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現代迷宮は世知辛い  作者: バトルマニア
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毒鼠迷宮の最終周回


 無事全員が毒鼠迷宮をクリアした後に、予定通り追加で四人での連続20回目の最後の戦いに挑むためにボス部屋の前に陣取っていた。


「大したことなかったな」

「タメ張ってたらこんなもんだろ」

「ですね。病魔全く効きませんでしたし」

「うん。数増やしたりブレス吐いた時は驚いたけど」


 実に様々な戦術で四人へ攻撃を仕掛けてきたボスだったが、努力も虚しく簡単に周回されていた。


「四人でやればこんなもんか」

「強くなってるはずなんですがね。こちらがそれを上回っただけですよ」

「四人で袋叩きだぞ。こうもなる」

「数を増やせば各個撃破、一体に集中させれば寄ってたかってハメ技。えげつない……」


 数を増やして戦えば西田の圧倒的火力に耐えられず、少数精鋭では西田が張った炎の壁に阻まれている間に残り三人に各個撃破されていく。おまけに最大強化された一体のボスを出すと、ハメ技が待っているというクソ仕様であった。


「ブレスに霧噴射、液体とか触手?みたいな技も使ってきたな」

「スキルの応用は知ってたけど、あれほどとはな。勉強になったし使えるようにもなった」

「いや安藤さん。あれは改造受けた魔物だからですよ。普通の魔物はあんなのできませんから」

「そうだね。まぁ安藤さんはそれも吸収しちゃったんだろうけど」


 ボスを改造してスキルの応用幅を広げた個体も出てきていた。因みに肉体変化は流石の安藤でもできないので安心してほしい。スキルや吸収物に合わせて少しづつ変化しても、大きく人間の範疇から離れることもなければ、間違っても骨格が変わったり触手が生えてきたりは今のところはしない。まぁ裏を返せば、人間として保てるならどんな変化でもすると言う事だが。



「っと、リポップしたな」

「じゃあ行きますか」

「そうですね」

「最後はどんな相手だろう?」


 そうしてボスのリポップが終わったのを確認した後に、四人はボス部屋へと入る。


「おお……なんというか」

「これは……ですね」

「ヤバい見た目してんな」

「ゾンビみたい……」


 そしてご対面したボスの姿に、四人は絶句した。明らかに、今までと違うのだ。西田の言ったように、ゾンビと表現するに値するほどには……


「暴走……と変異だな」

「目、血走ってますよ」

「今にも飛び掛かってきそうだな」

「触手でも生えてきそう」


 反応は様々だが、総じてヤバそうな雰囲気を感じていた。


「これは特別ホンキでいくしかないな」

「強化かけ終わりました。攻撃もいつでもできます」

「先手はこっちの方がいいな」

「援護は任せてください」


 そうして一瞬で準備を済ませた四人は、安藤が走り出したのを合図にボスも含めて全員が動き出す。



「こいつッ!?」


 だが今までとは一線をかくすかのような速度で迫るボスに、安堵は驚きギリギリで噛みつき体当たりを回避し、すれ違うざまにまずは一太刀入れ――


「止まれ!」


 西田の熱線がボスの脳天を貫いた。しかしボスの勢いはなくならず、三人のいる場所へと突っ込む。


「はぁっ!」


 散り散りになり回避と同時にボスを囲った三人。そこで一番最初に攻撃したのが、吉泉だった。威力を重視した大ぶりで隙だらけな刀の振り落としに、ボスは即座に鋭い爪を振り吉泉を八つ裂きにしようとする。


 しかし――


「おらッ!」


 スレスレで転移で逃げられ、田中の斬撃がボスを大きく傷つける。それに遅れて反応したボスは、その場で急転回して、大暴れと共に尻尾を振るおうとした。


「忘れんなよ!」


 だが気配を消していた安藤に後ろ足部分を斬り裂かれ、一気に機動力を削がれる。


「やりますよ!」


 西田の声に三人はその場を離れ、傷を負ってもがくだけのボスが取り残される。そして西田の目一杯の火炎弾が炸裂し、眩い光と共にボスは爆炎に飲まれた。



「これでやれたかな?」

「だと嬉しいんだが」

「無理でしょうね」

「まあだろうな」


 何かを感じ取った瞬間に、振り払われるように火炎が吹き飛ばされ、背中から触手を生やしたボスの姿があった。そして足の応急処置を終え、更に強化されたボスは、最大強化状態の四人に匹敵するレベルの速度で迫りくる。


「こいっ!」

「やってやら!」

「かかってきなさい!」


 それを向かい打つのは、田中と安藤と吉泉だった。三人は完璧なタイミングで、田中がボスの顔面を斬り突進を歪め、安藤と吉泉が追撃の触手を斬り裂く。


「消し飛べ!」


 そして追撃と言わんばかりに追加で迫ってくる触手を、西田の熱線が焼き払った。


 それに負けじとボスは背中だけではなく体中から追加で触手を生やし、強引に強硬突破をする気で目の前の三人を八つ裂きにしようとするが――


「「「「はぁッ!!!」」」」


 圧倒的機動力の前にとらえきれず、三人の間を縫って火炎弾や熱線が飛び交うせいで、焼かれ斬られをひたすら繰り返す。


 しかしボスは倒れることも諦めることもなく、殺意を振りまき 回避も防御も捨てて強引に攻撃を繰り返す。


「なんて生命力だ!」

「肉体活性だ!こっちも取ったが流石にあっちの方が上みたいだな!」


 身体強化系の一つである肉体活性は、単純な身体強化と再生や回復能力などの強化も含まれている。それによりタフネスと化したボスは、長期戦をもって彼らを倒そうとした。


「だったら攻撃し続けるのみです!」

「はい!体力だったらこっちだって負けてません!」


 だがボスは勘違いしていた。火力や隙を突いての短期戦で戦っている彼らだが、長期戦もできるのだ。なんせ重ね掛けされた回復と、安藤の吸収があるのだから。


 その結果は……


「終わりじゃ!」

「くたばれ!」


 ボスの体力に陰りが出始め、反応が遅れると言う致命的なミスが発生する。その隙を見のがさなかった安藤と田中が勢いよくボスを斬り裂き


「これはどうです!」


 更に反応が遅れ二人に逃げられた挙句、吉泉にも深く斬り裂かれ


「終わりだ!」


 転移で消えた吉泉の瞬間に、西田の熱線が傷口を抉り、赤い線が引かれると共にボスを真っ二つにした。




「……終わったか?」

「そうみたいですね」

「強かったな」

「うん、疲れたよ」


 ボスの死体が消え、そこに一つの指輪が落ちたのを確認した四人は、ドロップ品を回収して迷宮を後にしたのだった。




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