『高草迷宮』のボス
楽し気に会話しながら最後の戦いに入る四人の前に現れたのは、魔物にしては小さなカマキリだった。
「最後はあれか」
「蟲のカマキリより大きいですが、魔物のカマキリにしては小さいですね」
「前回みたいに煙炊けば簡単に倒せるでしょ」
「そうだな。、ま、とりあえず鑑定してからだな」
前回まではどんな魔物が出ようが、草や虫系が多く、遠距離から火と煙を炊き、追加のマグマですぐに終わっていた。これを突破されても、弱ったボスは敵ではなく、四人で囲って袋叩きにすれば簡単に倒せていた。これぞレベリングの代表例のような戦い方だ。
・スモールカマキリ
・LV320
・状態 特異個体、超強化、殺意爆増
・把握LV3・暗殺者LV3・対異常LV3・対属性LV3
「あなるほど」
「そう言う事ですか」
「毎度のことながら考えるねよ」
「まぁやることは変わらないけどな」
スキル構成を見て、ボスのやりたいことを察した四人だが、計画に変わりはない。すぐに火煙操術で煙を炊き、ボス部屋に充満させにかかる。
「お?動いたな」
「速いですね」
しかしカマキリは想像以上に素早く、瞬く間に距離を詰めて飛び掛かって来た。
「させない」
西田の炎剣が的確にカマキリを捉える。
しかしカマキリは羽を広げ回避し
「燃えとけ」
安藤の伸ばした手から出た火炎により距離を取らざるをえなくなっていた。
「デカいとダメだったから、小型化して翻弄しようと考えたんだな」
「まぁ対策ぐらいしてますよ」
「煙に紛れられると思ったのかな?」
「見えてんのにな」
西田が煙を操った瞬間、カマキリのいる空間が爆発するように燃え上がる。
「時間の問題だな」
「見た目通り耐久は低いですね」
「技量で受けようにも全身焼かれたらどうしようもないよね」
「油断はしないようにな」
西田の操る煙は熱を持ち、逃げ回るカマキリを追いかける。操術のレベルが低いからか捉えきれてはいないが、煙の量も増しているので逃げ場がなくなる方が速いだろう。
「やりたい事させなきゃこんなもんか」
「とりあえず相手の手を封殺する。当然の戦略ですからね」
「質の高い数の暴力って怖いんですよね」
「正にだな」
捕まれば、身動きを封じられ死ぬまで爆炎を喰らうので必死に逃げるカマキリ。接近しようにも真正面からでは勝ち目がなく、四人の探知を潜り抜けるほどの隠密もない。てかそもそも、素早さが少し優っているだけで、その他すべて負けているのだ。人間とは思えない性能である。
「手こずりましたが捕まえましたよ。こっちに突っ込んでこれるように道をチラつかせればすぐでしたね」
「それタダ逃げ場なくなったから特攻するしかなかっただけじゃ」
「ですね」
「まぁいいじゃねか」
西田のセリフと共に爆炎が連続してボス部屋に響く。それによりカマキリは塵となり、無造作に報酬が出現する。
「小鎌か」
「合成ですね」
「効果はそれなりに強いからいいじゃないですか」
「ま、とっとと後始末して家帰ろうぜ」
そうして報酬を回収した四人は、迷宮から出るのだった。




