休日
休みを取ることにした四人は、朝から近くのショッピングモールへと来ていた。
「出かけると言ったらこういうところだよな」
「田舎あるあるですね」
「都会みたいに店多いわけじゃないし」
「あるだけマシだろ」
そういいながらショッピングモールに入り、あらかじめ決めていた場所へと向かう。
「探索道具売場と食品売場だったな」
「生活備品買いたいから雑貨店にも寄ろう」
「大判焼き買いたいのでそっちも」
「俺も折角だからシュークリーム買いにいくわ」
このショッピングモールは、普通のショッピングモールと比べ、人気の迷宮から近いこともあり探索者向けの商品が多い。探索者になってから、四人がよくお世話になっているところである。
「私用品も探索者用の買っとけばいいだろ」
「確かにそうですね。長持ちしますし」
「高いけどね。性能はいいから」
「とにかく安いのだ。割引品見にいくぞ」
安藤の性格も大きいが、真っ当な方法で稼げないので、常に安いものを求めているのだ。特に探索者用の道具は、実用的かつ高品質なものが多いので生活用品に代用もできる。割引コーナーにいいものがあればなおのことよしである。
「相変わらず高いな。まぁ品質相当ですからこれぐらいが妥当だろうが」
「田中さんがいてくれれば詐欺られずに済みますね」
「なんとなくとは言え、価値がわかるってすごい能力だからな」
「うんうん、等価交換の付随能力だからね」
探索道具売場についた四人の感想はそれだけだった。なぜなら、入り口付近に置かれているキャンプ用の道具たちのせいである。これぞ探索者と言えそうなガチ目の探索セットが堂々と置かれてあり、セットとはいえその値段は、今の彼らでは手の届かないほどの金額だった。
「テント一つで300万って」
「しかもこれ、上級者向けとはいえ汎用型ですからね。特注だと1000万超えるって話ですよ」
「手の届かない話だな」
「そうですね」
ふんだんに術式が仕込まれた汎用型のテントですら、数百万からが当たり前なのだ。更に上位の迷宮や各迷宮に合わせた特注品、その上にあるすべての迷宮や環境に対応できるテントともなれば軽く数千万など超えてしまう。これが消耗品扱いなのだからやってられない。
「迷宮品は作るの大変だからね」
「全部手作業だっけ?機械化できないのがつらいよな」
「ほぼ人海戦術ですよあれ。話によるとスキルの関係で職人は100レベ超えが当然にいるそうですし、迷宮産の道具や武器を解析する研究者はもっとシビアらしい。解析系がないと話にならないらしいし」
「専門職はスゲェな。一般人じゃ100レベ超えてる人少ないのによ」
スキル欲しさにレベルを上げる人も多いが、それでも危険が付きものの迷宮に入りたがる人は少ない。なので一般人でレベルが100を超えている人はそれほど多くない。
そうやって雑談しながら商品を見ていき、お目当ての割引品がないかをチェックしていく。
「懐中電灯に靴下に下着類……こんなもんか」
「サイズもちょうどいいし、とりま下着類だけ買っとくか」
日常生活でも使え、かつ消耗品である装備や衣類系は買っておいて損はない。割引で売られているのであればなおさらである。
「ホント便利ですねその異能」
「そうだね」
田中の異能で、普通に買うのに加え必要数を等価交換して増やせる。これにより一つでも売っていれば、その場限りで水増しできてしまう。
「足りない分もいくつか買おう。特に作業着も」
「ライト付きのヘルメットも」
「安全靴も忘れないでくださいね」
「軍手もな」
探索者が取りそろえるような専用装備など高くて手が出ないので、いつものように作業着スタイルでいくようだ。安価な上丈夫で高品質ではあるが、術式など一切ほどこされていない一般向けの装備と言っていいだろう。
「いずれはちゃんとした装備も買ってみたいな」
「そう……いや、いっそのこと自分たちで作ってみるか?」
「なるほど、確かに名案ですね」
「だったらそういうスキルも集めなきゃね」
知識や技術も重要だが、一番はスキルである。これがなければ術式の付与ができないのだ。そうやって楽しく会話をしながら買い物を済ませるのだった。




