広島駅に来たのでついでに
男を広島駅で下ろした一行は、駅近な迷宮ともあってついでにと悪魔迷宮を見に行くことにしたようで、車を止め道を歩いていた。
「あそこが悪魔迷宮ですか」
「豪勢だな。まさに魔界っぽい雰囲気の入り口だ」
「日本に存在する500レベ以上の迷宮、七つのうちの一つ悪魔迷宮。難易度の話を聞く限り、僕たちじゃすぐに全滅するだろうね」
「ここで七つの大罪系の一つの異能を回収したって話もあるぐらいだしな。確か暴食だったか。その後の行方は分からないが、噂によれば非公式組との争いで殺されたんじゃないかって話らしい。怖いね」
フェンスの先から見える豪華で禍々しい悪魔門を見て雑談をする四人。
「この迷宮に入る条件、二級免許の取得条件は割と簡単ですが、早すぎると怪しまれますし、500レベ以上の迷宮は当分は入れませんね」
「そりゃな。400レベ以上、組合での額にして3000万円以上の取引を行った実績、組合から指定依頼を受けるが一番手っ取り早くて、他は掲示板に張られている恒常依頼の素材の納品とかを一定回数以上こなすことだったか。これをチーム人数分やればいい」
「400レベだったら下振れても数年でできるものだな。400レベ以上の迷宮に潜れるのなら、迷宮だけで見ても一人頭年収1000万なんて珍しくもないし」
「組合で金券買えば、指定の店の探索者向け商品が買えるようになるからね。売却益と金券の購入費を合わせれば3000万なんてすぐだね」
組合で金券を買えば、20%割り増しした金券が購入できる。探索者用の税制優遇で消費税を打ち消す程度の効果があるのだが、探索者専門店でしか使えないし、便利止まりである。
「まぁ俺たちには遠い話だな。組合での取引はあんまりしてないし、依頼もする気がないし」
「400レベ台の迷宮でも500レベになることはできるからね」
「一都道府県に2~3個はありますし、480レベ台の迷宮に行けば偶に500レベの魔物が出るとも聞きますからね」
「まぁ裏を返せばそこが限界なんだがな」
レベルが高くなればなるほど成長は鈍化するし、呪の上乗せがあっても迷宮側もそうそう高レベルの魔物をだせなくなる。500レベ以上の迷宮に挑めないと言う事は、行けても500レベが限界なのが現実である。
「ま、そこら辺はおいおい考えようや、現状400レベまでは駆け上がるのはそう難しい事じゃないしが、500レベとなると話は変わるからな」
「上に行こうと400レベ台に踏み出してそのまま停滞する人は多いですからね。みんな中堅で止まっちゃうみたいですし」
「最近のニュースでもあったが、ついに探索者登録者が250万人を突破したってあったな。まぁ専業は二割強がいいところらしいが」
「社会インフラみたいなもんですからね。困ったら探索者って、魔石の取引価格も上位の迷宮行かない限りは下火になって最低価格なのに、それでも夢だけはあるからね」
社会維持と過剰供給によって基本素材の価格は下がったが、税制優遇もあるし負担率が最も低いのも探索者だ。生活する分には何も困らないし、攻略ノウハウも探せば出てくるし魔物殴ってるだけで強くもなり金も手に入るのだから、そりゃ人は集まる。
「割に合ってるんでしょうかね?」
「そりゃ言わないお約束だろ?」
「まぁその通りだな」
「他のところも変わらないからな」
おまけに高等級なものが手に入ればそれだけで一攫千金だ。現実味が付きまとい世知辛くはあるが、夢の要素だけはちゃっかり満たしている。それがこの世界の探索者という職業だ。




