地図埋め終わり
奥までやって来た四人は、相変わらず大量の魔物に囲まれて攻撃を受け続けていた。
「200~230レベ前後か。めちゃ頑張ってるな」
「このレベルの迷宮じゃ、200レベ超える魔物なんて滅多にないですからね」
「どんなに質が上がっても使い道に困るドロップ品なことには変わりないし」
「スキルも見知ったもんばっかりで、物珍しいもんは一つもないな」
カラスに野犬、茶色いスライムに萎れた植物や低級のゴーレムなど、様々な魔物が止めどなく襲い掛かってくるが、どれも四人の相手にはならない。それどころか、大量の経験値をまき散らし四人のレベルを急激に上げていた。
「ここに入って来てから10レベ近く上がってるな。いい経験値源だ」
「レベルが高いとそれだけエネルギーを多く持っていることになりますからね」
「差が大きいとそれだけ早くレベル上がりやすいですもんね」
「とにかく数が多いからな。千から先は数えてないぞ」
自分のリソースを使い潰す勢いで魔物を出し続ける迷宮に都合の良さを感じつつ、格上のはずの魔物たちを殲滅し続ける。
「地図埋めもう終わったし、ついでにボスにでも挑むか?」
「いえ止めておきましょう。きっとここのボスは今の私たちじゃ、周回は厳しいです」
「うん。せめて200レベ近くになってから入った方がいいかもね」
「普通のでこれだからな。ボスはとっておき準備してるかもしれないからな」
四人で挑めばどうにかなりそうだが、そんな勿体ないことはできない。なのでレベリングをしてから入ろうと決めていた。
「にしても西田。お前ここまで腕上げてたのか」
「迷宮にダメージを与えないように熱線だけを放つとはな」
「距離もそこそこですしね」
「うん、頑張ったんだ。敵だけをピンポイントで攻撃すんの」
遠距離かつ範囲攻撃でありながら、迷宮にダメージを与えるような爆発や破壊を起こさないために低出力で、精密に魔物だけを斬り刻み絶命させるように調節しているのだ。
「でも相性の良い奴か格下にしか使えないよ。出力ギリギリだから」
「それだけでも十分だ」
「そうですよ。一回で何十体って倒してるんですから」
「しかもそれをそこそこの頻度で撃てるんだからな」
それなりに集中力を使う作業な為、守ってもらいながら完全に後方支援に回らなければいけなくなるが、適当に蹴散らすところだけ見れば非常に優秀だ。
「そう言や今いくらぐらいなんだ?」
「大体15万ぐらいだ。取りこぼしもあるが、まぁまぁだな」
「4時間で15万ですか。凄いですね」
「普通なら3万行けばいい方だしね。いやここはそうでもないか」
一つひとつのドロップ品は大した金額ではないが、とにかく数が多い。事実この四時間、安全地帯以外ではずっと襲われ続けている。
「スライムとか植物の一部はなんとなく使えそうだけど、犬の牙だとかようわからん土の塊は使い道わからんな。よう金になるわ」
「カラスの羽根とか犬の皮、その他よくわからない肉もね」
「流石にカラスとか犬の肉は食いたくねぇからな」
「そうですね。次々換金しちゃいましょう」
一応すべて金になるし使い道はあるのだが、わざわざそんなの食いたいとは思わないとか、魔石の方が金になるので嫌われているドロップ品は多い。なんせ大した金にならないくせにムダに容量を取るのだ。
「おっと、また罠だ。気を付けろよ」
「流石に奥に行くと多くなりますね」
「しかも見つけにくいしな」
「うん。これもやっぱ強化されてるんだろうね」
足場を崩したり、踏み抜いて足がハマる悪質な罠がそこらかしこに設置してある。しかも通常よりも範囲が広かったり、ただ踏むだけは大丈夫なのに体重をかけたらや、一度目は大丈夫なのに二度目は崩れると言った隠蔽付きの罠も混ざっていた。
「こんなにあるのに宝箱の一つもありやしねぇな」
「見逃してるだけとは思いたくないですけどね」
「把握の精度は高いけど、性能が高いわけじゃないからな」
「隙が無いのと見つけ出すのは違うからね」
迷宮側が何かしらの対策を講じているのか、宝箱の一つも見つからない。それが隠しているのか、その分のリソースを別の所に割いているのかは四人にはわからなかった。そもそも例外処置が取られている可能性もあるが、人類側には確認のしようがない。
「スキル全判に言えることだが、特に把握も鑑定も虚偽もレベル上げなきゃヤバくなってくるからな」
「感知系と偽造系は、それ持ってる魔物を倒せばどうにかるけど、鑑定を持ってる魔物いないからね。困ったことに」
「少なくとも前例はないですね。まぁ普通に考えれば魔物にそんなもの必要ないですからね」
「こうなったら、等価交換でどうにかするとか、道具の吸収か、スキルオーブ集めるしかないな」
とりあえずスキルを使いまくっている四人だが、全くと言っていいほど上がらないのだ。なので、一応道具などにも有効な吸収を提案する。だが魔物や生物に比べると非常に効率が悪く、金食い虫と言っても過言ではなかった。細かい数値が見えるのであれば、微調整に使うようなレベルだ。
「等価交換一択だろ。とりあえず3まで上げて、300レベ台で等価交換使って4にした方が安上がりだ」
「レベルなら時間かければいくらでも上がりますからね」
「うん、なんせこんな簡単に上がるんだから」
「まぁそうなるよなっと、じゃあこの調子で稼ぎますか」
またレベルが上がったと喜ぶ四人。そしてギリギリまで殲滅を繰り返した四人は、ホクホクで迷宮を後にしたのだった。




