1
このお話は、私が赤ちゃんの頃
母が実際に体験した実話です。
私が小学生高学年になってから聞かされた話です。
私は寒い冬に
一卵性双子の姉として産まれました。
私達双子は
すくすくと成長していき
生後10ヶ月になった頃
私が、ひきつけをおこし
きつい痙攣をしているのを母が気づき
しばらく様子を見ても治まらなかったので
救急車を呼んで近くの病院に運ばれ処置を受けました。
お医者さんは
「薬が効かないようです。おかしいですね。普通は効くはずなんですが・・・。残念ですが、このままの状態だと今夜が山でしょう」
そう言われた母は泣き崩れたそうです。
「娘を助けて下さい。お願いします」
「すみませんが、薬が効かないとなると、これ以上はなにも出来ません」
母は絶望を感じたそうです。
母は、この病院にいても
娘の死を待つだけだと思い
せめて最後は娘の産まれた病院で看取ろうと思いました。
私の産まれた病院は
結婚前の母の職場でもあります。
父に車で病院まで乗せてもらい
病院に向かいました。
病院のロビーに着き
受付で
「すみません、娘を診ていただけませんか。痙攣が治らないんです」
「わかりました。少々お待ち下さい」
「山口くん久しぶり。娘さんが痙攣してるんだって?診るから3番に入って」
「鈴木先生、よろしくお願いします」
それから20分後
「山口くん娘さんはずっと痙攣していたんだよね?」
訳の分からないことを聞かれ
「はい、こちらに向かう車の中でも痙攣は続いていましたが・・・?」
「そうか・・・。いろいろ調べたけど、娘さんは異常ないよ。さっきまで痙攣してたとは正直思えないぐらい元気だ」
「えっ?元気なんてそんなこと・・・」
娘の顔を見ると
ケロッとしていて笑っていた。
母はこの時
夢でも見ているのかと思ったそうです。
その後しばらく病院にいましたが異常なかったので帰宅しました。