでしょ?でもそうでもないんだよ。そもそも学習合宿ですることと言ったら,勉強と炊事くらいだよ?つまりは遊びが少ないから合宿になるってこと。つまり、ストレスがたまった男女は…ってこと。
ということで,安心安全な学習合宿行ってきます。あと,神木君は住田さんにお似合いなのかってところも調べてきます。
学習合宿当日
「点呼した奴らから,バスに乗って待機!早くしろ―!」
僕がまず神木君について分かったことはイケメン,超金持ちで学校までいい車で学校までくる。あと賢く喧嘩強いらしい。…でも
「あの,神木君?早くバスに乗らないとダメだよ?多分,今の先生の言葉も僕たちに行ったのだと思う」
「うっせえ。殺すぞ。お前ら,スクールカースト底辺勢は俺らの言うことに従っといたらいいんだよ。」
凄い俺らのことを馬鹿にして,怒る。完璧超人ぽいけど,人としてどうなんだろ?
結局僕と御宅君は先にバスに乗った。いつまでも乗らなかった神木君たちは先生にとても怒られていた。で,乗ってきた神木君たちは僕たちにキレていた。こわっ。
バスの中でも神木君を観察しようと思っていた僕は,静かに吐き気を催しながら,泣きそうになっていた。それは数分前に遡る。
「ねえねえ。綾小路君。俺さ,バスでなんか面白い物食べたいなって思って,柑橘系のフルーツ盛り合わせを持ってきたよ。絶対,俺酔わないと思うんだよ。やろうよやろうよ。」
「うん。全く面白そうじゃなさそうだね。でも物は試しだよね。やってみよっか」
ってことで,柑橘系食べました。隣の御宅君も吐きそうに
「ごくん…」今御宅君何も飲んでないのに,飲んだ音した。絶対,今吐いて飲んだ。
ちょっと達成感感じた顔でこっち見ないで。ちらちら,住田さんがこっちのほうを見てる気がするんだけど気のせい「ごくん」「飲むのはいいけど,僕の顔見たらなぐるからね?
って何考えてたか忘れちゃったじゃないか!」「それは,綾小路君の記憶力が悪いからでしょ?」「腹立つなー...さあ,胃液を飲んでのどのあたりが気持ち悪いだろう?僕のジュースをお飲み?」
「ありがとう。すごく裏がありそうだけど君にも良心があったんだと信じtってこれブラッドオレンジジュースじゃねえか。
どうやら俺に殺されたいらしいな」「やれるもんなら,やってみやがれ」
そんな会話をしていると,どこからか笑い声がした。笑い声がしているほうを見ると,
住田さんが僕たちをっていうか僕を見ていた。これってワンチャンあるんじゃねえかな。
なーんてn「ごくん」そして,笑顔で僕を見てくる男を無言で殴った。
そんなこんなで,学習合宿場所のホテルにつきました。僕は真っ先に吐きに行きました。
いやー,めっちゃくちゃすっきりしましたね。住田さんのことなんて,もうどうでもいいやって思うぐらい気持ち悪かったし。吐き終わった今の気持ちは賢者だね。うん。
僕達はホテルで昼ご飯を含めた小一時間の休憩をして,6時間の勉強を行った。
腐っても進学校。勉強をするときは皆真面目だ。でも,終わったらそんな真面目さは消える。
終わってから男共はばれないように遊ぼうとなって,お菓子をいっぱい持った男子が
僕達の部屋にやってきた。神木君がいるからだ。最初はめんどくさいなーって思ってたけどまだまだ僕のことをいじりはするが,話してみたら意外といい人がたくさんいて,仲良くなった。楽しく過ごしていたら「おい,綾小路と御宅,ちょっとお菓子類買ってこいや。おまえらが食いすぎてしまったせいでなくなったじゃねえか」って楽しそうに話している僕たちに苛立ったのか,それとも場を盛り上げるためなのか知らないけれどさすがに理不尽だ。
僕が怒ろうとしたとき,御宅君が僕をつつき,首を振った。確かに陰キャの僕たちが怒るのは危ない。ありがt「お前,俺たちがコンビニ行くんだったら金くれんだろうな?あぁ?」
いや,お前が言うのかよ。どっちかというと,雰囲気的にお前のほうが今のところ悪いからな⁉やめとけ。変なこと言うとやめとけ!
「そんなことで怒っているのか,貧乏人。買ってきてくれた分だけ金は返す。だから,
買いに行ってこい」あら,嫌な言い方だけどそこまで極悪非道ってことじゃないのね。
御宅君も驚いているわ。「じゃあ,運賃料はどんくらいくれんだよ?あ?」
調子乗りやがった。ほんと殺されるz
「それもそうだな1万くらいで足りるか?二人だから二万ぐらいでいいか?...なんだ?足りないか?」
「全ぜーん。じゃあ,行ってきます。一緒に行こうか綾小路君」
「だね。一緒に行こうか‼」
僕達はいつまでも友達だ。
二万円の使い方を話して,話の流れ的にエロ本の話をしていた(←マジで,理由は分かんないだけど男子の話でありがち)僕達だけど,近くのコンビニまで数キロあったこともあり,帰宅部の僕たちは息が上がって,喋る元気なんてあまりなかった。
「休憩しない?綾小路君。見た感じ,綾小路君めちゃくちゃしんどそうだよ?
