どんどん強くなるな
四人は広場から離れられなくなっていた。理由は、一向に減らないどころか、数も強さも上がり続ける魔物たちに苦戦していたからだ。
「これヤバいんじゃないのか?」
「スキルが手に入るのはいいが、流石に多すぎるぞ」
「少しヤバい気がしますね」
「僕もそう思います」
出し渋っていたスキルも全開に使い、ジリジリと基礎レベルも上がっている。この調子で行けば、300レベも見えてきそうであった。
「念力、同色、均整、柔軟。この新しいスキルどもは、どれもこの迷宮じゃオバースペックなものだらけだからだ」
「それ以外にも大量だ。派生も含めればもう追いきれないしな」
「レベルも上がりっぱなしですしね」
「僕はもう200超えたんですよ。早すぎます」
西田に限らず、田中と吉泉もあと少しで超えられるレベルまで上がっている。安藤は能力の都合で遅いが、それでもこのまま行けば時間の問題だろう。
「まともに飯を食う時間もないってのがな」
「カロリーバーとかをかじったり、スポーツ飲料飲むのがやっとですからね」
「でもめっちゃ稼げるからな。やめられない」
「やめられないんじゃなくて、やめれないんでしょ」
ただこう言っている割に余裕そうである。理由は、四人もまた強くなっているからだ。四人で常に全方位を把握し、すべての魔物を相手している。レベルが上がってスキルも得たことにより、たまに一人休めるぐらいの間が生まれ、交代番のようなやり方で戦っていた。
「レベルアップの新しいスキルも手に入れて、レベル差を埋められたのが大きいな」
「予測、直感、五感強化、連携、格闘術、清掃、索敵。とにかくサッと取った奴だからどうなってるかわからんがな」
「見たけどもう半分ぐらいなくなってるんですが?」
「早速統合されたのか……」
大量のスキルは、当人たちを置いて勝手に統合される。四人はすでに、強くなったんならいいじゃないかとステータスの把握を諦めていた。
「もうこれ俺たちが一番スキル持ってんじゃね?」
「そうかもしれませんね。量だけなら。まぁこれだけ持ってても上位陣にはかなわないんですが」
「非公式組には、俺たちよりバケモンがいるって聞いたことあるよ。吸収の上位互換とかなんとか」
「大罪系の強欲とか嫉妬とか暴食も強いけど、強奪、殺奪とかの奪う系もあるからな。勿論吸収系の上位互換も」
一つとして同じ名前の異能、スキルはなく、かつ異能者の数だけ異能があるので、ベターからマイナーまで色々な異能が存在する。中には独自のもので、大罪や美徳、神話と言ったものをモチーフにした異能よりも強力な異能もあるのだ。
なお、前任者が死亡した場合、軸が同じものであれば再度同じ名前の異能が表示されるが、あくまで名前だけなので中身が同じものとは限らない。
「あ、200レベ超えた。適当にスキル取るか」
「私もです。では身体強化系でも取りましょうか。超速とか超力とかどうです?」
「出たよ、前提条件が鬼畜なの。超人とか超越とかのスキル版だったか?その分野の強化系全部か、相応の身体能力求められる奴」
「その分強力ですからね。超シリーズは」
超シリーズとは、単品スキルの中で一番強力なものの総称だ。部分的に異能に匹敵するほど強力だが、手に入れる条件が厳しすぎるのも大きな特徴と言えよう。
「で、どうします?この状況?」
「現実逃避も限界があるか。この広場から離れられないのは痛いな」
「搦手型が多いからな。障害物が多い場所じゃ、安定して撃退できない」
「いっそのことボス倒しに行きます?って無理か。今でさえギリギリなんだから」
あくまで地の利があるからどうにかなっているだけである。レベル上げて解決しようとしたら、魔物側もレベルが上がるので、動けないでいたのだ。
「てかなんでこんなにレベル高いんだよ。おかしいだろ」
「おかしなことだらけだから気にしてなかったが、そう言えばそうだな」
「迷宮と言えど限界はあるはず、いくら呪い付きとは言え自爆するなんてことはないと思いますが」
「ってことは、裏技か何か使われたってこと?」
合法的に可能な範囲でレベルが上がっているのだろう。流石の迷宮とは言えど、たった四人のために自爆特攻をするほどバカではない。因みにこの四人を確実に仕留める方法は、迷宮内に閉じ込めて暴走及び自壊して道連れにする方法だ。
「そうだな……そうみたいだな」
「ああ、なるほど……通りで」
「これはこれは……」
「ボス相手した方が良かったんじゃ……」
魔物の攻撃がピタリとやみ、一瞬で周囲の魔物の気配が潰れる。そして現れたのは、鉈を持った小さな西洋風少女の人形だった。




