それから一か月
ローテーションで各迷宮を回り続けて一か月が過ぎていた。新しいものを買ったり買い替えたりとしているため相変わらず金には困っていたが、それ以外だとそこそこの成果が得られていたこともあり、大方満足はしていた。
一人を除いては……
「やっと100レベになったな」
「すまん俺が遅いせいで」
「気にしないでくださいよ」
「そうだよ。仕方がないんだから」
安藤のレベルがやっと100レベになった記念日なのだが、当の本人は成長が遅く申し訳ない気持ちで一杯だった。なんせ他の二人は120~130レベになっているのだから、足を引っ張っていると思っても不思議ではない。
「別にいいんだが……そうだな。このペースでいくと更に遅れそうではあるな」
「対策しなきゃいけないね」
「もっと倒さなきゃ」
「ははは……そうだよな」
誰でもなれるレベルでさえここまでの差が開いているのだから、これからは更にさが開く可能性がある。それは嫌なことではあったが、それ以上にレベリングに勤しめばいいだけの話であった。
「じゃ、ステータス確認と行きますか」
「そうだな」
そう言い、全員はステータスを見せ合う。
・名前 田中 啓一
・性別 男
・状態 迷宮の怨恨
・LV122
・異能 等価交換……LV1 存在するものを等価交換できる。
LV2 交換物を保存できる。
LV3 能力の等価交換ができる。
・スキル 武器術LV3、感知LV3、体術LV2、再生LV2、対物理LV2、健康体LV2、強靭LV2、思考加速LV2、心体強化LV2、自動回復LV2、運転LV1、鑑定LV2、虚偽LV2、機敏LV4、回復術LV2
・名前 吉泉 健太
・性別 男
・状態 迷宮の怨恨
・LV126
・異能 転移……LV1 体力を消費して瞬間移動をする。
LV2 障害物を無視して移動できる。
LV3 無生物の転移ができるようになる。
・スキル 武器術LV3、空間把握LV3、体術LV2、再生LV2、対物理LV2、健康体LV2、強靭LV2、思考加速LV2、心体強化LV2、自動回復LV2、運転LV1、鑑定LV2、虚偽LV2、機敏LV4、回復術LV2
・名前 西田 和希
・性別 男
・状態 迷宮の怨恨
・LV130
共有……LV1 外部影響を共有する。
LV2 再分配できる。
LV3 良好状態を共有する。
・スキル 武器術LV3、炎操術LV3、強化術LV3、回復術LV2、探知LV3、隠密LV3、体術LV2、再生LV2、対物理LV2、健康体LV2、強靭LV2、思考加速LV2、心体強化LV2、自動回復LV2、運転LV1、鑑定LV2、虚偽LV2、機敏LV4
・名前 安藤 博
・性別 男
・状態 迷宮の怨恨
・LV100
・異能 吸収……LV1 体力などを吸収する。
LV2 強化などを吸収する。
LV3 能力などを吸収する。
・スキル 武器術LV3、体術LV2、病魔LV4、溶解LV3、分裂LV2、再生LV2、対物理LV2、健康体LV2、強靭LV2、鑑定LV2、思考加速LV2、心体強化LV2、自動回復LV2、運転LV1、虚偽LV2、機敏LV4、嚙砕LV3、回復術LV2
「スキルの数異常だな」
「こっからさらに10個も増やせるんだぜ」
「ないんでしょうけど副作用が出ないか心配です」
「そうだよね。僕もそう思った」
一か月をかけて初心者抜けのレベルとなったが、スキルの量はすでに上位陣に食い込めるほどにまで増えていた。
「でも一度取ったスキルはさて置き、候補の中に上位スキルとかあまりでてきませんね」
「たぶん無理矢理継ぎはぎしてるからだろ。正規の手段で手に入れてねぇんだし」
「僕もそう思います。才能や経験があってこそのスキルなのに先に結果だけが出てるので」
「そうだな。突然湧いて出てきた可能性に当てはめてるだけって感じするわ」
前提も過程も経歴もなくぽっとでで出てくる可能性なのだから、隙だらけであっても何らおかしくはない。そういう面でスキル候補を見ると、まとまりのない乱雑なものに見えるだろう。
「ま、それでも数こなしゃいいんだ。簡単なもんだろ」
「同意見です」
「じゃ、スキル決めようぜ」
「そうですね」
そうしてどんなスキルを取るか考え始める四人。
「やっぱ探知系は全部揃えとこうか。不意打ち怖いし」
「それなら罠術取ろうよ。あとで必要になるだろうし」
「耐性系も取れるだけ取っておいた方がいいか」
「並列思考は便利らしいから取っとこうぜ」
どうしようかと夢を膨らませながら四人はスキルを選んでいく。そして選ばれたのが……
「感知系と隠密系全部と、余ったところに並列思考、並列演算、回避でいいか」
「そうだな。今のところそれでいいだろ。精度上げときたいし」
「またレベル上がりましたら次のを取ればいいですしね」
「そうだね。チャンスなんていくらでもあるし」
探知系として、感知、探知、察知、空間把握を取り、隠密系は隠密、潜伏、偵察と適当にそれっぽいものを取得する。そして思考系は便利で有名な並列思考、並列演算を取っていた。それ以外は田中の言った通りだ。
「上位スキルになったぞ」
「調べたとおりですね」
「詳しいことはわからんがな」
「どういう構成なのか全くね」
探知系は『把握』と言うスキルに、隠密系は『暗躍』と言うスキルに変化する。そして思考系は『並列処理』へとなった。これ自体は喜ばしい事なのだが、実はなぜこうなるのか正確には誰もわかってはいない。
「隠密系だけでも10個も、それに感知系とか思考系はそれ以上に種類があるのにある程度数揃えればこういうスキルになるんですよね」
「すべてに言えることだが、若干違うスキルが生まれたりするしな」
「分岐多すぎてわかりませんよ。情報少ないですし」
「何に特化してるかの違いだろうって言われるが、如何せん数が多すぎてな」
探索者組合の公式サイトにあるスキル一覧表には、多種多様なスキルが大量に掲載されており、みんなはこれを参考にしてスキルを取得していく。そんな中、限られたスキル取得を変なスキルに回す者は少なく、たまたま手に入れてもそれは基本秘匿されるため、定番と言われているスキル以外はあまり情報がない。
「ま、それもそれで仕方がないことだ。俺たちは堅実に行こう」
「ですね。いくら手が多いとはいえ危ない橋は渡りたくありません」
「そうだな。やろうと思えば魔物からスキル取ってやればいいだけだし」
「あとスキルオーブもですね」
そうしてスキルを取り終えた四人は、次の事をするために田中の異能を確認するのであった。




