とある一般探索者たち
うっすらと暗い洞窟の中を歩く三人の人影があった。
「四時間で三十体か。中々の成果ですね」
「そうね、今日は魔物退治を中心にしているからかしら?」
「群れに出くわしたのは驚いたけど楽に倒せてよかったね」
三人の女性が雑談しながら深層を目指していた。
「宝石も宝箱もあればいいけどね」
「前に見つけたのはいい稼ぎになったからね」
「宝石のネックレス。特に効果はなかったみたいだけど七万ぐらいで売れたからね」
四級品は効果がなくも数万、効果があれば十万前後で売れる程度の値段だ。迷宮の影響で多少供給過多なことが多い宝石類だが、それでもこの程度の値段は維持している。
「毎日拾えたらいいんだけどね~」
「週一度取れればいいほうだからね、ここでの宝箱って」
「もっとがっぽり稼げると思ったんだけどね、生活には十分でもブランド品なんてそうそう買えないし」
愚痴を言いながらも、警戒を解いてはいない。周囲の探知は欠かさず行い、罠や魔物にいつでも対応できるようにしているのだ。
「そうそう、魔石やドロップ品だけじゃ、一人三万ぐらいしか稼げないしね」
「装備や武器にお金がかかるから貯金もちょっとしかできないし」
「でもこういうスキルとっちゃったし、もう後戻りできないよ」
レベルとスキル構成でほぼ職が決まってしまうご時世なので、入ってしまったからにはこれで生きていくのが最適になってしまう。幸い彼女たちは、この迷宮で苦戦することがない程度には強いのでその面で言えば成功者だ。
「操術や異能の一つでもあれば……来るよ、構えて」
「あれね、任せて頂戴」
「援護するね」
剣やナイフ、ハンマーを構えながら、こちらに気づいていない大百足に狙いを定め、前線に走りこんだハンマー使いが一気に頭部を潰す。そこで大百足の体が暴れだすが剣使いが斬り裂き無力化する。
「こっちも終わったよ」
それと同時に数体の蝙蝠が地面に落ちて大百足と共にドロップ品になっていくのを確認してから拾い上げたナイフ使い。
「手慣れたもんだな。最初の頃は気持ち悪いって言ったのに」
「もう五年も続けてればね」
「お?高級魔石だやった!今夜はちょっと贅沢できるかな?」
不意打ちとはいえ200レベ後半の魔物を瞬殺した彼女らは十分に強い。稼ぎも手際も探索者としては理想形だろう。
「もっと上の迷宮行ったほうがいいのかな?」
「稼げるけど危険だよ?ここまでくるのだって苦労したんだしさ」
「350前後で止まったからね。この迷宮じゃこれが限界か」
同種族間でレベルの差が100レベあれば、そうそう覆しようがない差が生まれる。200台の異能者と異能を持たない彼女らが戦えば、手間取るだろうが十中八九彼女らがかつ程の差がある。このアドバンテージを金のために失うのは安全上問題があった。
「400台の迷宮でも挑まないと安定して月100万以上なんて稼げないよ」
「敵も強くて罠も凶悪、それ以前にこの町から出なきゃいけないわよ」
「それは嫌ね、故郷を離れるのはね。お父さんにお母さんがいなくたって、この町が私たちの故郷なんだから」
実はこの町、十五年前ほど前に迷宮崩壊が起きた町なのだ。その時に町はほぼ壊滅し、家族を失った孤児が増えまくった。珍しくはあるが手の施しようがないし、迷宮の管理もしないといけないので町は復興されたが、その禍根は今も残っている。迷宮がややけに多いのもそのせいだ。
「そうと決まれば今まで以上に狩るわよ!」
「そうね、魔物を狩れば狩るほど迷宮がおとなしくなるらしいし」
「限度はあるらしいけどね」
そういいながら三人は、次の魔物を探して探索を続けるのだった。




