とある探索者の休日
雷久保と清水は、久々に休日を取り、装備を整えるために買い出しに出ていた。
「いや~うちの会社はホワイトだね~。週に三日も休みがもらえるんだからよ」
「こちとら命がけなんだから当然だろ。まぁ休日も個人で迷宮潜ったりこうやって装備整えたりしてるだけだがな」
勿論場所はショッピングモールだ。朝からガヤガヤと賑やかで、普通の客は勿論、迷宮に潜る前に足りないものを買いに来ていたり、二人のように事前に準備するために買い物しに来る客もそれなりにいる。
「給料も高いし、迷宮攻略のための買い物は会社が出してくれる。最高だね~」
「ま、ここまで稼げるのは俺たちぐらいだろうよ。それに迷宮攻略関係は経費になるんだよ。迷宮関係には補助金も出るから願ったりかなったりだな。企業としては」
目的の探索道具売場に来た二人は、雑談しながら商品を見ていく。
この世界では迷宮は最重要なものなので、各国は様々な優遇政策を打ち出している。探索者組合もその恩恵を受けているし、その他企業や個人事業主なども申請や報告をするだけで免税や補助金を受けれるのだ。
「だが流石にあれは無理だな、今は」
「テント一つで300万。消耗品でこの価格は高いな」
上位の迷宮に行けば行くほど儲けられる場所は増える。それと同時に迷宮の大きも際限なく広がり続け、一周するだけで寝泊まりすることも視野に入れなければいけない迷宮も少なくはない。そんな時に使われるのがテントなどであり、快適に過ごすには必須な道具である。
「最低値であれだぜ。手が出んわ」
「昔に比べれば手が届く値段ではあるみたいだがな」
他様々な探索道具にも言えるが、発売当初に比べればすべて半値以下である。時間が経ったことと上位の迷宮が発見されたことにより、技術が進歩し、職人が増え、より多くの補助金が出るようになったのだ。できるだけ多くの富と資源を、迷宮から回収するための布石とも言える。
「これとこれ買うか、そういや次の迷宮どこ行くよ?一応草原迷宮のノルマが終わった後の話だが」
「あと一か月もあるからな。レベル的にその頃には別の迷宮行きたいんだが。そうだな、次の場所の下見でも行くか?っと、術式付与はいいか、どうせすぐ壊れるし」
服やその他の装備を買い揃えて行く二人。因みにここは専門職でない一般客も多く入る店なので、術式が付与してある商品は少ない。一応頼めば術式も付与してくれるサービスもあるが、高いわりに微妙なので二人は頼まない。
あと迷宮の数自体は多いが、いい迷宮の数は多くはない。よって必然的に行く場所は限られるのだ。
「一番デカい洞窟迷宮は最後にして、やっぱ二番人気のシャッター迷宮か?推奨レベル200だし丁度いいだろ」
「そうだな。草原迷宮のノルマが終われば、ある程度自由が利くしよ。この地域のエリア社員としては他の迷宮もほっとけないが、あそこら辺を中心にしてもいいだろ」
雷久保と清水は、この地域のエリア社員として、国からの外部委託の迷宮管理部門枠で雇われている。なので定期的に、この地域のすべての迷宮に潜らなければいけない。現在は最終試験期間中であり、来月から本格的に仕事が始まる予定なのだ。
「攻略班とか調査班はごめんだから丁度良かったもんだぜ」
「初見の迷宮はリスク高いし、細々としたことは専門外だからな」
資金を溜め、実力とコネを付けつつ独立するのが彼らの目標なので、激務や専門性を必要とする仕事は専門外だ。
「とりあえず会計行くか」
「そうだな。次は食料売場でも行こうぜ」
そうして探索道具売場での買い物を終えた二人は、次の買い物をするために移動するのだった。




