洞窟迷宮
洞窟迷宮へと足を踏み入れた四人は、ゴツゴツとした空間を突っ切り、サクッと10階層まで来ていた。
「情報通り。特に目立ったものもなし」
「マッピングもしてるが、隠し部屋もないな」
「時間がかかりそうですね」
「暗視に威嚇系、五感強化系もそこそこあるのがいいな」
弱い魔物や罠を通り抜け表層を終えたが、成果は上々だ。残念なのが、宝物を一つも見つけられなかったことぐらいだろう。
「宝がなかったな。表層でも割と出てくるって話だったが」
「宝だけで月100万は稼げるらしいんだけどな」
「それは周回できるレベルの探索者だよ」
「それでも一つも出ないのは幸先悪いですね」
宝の事もあって、マッピング次いでいつもよりも念入りに探したのだが、宝石の一つも出なかった。
「他には採掘で稼ぐのがいいんだって?」
「表層は魔物も弱いですからね。ここまでこないと100レベとかスキル持ちになりませんから」
「けど確実性があっても稼ぎにはなりにくいよ。採掘系と探知系のスキル持ってないといけないし」
「5階層までは罠もないし、魔物も一般人でも普通に対処可能とは言え、採掘中に後ろから不意打ちとか洒落にならんからな」
迷宮内での採掘や採取は、個人がする分には際限なく資源を回収できる。これも探索者の収入源であり、直接採掘したり護衛で稼いだりと色々ある。一応限界はあるのだが、重機を持ち込んで地形が壊れるほど採掘とかしない限りは、時間経過で再生するので安心だ。
「俺たちの呪いと同じように、迷宮自体への攻撃行為へは過剰なほどの反撃をするからな」
「それで稼ぎやすくなってる訳だがな」
「全くです」
「ま、迷宮が出来る事なんてたかが知れてますよ」
正直、安全マージを取っていれば、道連れをされない限り脅威ではない。迷宮が崩壊しようが逃げ切れるのだ。まぁそうなったら次は人間に追われることになるのだが。
「にしてもあと20階層も降りなきゃダメなのか」
「地図があって良かったですね」
「こっちの地図が埋まれば、後は周回するだけだな」
「でも移動距離と他の探索者の兼ね合いも含めれば一日に三回が限界だよ」
朝早くから来ているとは言え、距離もあって最短で移動してもボスの周回は現実的ではない。これから先、もっと広い迷宮を相手にすると考えれば、少々残念な事だ。
「夜もやるか?」
「確かにな、魔物を狩りまくっとけば疲労なんてしない訳だし」
「でも危険すぎるから今は止めておこう。人が少なくなった迷宮が何をするかわからないから」
「確かに、やるにしても慎重にですね」
迷宮が利口にルールを守っているのは人類に効率的に迷宮に入ってもらうためである。いくらうまみがあるとは言え、危険すぎれば採算が取れなくなって泥沼の戦いになるのだ。だから利口にルールを守っているのだが、それも人類が確認できている範疇に限る訳で、バレなければ何をしでかすかわからない。
「人の少ない時間帯の迷宮での死傷者が増えるって話もあるし、やっぱ迷宮も危険な場所だな」
「超人スペックが当たり前のように求められる場所だからな」
「迷宮には不思議が一杯だね」
「ま、その分稼がせてもらいましょう」
そんな雑談をしながら、魔物を殲滅してズカズカと進む四人であった。




