骸骨迷宮の最終周回
骸骨迷宮最後の周回をするためにボス部屋の前で待つ四人。
「いや~ホントに上手く行くとはな」
「はい、ああも簡単にできるとは驚きです」
「うん、これで他の迷宮では普通に活動できそうだね」
「できなかったら人気のない迷宮しか入れなかったな」
ボスが思いのほか簡単に倒せていたので気が緩んだ四人は、ボス復活待ちの時間に前々から試したかったことをしていた。それは思いのほか上手く行ったようで、四人はよかったと零す。
その内容とは、『隠密系と偽造系のスキルで誤魔化せば、呪いの効果が抑えられて普通の迷宮と変わらず攻略できる』と言うものだった。だが言って悪いが、実は四人が心配する必要はなく、基本的には迷宮は呪い持ちをピンポイントで狙ってくるのでそんな心配はいらない。逆に判別不能になって、知られたときに恨みが増して、最悪周囲を巻き込むことになることなど、四人は知る由もない。
「にしてもここでのドロップ品は意外に使えるな」
「武器系が多いですからね。まぁ攻略報酬以外のは使い物になりませんが」
「流石の俺も、あの骨でダシを取ろうとは思わんな」
「やめてくださいよ、安藤さん。スキルだけで満足しててください」
なんでも食用にしようとする安藤の冗談に突っ込む西田。他の二人も ホントにやってないだろな? まさかね…… などと言う目で見てくるので、安藤も 流石にやらねぇ と言い返していた。
「っと入れるぞ。さっさと行こう。もう夜も遅い」
「はいはい、そうですね」
「深夜になるのはごめんですから」
「長かったな~これで最後か」
割と復活時間の速い低レベル迷宮で、更に呪いでブーストされて手早く復活している状態でも、20回以上も連続攻略すれば丸一日かかることも当然だろう。正直、この四日間こいつらは仮眠と移動と攻略でほぼすべての時間を費やしていた。あとは最低限の身なりの整えや素材の売却ぐらいだろう。いくら疲れにくいこの四人でも、流石に四日間もボスの連戦をしていれば疲れるのだ。
「変わらずデカい骸骨ですね」
「ステータスの方は……凶骨?」
「よし、新しいスキルだ」
「強そうだしよかったな安藤」
中へ入ると、大剣を持った3メートルほどの骸骨が佇んでいた。更にそいつは、新しいスキルを持っており、興奮する四人。
「じゃあ早速もらおうか」
「気を付けてくださいね」
「何してくるかわからんからな」
「新しいスキルもあることですしね」
そして準備を一瞬で済ませた四人は、安藤を筆頭にボスへと攻撃を開始する。
「遅い!」
素早くボスへと接近した安藤は、ボスの放った重厚感あふれる大剣の一撃を楽々かわし、滑り込みながら刀で斬りかかる。
「なっ!?がはっ!?」
「安藤さッ!?」
「うっ!?」
「これはっ!?」
だが安藤の攻撃が当たらずに変形した骨に突き刺され、何かしらの状態異常が西田の共有を通して全員に配られる。
「回復を!」
「その前に安藤さんを!」
「わかっています!」
刀を振りスキルを使いながら暴れ、必死に抵抗する安藤に止めを刺そうとボスが手を伸ばす。その間に爆弾を転移させた吉泉。それにより爆発でボスの手が退き、安藤はどうにか抜け出し回復をしていた。
「よくも!」
よろめく安藤にボスが追撃をかけようと大剣を振る。そこへ吉泉が転移で接近し、真上から刀を振り落とした。
「ッ!?硬いッ!!」
「だったらこっちだ!」
吉泉の武器よりボスの頭蓋骨が硬く刀がへし折れる。その代わりに大剣の軌道がズレ安藤は助かったが、反撃するかのように肩付近の骨が素早く伸び、吉泉を突き刺そうとした。しかし吉泉は転移で逃げ、代わりと言わんばかりに向かってきた田中が剣を振るう。
「傷しかつかねぇ!」
「あと治ってんじゃねぇ!」
田中の斬撃では傷しか付かず、それは瞬く間に治っていく。そこへ復活した安藤が力強く刀を振り切る。だがこちらも傷がせいぜいで、溶かした骨も変形と言う形で元へと戻り、大したダメージにはならない。
「ぐっ!?」
「またっ!」
攻撃に傾けすぎた二人は、ボスの骨の攻撃を完全に避けれず軽い傷を負う。それにより再度状態異常が伝染し、四人の表情が崩れた。そんな四人を油断なく相手するボスは、目の前にいた田中に大剣を振るう。
「避けてください!」
田中は倒れるように大剣を回避し、西田の熱線が的確にボスに的中した。
「いくら何でも硬すぎでしょ!」
ボスは骨を変形させ、熱線の当たっている部分の耐久性を上げる。それにより赤熱するだけに終わった西田の攻撃。だが田中も安藤も逃げ遂せることはできたのでマシな結果だろう。
「どうします?このままじゃ削り切れませんよ」
「流石にあれは想定外だな」
「狂骨が厄介すぎるな」
「では仕方がありません。田中さん、あれお願いします」
吉泉の合図で田中は仕方がないかととあるものを取り出す。
「命には代えられないので」
「そうだな」
「だな」
「うん」
西田を守るように陣形を組み、ボスが四人を始末しようと足を進めようとしたその瞬間――
「おお、効いてる効いてる」
「流石は高位の爆弾ですね」
「これ結構高いんだよな……」
「仕方がないでしょう」
次々に転移してくる爆弾に翻弄されるボス。しかもその威力は今までの爆弾の比ではなく、ボスの体はどんどんボロボロになっていく。
だがボスは諦めずその爆撃を強引に突破しようと守りを固め……
「あらよっと!」
「やっぱ遅いな!」
ようとしたが、爆撃に紛れて走って来た田中と安藤に足を砕かれた。
「もうこれぐらいでいいでしょう」
「あとば僕の仕事ですね」
体勢を保てなくなったボスは倒れるしかなく、回復も間に合わない。そこへ止めと言わんばかりに西田の炎熱線が炸裂する。
「盛大に燃えてんな」
「過剰攻撃だからな」
通り過ぎた田中と安藤はそう話しながら、火柱となり朽ちていくボスを見やる。そして一分もたたずに炎は消え去り
「大剣か~」
「使い道ないですね」
そこには一本の大剣が落ちていたのだった。




