サクッとボス戦
ボス部屋に入ると、今まで見たことのない草原となった景色が見え、巨大な花に鋭い牙が付いた植物が四人を出迎え、ボスのステータスを見て顔を歪める。
・エビルプラント
・LV300
・状態 変異個体、暴走個体、殺意増幅
・把握LV3・草原操術LV3・対属性LV3・復元LV3
「景色違くね?庭とか通り越して草原なんだが?」
「デカい……」
「操術系じゃなくて、属性そのものに耐性とか」
「これは厄介ですね」
屋敷要素がなくなりステージまで変えて来たボスは、見ての通り非常に凶悪そうで、悪魔と化していた。しかもゆっくりとユラユラ動きながら四人の動きを警戒し、観察している。
「ま、倒すしかねぇわな」
「まずは今まで通り炎熱線と溶岩の海で一気に畳み掛けよう」
「そうだね」
「ですね」
最大火力にするために、強化も装備もフル使用し、地面に手を付いて意識を集中させる安藤と西田。そして次の瞬間、赤熱した地面がグツグツ煮え滾り、草原をマグマの海へと変え始めた。
「お?動き出したぞ」
「打ち落とす」
大地を焼き尽くしながら進行するマグマの海を確認したエビルプラントは、蔦を伸ばして行動をしようとする。だが、西田の炎熱線により一瞬で焼き壊され、燃え上がる。
「いくら耐性持ってるとは言っても所詮は植物か」
「まぁ多少時間かかる程度でしょうね」
いくら耐性があるとは言っても付け焼刃。本体の性能を覆す程はない。そう思った四人は、遠くから雑談しながらジワジワと追い詰められていくエビルプラントを見ていた。
しかし――
「え?」
「うそっ!?」
「どうしッ!?」
「これは!?」
途中から火の効き目が弱まり、地味に距離を詰めてきていた蔦に目を取られて、地面から飛び出した根っこの刺突に反応が遅れる。
「バカな!もっと下から!?」
「いや違う!そもそもだ!」
「効き目が薄い!?効いたふりを!?」
「これはヤバいよ!」
急いで西田が本体に炎熱線を直撃させる。それも最大火力だったのだが、軽く焦げただけで、大した効き目もなくすぐに再生に入られていた。死かも知れだけはない、地面から気持ち悪い植物が生えてきていた。
「これは、『魔界の植物』!しかもレベルが200で環境適応も!?」
「魔界や地獄とかのイメージを取り込んだ迷宮のですよね?」
「この迷宮に出ていい代物じゃないだろ!」
「なんで使えるんだよ!」
そこらかしこに魔界の植物が生え、マグマ地帯に適応した植物たちは、咲かせた花を四人に向け、炎熱線を一斉に放つ。
それを回避した四人は
「くそっ!」
「こうなったら!」
「やるしかない!」
「直接叩き切ってやりましょう!」
マグマの上を走り出す。止まることなく邪魔な植物をぶった切り、接近戦をしようと真っ先に転移で無理矢理距離を詰めた吉泉は、全力で刀を振る。
「再生が速い!」
大きく斬り裂かれたエビルプラントだが、再生と同時に反撃を繰り出しており、転移なしでは避けられない攻撃を繰り出す。
「舐めんな!」
そして、蔦の上に飛び乗って来ていた田中が、真っ二つにしようと花の付け根を斬り裂くが、上手く斬れずに流されてしまう。
「これならどうだ!」
そして後から追いついた西田が、超圧縮し、超高温と化したバーナーナイフを突き刺し、勢いよく振り切り、炭化した傷を作り出す。
「これでもダメか!」
「安藤は!?」
「あっちで植物狩ってる!」
その頃後ろでは、速度特化とかした安藤が次々に植物を斬り裂いて殲滅をしていた。生えて、熱線の準備が整う前に刈り込んでおり、その陰で三人に追撃が届いていなかったのだ。
「あっちはあいつに任せる!」
「わかりました!」
「頼みましたよ!」
蔦の数を増やし、歯をガチガチ鳴らしながら三人に襲い掛かるエビルプラント。その猛攻は、大気を斬り裂き、地を削り、噛みつきの脅威はそれを遥かに上回る致命的な破壊力があった。
「届きませんね!」
「効かねぇよ!」
「しぶといだけのデカブツが!」」
三人の見事な連携と、妨害によりうまく決まらず、傷が増える一方だ。だが素のステータスでは圧倒的有利なエビルプラントは焦らずに、的確に追い詰めようと戦術を立てる。
「ムダだな!」
そこに安藤の邪魔が入る事により、戦術が狂った。地を固められ、根っこを抑えられたのだ。更には、不意を突いたと思った炎熱線たちは、念力によりまとめ上げられ、大きく空いた花の口の中へと叩き込まれる。
「気を」
「逸らしたな?」
周囲が一瞬把握できなくなり、その隙を突かれるように、根元を狙われ、二人の渾身の一線に引き千切られるエビルプラント。だがすぐに再生しようと地面から、本体の球根から新しい茎を生やす。
「やるぞ!」
「わかった!」
西田と安藤が地に力を流し、本体の球根へ向けて圧を送る。それに抵抗するように暴れるエビルプラントだが、手足を千切られた上に二人ががかりの圧殺に耐えきれなかったようで、次第に抵抗が弱まり、最後は呆気なく無残にぶっ潰れるのだった。




