移動中
昼飯をササっと済ませた四人は、次に行く迷宮の下見のために車で移動していた。
「次の場所は、空き地にできた『荒地迷宮』ですね。推奨レベルは120レベです」
「取れるもんがないくせに魔物はいっちょ前に強いところだよな」
「強いと言うより面倒なんですよ。攻撃的なカラスとか野犬みたいなのが出るそうですから」
「ドロップ品もしけてるし、攻略報酬も割に合わない。こんなんでも定期的に攻略しなきゃいけない組合の人はかわいそうだな」
定期的に依頼を受けた人や組合の職員が攻略しているのだが、その際に手に入れたドロップ品などは係の人のものになる。なので臨時収入としても、うまみがない迷宮は嫌われている。
「他にどんな迷宮があったか?『廃墟迷宮』とかか?」
「140の『廃墟迷宮』、150の『灰炎迷宮』170の『ビル迷宮』、180の『高草迷宮』ですね」
「ものの見事にどこも不人気迷宮だな。まぁその方がこちらとしてはうれしいが」
「しかもほとんど端の方と言う。移動だけで時間取られますよ」
廃墟にできた迷宮に、火災現場からできた迷宮、人が住むビルの中にできた迷宮、高い草が生い茂る空き地にできた迷宮。どこもかしこも不人気と言われるに値する迷宮であった。
「ま、行けたとしても灰炎迷宮までだな。あとのはレベル上げながら考えるか」
「スキル集めもしたいから、一回だけでも全部回りたいな」
「そうですね。とりあえず目標は200レベ越えですから」
「レベル上じゃ格上しかいないからすぐだよ」
とりあえずレベル上か格上を倒しておけばレベルの上りは速い。あとはスキルの量や魔物自体の素の強さなどもある。因みに、レベルアップにも細かい設定があるのだが、研究者やガチ勢を除けば人類の大半はそれを知らない。せいぜいスキルによって成長具合や方向性が変わるぐらいの認識である。
「にしてもだ。この調子じゃレベリングにもいずれ限界が出てくるかもしれないから、いくつか考えなきゃいけないことがある」
「今は敵が弱いけど、これからはそうもいかなくなるからな」
「とりあえず、ここらで一番有名どころの、『洞窟迷宮』を攻略できるようになったら、都会に行こうぜ」
「うん、広島とかいいかもね。あそこは色々そろってるし、途中でスキル集めすればどうにかなるでしょ」
上位の迷宮は、今まで戦った魔物たちがザコ敵と思えるほど強い。いくら複数の力を重ね掛けしているとはいえ、人間の領域を越えられているわけではないので、素ではいずれ負ける。
スキルの吸収や共有にも弱点があり、高性能な分スキルや基礎のレベルの上りが悪いのだ。勿論対策もあるが、その方法は上位に行けば行くほど通じなくなっていく。なので彼らができるのは、とにかく数を揃えて殴る事である。
「そのまま大阪とか東京まで行ってやろうぜ。なんなら北海道とかもな」
「そうですね。まぁ道中の迷宮全制覇しながらでも行きましょうか。気になる迷宮も多いですし」
「いずれは全国の迷宮コンプとかもできるかもな。いや、流石に500レベ以降は無理か?」
「できますよきっと。何年かかるかわからないけど、時間はいくらでもあるから」
各都道府県や地域には有名どころな迷宮がある。500レベ以上となると数が限られるが、スキル集めや初回攻略報酬目当てであれば、数えるのが面倒になるぐらいはあるのだ。
「目指せ上位陣!だからな。それぐらいの気合がないとダメだぜ」
「ですね。でも無計画はダメですよ」
「うん、死んじゃったらそこで終わりからね」
「そうだな。っとついたぞ。今回は下見だが、行けるところまで行こうか」
いつまでも忘れない目標を言ったところで目的地に着き、田中は車を止め四人は迷宮へ入ることにするのだった。




