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現代迷宮は世知辛い  作者: バトルマニア
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百足迷宮のボス


 周回も含め毒鼠迷宮をクリアした四人は、次の日にはさっそく百足迷宮に来ていた。


「さて次は百足迷宮だな」

「そうですね。こちらはどうなるか」

「やっぱ20回目は強敵になるんでしょうかね?」

「そうかもな。その分報酬も中々のもんだからいいけど」


 そう言いながら迷宮に入り、圧倒的殲滅力でささっとボス部屋前に来ていた。


「さ、早くしましょう。今日一日で終わらせるんですから」

「手早く済ませよう。次もあるから」

「だな。確か今回は西田だったか?」

「そうだね。今度は僕が行くよ」


 前回もそうだったが、もしもの事を考えて四人は、極力短時間で攻略を済ませようとしていた。それは色々理由があり、連続攻略のためだとか、人と出会う可能性を下げるためだとか、最悪迷宮側が何かしら対策を講じてくるかもしれない、という考えからだ。



「うん、やっぱこういうのになるんだね」

「っと、そうですね。単純に戦闘力を上げるなら、大きくなるのがいいですからね」


 中へ入った西田と、転移で後から入って来た吉泉がそう言う。その先には、巨大な百足がこちらの事をまだかまだかと言った様子で見つめていた。


「大きさは強さに直結しやすいから」

「と言っても、少々大きすぎる気がしますがね」


 調べた情報との差異に眉を顰める吉泉。体長だけでも7メートル超と言う、吉泉の調べたものより一回り程度大きかったが、スキル構成などは強化されているだけでその他は想定通りだった。


「多分呪いのせいだね」

「これからはこういう相手ばかりでしょうね」


 もはや普通の敵と戦えると思っていないようで、更なる強さが必要だと再認識する二人。そして戦闘態勢に入り、前回と同様攻撃をして


「ではあとはお任せします」

「うん任せて」


 百足を覆うほどの爆炎が起きた後に、吉泉が任せますと消える。その瞬間に、爆炎の中から巨大な百足が西田目掛けて突進をかましてきていた。



「危ないな」


 だがただの突進では、回避特化の西田には通じない。それどころか、すれ違いざまに掌に溜めていた熱線が振られ、大百足の足が何本か斬り飛ばされていた。


「回避された?」


 ギリギリで体を捻られ熱線を対処した大百足は、負傷も気にせず素早く壁を上り、天井から口を大きく開けて降ってくる。


「当たり前だよね」


 降ってくる大百足をギリギリで避け、至近距離で爆炎を浴びせる。だが大した効果が見られず健在のようで、即座にその場から離れた西田は


「……一杯食わされた」


 相手の策略を感じ取っていた。


「火炎弾っと」


 爆炎に隠れて再度壁を上り、不意打ちをするために死角に行こうと動き回っている大百足だが、スキルで把握している西田には効果がない。そのため作り出されたいくつかの炎の塊は、的確に大百足に向かう。


「やっぱり……」


 しかし大百足は止まらない。直撃しているはずなのに、全く意に返していなかった。それを牽制と警戒をし、攻撃されないように距離を取り続けての立ち回りをしながら考える。



「スキルに頼らずに素でやったんだ」


 大百足に施されているスキルは、強化されているだけで通常のものと変わらない。だがそれ以外の部分では全く違うらしかった。


「基礎能力の差と改造で見えない部分を強化したみたいだね」


 何であれ差がありすぎると見えずらくなる。その上、普段から見えない部分を強化されているのだ。根本的に見る場所が違うのだから、何度見たところで意味がないのは言うまでもなかった。


「僕たちの鑑定じゃ無理だね。でもだいたいわかる」


 西田たちのスキルレベルでは見えないところだが、それでもこれほど攻撃していれば大体の見当はつく。この大百足は、炎熱に対してスキル外で強くなっているのだ。


「細かいことはわからないし、僕には炎しか取り柄がないから……」


 動きを止めずに炎熱球をいくつも作り出し、周囲に浮かべる。


「力押しでどうにかするよ」


 そう言った瞬間に、炎熱球から熱線が放たれ、一斉に大百足に向かう。だが大百足もそれを黙ってみているわけではなかった。素早く動き回り、時には被弾をしつつ距離を詰める。


 そして――


「っ!?」


 勢いをつけた状態で大きく口を開けて、食い殺さんと言わんばかりに西田に襲いかかっ


「かかったね」


 口の中へ隠していた炎熱球を放り込み、それは体を突き破る程の熱線を放ちながら大百足の体内で大爆発を起こす。



「流石にそこまでは考えてなかったみたいでよかった」


 ボロボロに焼け焦げた死体が消え、発生した一枚の盾を持ち上げながらそう言う。


「耐熱性のある百足の盾か」


 鑑定を使い概要を見た西田は、今回の事を書き込みながら迷宮の外へと出るのだった。



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