逃走成功と次の目的地
五人は車に乗って朝焼け照らす海沿いの道を走っていた。
「で、逃げ出せたのは良かったが次どこに行く?」
「いきなりでしたからね、東京まで行くことしか決めてませんでしたし」
「手続しておいたかいはあったが、次の拠点がな」
「車中泊ですか?」
四人は相談しながら車を走らせる。すると男が話し出す。
「じゃあ広島市に行けばいいだろ。あの周辺もいい迷宮があるし、俺もあそこに用事があるからな」
「まぁ行き先的にはそうですね」
「何するんですか?」
西田が男に問いかけて男が答えた。
「ちょっと知人と待ち合わせしていてな。そこでお前らとはお別れだ。あと悪魔迷宮ってのがあるんだがそこでちょっと稼ごうかなとな」
「悪魔迷宮ですか、推奨レベル550レベの迷宮でしたよね。悪魔系がメインの迷宮で」
「俺たちは無理だな。今のままじゃ450レベ相手にすら安定して勝てない。それに最近緩和されたとはいえ、二級免許ないと500レベ以上の迷宮には正式に入れないし」
「他の迷宮は、都市迷宮380レベがある。広島市の中心だよ。罠が少ないけど敵が厄介らしい」
「やっぱ人気の迷宮は罠が少なくて助かりますね。そこを目指して周辺の迷宮を攻略して様子見しましょう」
広島県内には15個の迷宮が発見されており、そのうち7つが広島市の中に在り残りは県内の各地にばらけている。そして県内で割のいい迷宮は4つである。それ以外は危険すぎたり、生活費を稼げる程度のものだ。
「お前らニュースとか見てる割に、有名探索者とかの話しないよな」
「興味ありませんからね」
「出くわしたくないからな」
「そんなことより迷宮巡りたいし」
「参考にはなりますけどそれでけだし」
四人の話を聞いていて男は疑問をぶつけるが。四人はそう即答した。確かにニュースや動画は見ているが別段気になったり話すようなことではないのだ。彼らは兎に角他人に興味がなかった。
「そうか?お前らみたいに若いと、夢見たり俺も有名人に!とかありそうだが」
「学生じゃあるまいし」
「もう成人してるんですよ、そんな夢見ませんよ」
「堅実が一番」
「比べたって届かないし、目立つのは危険だからな。呪いの件を抜きにしても」
間違えてはいないが夢のない話である。
「そうか?俺は陰の実力者とか、正体不明の強者とかに憧れてたんだがな。呪いが付いてからそうも言ってられなくなってな」
「そうですか」
「今がそれでは?」
「確かに」
「いまだに素顔どころか素性もわからんし」
もうすでになっているよと突っ込むが、男が思っていたものとは違うらしい。まぁ確かに真っ先に身の安全を考えて活動しなければいけないので当然だが。
「ははは、まぁ正体なんて知られないに越したことないからな。誰がいつ敵になるかわからんし」
「先輩のアドバイスと受け取っておくか」
「同感です」
「危なっかしいね」
「世知辛いよ、ホント」
そうして五人は、それからも適当な雑談をしながら道なりに進み、昼前ほどには広島市に到着したのだった。




