待ち時間
安藤が中へと入り、吉泉が返ってきて数分経った時の事。
「ん?魔物強くなった?」
「まさか共有で多少漏れ出しているのかもしれませんね」
「それはちょっと困るね」
暇なので地図埋めついでに適当に魔物を狩っていると、急に魔物が強くなり三人は少し驚いていた。とは言え苦戦するほどでもなければ押し押せてくるわけでもないので、慎重に戦っておけばどうという事はない。
「そうみたいだな。だがまぁ、これぐらいなら許容範囲だ」
「ですね。逆に都合がいいですよ」
「質が上がっただけで数が増えたわけじゃないしね」
襲ってくる狼の群れを斬り伏せながらそう言う三人。
「それに気操術も入ってるからその練習相手になるしな」
「ここのボスはこんなスキル持ってないんですけどね。やはり呪いの効果は凄いですね」
「うんうん。まぁその分大変だけど、ハイリスク ハイリターンだし仕方がないよ」
ドロップ品を回収しつつ気軽に話し合う三人だが、勿論探知も隠蔽も忘れていない。罠や不意打ちもそうだが、他の探索者にでも見られたら面倒なことになるからだ。
「薬草とかは代わり映えしないみたいですね」
「罠も同じくだな。流石にそうすぐには用意できんか」
「でも警戒は忘れずにね。他の探索者にだって見られたら大変なんだから」
通常では出ない魔物と戦っている集団がいれば、後々大事になりかねない。それこそ不当な道具を使っているのではないか?と疑われたら探索者として終わってしまう。
「魔物をおびき寄せる道具はありますけど、魔物を強くする道具は少ないですからね」
「そうする意味もないしな。強さの割にドロップ品がしけてるのはみんな知ってるし」
「テロリスト扱いされても面倒だからね」
迷宮の破壊や異常を起こすと言う面では有用なので、勿論そんなものは警戒されているし、許可なく使用すれば重い罪に問われる。ものによっては国家転覆罪とかもあり得るので、彼らは慎重に動かねばならないのだ。
「ん?これは罠か?」
「話には聞いていましたがホントにショボいですね」
「踏み抜いたら少し凹む罠だったかな?」
そうして気軽に無双して地図埋めをしていると、罠を見つける。その罠は、周囲よりも少し凹んでおり、踏み抜いたらさらに凹むと言うどこにでもある罠だ。因みにその逆の盛り上がる罠もある。
「戦闘中だったらヤバいが、それ以外だと倒けかけるだけの罠だな」
「まぁ素でも、よく見ればどこにあるかも分かりますから、そこまで脅威ではないですけどね」
「そもそもこの迷宮の罠は適当に配置されてるからそこまで脅威じゃないしね」
上位の方になってくると変わってくるが、下位の方はこんなものである。罠の配置も雑多で、効果自体も大したことない。まぁこんなのがあるよと言う、デモンストレーションとか注意喚起レベルの置かれ方だ。
「他にどんなのあったか?」
「壊れやすいとか、滑りやすいとかですかね。迷宮によるので一概には言えませんが」
「直接危害を加えてくるのは、300レベ以降だから、それ以外はそうやって嫌がらせ程度のが基本だよね」
下位の罠は嫌がらせの塊で注意していれば脅威ではないが、上位の罠は殺意満点でちゃんと対策していないと、それだけで全滅する恐れがあるものだ。最悪、魔物と戦うとか以前の話になってしまうことも珍しくない。
「ま、今はそんなに警戒しなくていいかな」
「そうだな。スキルだって揃えてるし、事前情報もあるしな」
「ホント便利な時代になったもんだよね」
スキルとネット情報による罠の対策。通常でも大まかな情報や地形の把握ができる上、金をかければより正確で新しい情報も手に入る。呪いによる対策はまだ完全ではないが、それもスキルを増やすなりレベルを上げるなりすればいいだけなので、時間の問題とも言えた。
「と、安藤が終わったみたいだな」
「じゃ、次は僕ですね」
「では田中さん、予定通り見張りお願いしますね。私たちは準備をしますので」
ボスの復活を急かさせるために、隠蔽を解除し呪いを放ちに行く西田と吉泉の二人は、田中に見張りと警戒を任せて、ボス部屋の前へと行くのだった。




