とある探索者の決意
雷久保と清水は草原迷宮の検査を終えて、車の中で疲れたように項垂れていた。
「クソガッ!何もわからなかった……」
「手応えなしかよ……」
検査を終えたが、その間何も検出されなかった。
これが意味する事は
「一時的なものなわけがねぇ」
「元凶が狩場を変えたとしか思えねぇな」
嫌な予想をせざるおえない。しかもとびっきりのをだ。
「非公式組が原因だったか。この現象は」
「そうだ。その中でももっとも厄介な『迷宮の呪い』、都市伝説レベルのネタだ。ネットに転がってるのと組合のデータベースを見る限りな」
過去に確認も対処もされている現象だが、その発生数は数えるほどだ。その内容は知っての通り「迷宮に呪われ命を狙われる」である。
「上のと話した感じもその線が濃厚か。なんでここで、俺たちの地域で……」
「言っても仕方がない。どこにいるかは分からないが、絶対に見つけ出して捉えねぇと」
非公式組はいつもそうだ。彼らは姿をくらませ普通に紛れ、基本的に姿を現さない。それもそうだろう、どいつもこいつも異常者、戦闘狂、不正者などなど、犯罪者にも等しい連中だ。推定無罪と言うだけで、彼らの目的が迷宮でなければ、目立つ事や荒事を避けなければ、問答無用で大罪人もいい所だ。
「今回はまだ弱い連中の可能性があるらしいが」
「それも時間の問題だ。速く見つけ出さねぇと手に負えられなくなる」
そして彼らは例外なく、強力かつ厄介な存在だ。スキルや迷宮品の悪用など強さの理由は様々だが、そんな事は隠れてコソコソしている浅い層の話だ。根本は『異能』にある。それも相当悪質な使い方をしているか、ひん曲がった異能を持っているかだろう。
「ああ、分かってる。組合も本部も重く見てる。だが……」
「そうだ。手を広げようにも他の所でも問題が起きてる。応援は早くても一か月後らしい」
どこの誰かもわからない上、仮に目星がついても彼らが本性を現す迷宮の中では、証拠を掴むのは至難の業。現行犯でなければ土俵にすら立てない。その上で、何もわかっていない相手と戦わなければいけないのだ。
「それは解決の目途が立ってないって事だろ?どうしてこんな時によ……」
「こっちと同じだ。根本的な解決が出来ないから、人海戦術で潰すしかなくなってやがる。不幸の濁流にもほどがあるぞ」
そして現状仲間の応援も期待できない。表面化しない程度には抑えられているが、実は各地で問題が発生しているらしい。機密事項も多く、下っ端である二人は軽い部分しか知らされていないが、組合と国にも声をかけられ戦力を集めているとのこと。
「だがそれでも俺らがするしかねぇ」
「俺たちの町にちょっかいかけた事後悔させたやる」
そうして二人は決意を決め、報告のために車を出すのだった。




