能力の等価交換
100レベを超え120~130レベまで上がった三人と、とりあえず100レベまでこれた安藤。今回は三人が主体となるが、共有で安藤にも恩恵があるので何ら問題はなかった。
「じゃあ、俺の等価交換を試すぞ」
「そうだな。やっとだ」
「ですね。どうなるんでしょう?」
「うん。楽しみにしてたからね」
そう言い田中は等価交換を自身へと使う。
「レベルとかスキルに使えるっぽいな」
「それは基礎レベルをスキルレベルに変えられるってことか?」
安藤が田中にそう尋ね。
「それだけじゃない。ステータスに書かれているすべてを自身に完全に定着させることができるらしい」
「なんですかその出鱈目な能力は……」
「おかしすぎる……」
「ちょっと規格外過ぎませんか?」
実はこの世界、ステータスシステムを封じる道具やスキル、異能などがある程度認知されていたりする。とは言え貴重なものなので一般には出回ってはいないが、迷宮の罠や一部の探索者、警察機関などが保有しており、その対策ができるとなれば大きい効果が見込まれる。
「実力通りのレベルになるってことか?」
「ちょっと違うな。大して力を落とさずに実力を維持できる」
「まぁステータスをバグらせてるんですかね?」
「でもそれだとレベル上げずらくなるんじゃ?」
レベル上げは、明確に強くなった段階ごとに上がり、それがステータスシステムの測れる限界値まで続くのだ。だからレベルが上がれば上がるほど、強くなり上げずらくなる。基礎レベルを等価交換で変換しても、システムは残るので、身体能力や数値上のレベルが下がっても、成長予測分の補助は残り実力を大して下げずに済む。
「まさかスキルを再取得とかできたり?」
「あ!そうか、20レベ上げるごとにスキル取得できるから」
「そううまくいくか?」
「まぁやってみればわかるだろ」
流石にバグらないかとか、対策されてるんじゃないかとか意見が出るが、やるだけやってみようということになり、さっそく田中が自身へ異能を使った。
「ん~、わからん」
「そうですか?なんか微妙に力入った気がしますけど……。それにレベルは減ってるんですがね」
「レベル減って強さ変わってないんだったらそれでいいんじゃ?それに僕の共有で繋がってるみたいですね、これ」
「だな。と言うことはこっちの吸収みたく分散されてるのか」
力の入り具合はよくわからなかったが、少なくとも共有されていることから、分散しているとはいえ強化はされているようだと結論付ける。
「レベル低いからか?それとも分散されてるから?にしても随分とみみっちいな」
「まぁ100レベ台は、世界に通用するプロスポーツ選手ぐらいの身体能力ですし、人間の領域超えてないとわからないんでしょう」
「割合的な話なら感覚で理解するのは難しそうだがな」
「まぁでも、使い方は色々考えないとですね。スキルの件もありますし」
そう話して四人は、次にスキルの実験をすることにしたようだ。その雰囲気は少々興奮気味で、こちらが本命かのようだった。
「じゃあ次は、スキルの方だな」
「うん、じゃあ僕のでやって」
「おう、分かった」
田中は西田のステータスに能力を使い、基礎レベルを消費しスキルレベルを上げる。
「ん?なんか……抜けた?」
「レベル下がってるから、成功したみたいだな。その分だろ」
還元とは違い、スキルとの等価交換は想定通り力が抜けたようになっていた。
「力の低下なしでの共有か。スゲーことになりそう」
「ステータスですからね。まぁ力が下がらないのは異能うにかしてるんでしょう。それっぽい事書いてましたし」
30レベを消費し、並列処理がレベル2になる。それはみんなに共有されたようで、こちらは良好な結果だ。
「で、コストはどれぐらいなんだ?」
「感覚的には……ちょっとステータス見てくれ。こんな感じだ」
口で伝えるのがややこしいのか、ステータスに書きこみ始める田中。
※下位スキルの場合。
・スキルLV1=100レベ台の10レベ分
・スキルLV2=200レベ台の10レベ分
・スキルLV3=300レベ台の10レベ分
・スキルLV4=400レベ台の10レベ分
・スキルLV5=500レベ台の10レベ分
適性スキルはレベル0扱い。等価交換使用時に下位スキルに10レベ、中位スキルだと20レベ、上位スキルだと30レベ、最上位スキルだと40レベ、特級スキルは50レベを対価に強制レベルアップ。
「やべぇ……これスキル取り放題第二弾になっとる」
「適性スキルってレベル0って扱いなんですね……」
「あれ?これじゃあ上位スキルの並列処理上がらないんじゃ?」
「スキルの重ね掛けだ。新しく取得した判定だからそれでレベルアップしてる」
同じレベルのスキルが重なればレベルが上がるのだが、等価交換はそれを利用した仕組みらしい。
「例えば、スキルレベル4のスキルがあったとして、レベル5にするために400代の基礎レベルが必要になるってことだ。スキル重視にするんだったら還元するよりスキルに回した方がいいな。それにもしかしたら、あれもあるかもしれない」
「確かに……それにあれってまさか……」
「レベル5の壁を越えられるんですか?」
「あの600レベ台の実力者でも少ないあの領域に?」
言ってしまえば誤作動を利用しているだけなので確証はないだろうが、もしもの事を考え戦慄する。ステータスを超えスキルの力を我が物とできる領域に……
「とまぁ、等価交換がどこまでできるかわからんが、先のことは未来の俺たちに任せよう」
「そうですね。だからと言ってすぐすぐ強くなれるわけではありませんから」
「うんうん、まずは堅実なレベル上げをしていかなきゃ話にならないよ」
「だな。そうと決まればあれするか。かねてより予定してた迷宮攻略を」
そして四人は難しいことを考えるのをやめて、吉泉のレベルを使って回避のレベルを引き上げ、次の検証のために迷宮攻略の準備を始めるのだった。