唇,青紫色になってるよ。今からでも遅くない。ちゃんとバディチェックしよう」
「何言ってるの?唇が青紫色になるのとバディチェックは水泳でしょ。そもそも僕はしんどくないよ。御宅君のほうがしんどそうだよ。運動強度,90%軽く超えてそうだよ?休みなよ。僕も付き合うからさ」
「何言ってるの?俺はまだまだ歩けるよ?」
ってことで,歩き続行。
「あ…誰…い…すか?」
「ねえ,変な声しない?」
「するけど,怖がってるの?しょうがないな手つないであげようか?」
「何言ってるの?ただ事実確認しただけだし」
「誰かいるんだったら答えてください!」
「おい,御宅君今怖いとかじゃなくて,人肌を感じたくなった。でも男同士だし,手だけでも握らない?」
「奇遇だね。俺も手を握りたいって思ってたんだよ。あと,俺は幽霊とか信じないタイプだし。あの奇妙な声は人の声だと思うんだ。ってことで,チェックしに行こう」
「うん」
「さっきから,何言ってるの?私はお化けじゃないわよ‼」
『ギャー出たーーーー!!!!‼!‼!‼!‼!って住田さん⁉』
「なるほどー。つまりは僕たちと同じように女子会をしていた住田さんはお菓子がなくなり,ジャンケンで負けたからここまで来たと」
「そうよ,でも思ったよりも荷物が重いし,転ぶし,コンビニからホテルまで遠いし,
靴擦れするしで困ってたのよ」
「それで,俺たちに助けを求めたと」
「助けてくれない?」
「いいですよ。じゃあ,綾小路君の背中に乗ってください。今から彼がホテルまでの1キロほどを歩きますので。(お前,住田さんにいいとこアピールする場面だぞ」
「お前,何言ってんだよ。そんなこと住田さんがするはずないだろ?(住田さんは彼氏持ちなの。ふざけてるとぶち殺すぞ?)」
「よかったら乗らしてもらうわ」
『嘘っ‼』
数分後
御宅君は普通に歩き,住田さんは僕の背中に乗り,僕はハイハイで歩いていた。
『いや,ここで変な天然出してんじゃねえよ‼』
結局,住田さんは綾小路君が持っていた絆創膏をもらい,事なきを得た。
それからの僕達の学習合宿は住田さんとよく会うということは置いといて,不思議なことは特段なかった。みんなで,おすすめの動画の話してたら,論争になって徹夜でみんながおすすめする動画を全部見たり,下ネタしりとりをしたりした。楽しかったなあ。
いい思い出ができたと思って,バスに乗っていた。やっぱし,青春は遊ぶことを言うんじゃないな。これから,勉強と友情を大切にしt「ごくん」「御宅君,死にたいようだね?」
「ちょっと待って。キャラ変わってるよ。もっと優しかったじゃないか。顔がマジだって」
「潔く散れ‼」それから御宅君は学校に帰るまで寝ていた。
いつもの生活が戻ってきた。朝の授業は眠くて,ご飯を食べた後の授業も眠くて,そして御宅君は優しいようで,やっぱりキモくて。
っと思ってたら,住田さんから放課後話したいことがあるって連絡がきた。ワンチャンあるんじゃね?付き合ってたけど,別れたかもだし。やばいなー。ってそんなこと考えても,どうにもならないじゃねえか。自分の気持ちをちゃんと出さないと!いざ出陣!
「で,用って何かな?あまり時間がないんだけど」やばい,にやにやが止まらない。
「あっ。そうなんだ…。じゃあ,また今度話すね」
「いや,マジでそういう焦らしはいいんで。っていうかそもそも話すまで帰りませんので」
「ありがとう。でも言うの恥ずかしいよ。…」人間って,うれしすぎたとき,賢者みたいな顔になるんだね。どうでもいいけど。
「じゃあ言うね。まず,前助けてくれてありがとう。これ,絆創膏ね」
「ご丁寧にありがとうございます」
「それで言いたいことは」
「うん」
「えーと,私の背中に乗ってほしいの!や,やっぱりしてもらうだけでは申し訳ないよ!」
だって「なんでだよーーーーーーーーー!!!!!!!!!!頭おかしいだろー!」
僕は泣き崩れた。
「やっぱり,恥ずかしくて好きだなんて伝えられないよ。」
そんな言葉は泣き崩れている僕は知らない。
「泣いてる綾小路君も可愛くてかっこいい‼」
住田さんと僕の気持ちは今日もすれ違う