結果
夜になり四人は、今日の成果を共有するために拠点へと戻っていた。
「リュックがパンパンだ」
「組合行って多少売ったはずなんですけどね」
「限界まで狩ればこうなるだろ」
「次はもっと容量のいいやつか専用のスキルが欲しいなっと、等価交換するぞ」
怪しまれない工作はきちっとしながら動けるのも、田中の等価交換あってこそだ。これにより過剰分のドロップ品を誰にもバレることなく換金できる。なお吉泉が見つけた宝箱の話は、珍しいぐらいで終わった。
「うおっ、すげっ!」
「これはこれは……」
「これほどとは……」
「なかなかなもんだ」
50万もの大金を前に興奮を抑えきれない四人は、小躍りをしていた。
「これを続ければ初期投資の大半は取り戻せるな」
「あれを毎日続ければ……」
「月給1500万は超えるぞ」
「普通の二級探索者ぐらいはいけるな」
おまけに異能により謎経路で生み出しているので税金はかからない。というより証拠も何もないのでかけようがない。そして一旦金に換えているだけで、買い物も大半は等価交換でどうにかなるので、彼らが散財でもしない限りは金を持っていること自体バレることはほぼない。
「で、レベルとスキルの方はどうだ?」
「みんな大体15レベぐらい上がってる」
「スキルはちっともですけどね」
「こっちは鼠から吸収した病魔のスキルを3まで上げたぞ」
安藤の言葉に三人は一瞬固まり
「いくら吸収してるからってそれは……ってホントだ!?」
「マジか!一日で!?おかしすぎんだろ!」
「安藤さん、あなたの能力ちょっと強すぎません?」
次の瞬間には嘘だろと声を上げていた。
「いや、確かにそっち面じゃ強いけど、レベルアップには貢献できてないし」
「その分考えたら調整取れてんのかな?」
「まぁ、そっちはねぇ」
「それでもスキル取り放題は羨ましいですよ」
魔物を倒した数で言うなら安藤が一番多い。他三人は数千体なところ、安藤は一万体は魔物を倒しているからだ。いくら同格以下とはいえ、それなのにレベルアップへの貢献度は1か2程度だろう。スキルもレベル1とはいえ、それだけ集めても3を超えることはなく、逆に吸収率が落ちて終盤は能力の上がり幅は雀の涙と化していた。
なおこれほど魔物が生成されて集まってくるのは呪いのせいなのだが、それをうまみとしか思っていないこいつらはもっと異常である。
「それに吸収率が下がってんだよ。特に能力吸収がな。時間置けばマシになるけど、これじゃ効率下がる一方だ」
「マジか。それは大変だな」
「能力使いすぎだね」
「もっと検証が必要ですね」
異能の低下にさほど驚いていない三人。なぜなら異能とは身体機能の一つなので、過度に使いすぎれば疲労して機能が下がるからだ。だから休めば元に戻るが、問題は思っていた以上に限界が近いことであった。
「まさか基礎レベルと異能レベルが釣り合ってないからか?」
「それあるかもね。普通基礎レベルに合わせて強化されていくから」
「それに比べてスキルは便利だよな。どれだけ取っても問題ないんだから」
「スキルは能力というより、外付け用の補助機能らしいですからね。アプリみたいな?ところで今回はどんなスキル取ります?」
そうして話はスキル取得に入った。
「西田と安藤か。どうするお前ら?」
「僕は心体強化が欲しい。よく考えれば、あれがあれば操術系の効果上がるから」
「確かにそうですね。体力があっても精神力がなければ効果上がりませんし」
「基礎能力は上げといて損はねぇしな。あと今の迷宮で問題なくても、他の迷宮では通じないかも知れねえし。てかボス戦がどうなるかわからんし」
今回の迷宮探索で呪いの強力さをある程度理解した四人は、これからのことを考え直して心体強化を先に取ることにしたようだ。早めにとった方がスキルレベル的にもうれしいというのもあるだろう。
「安藤は?」
「回復術だ。これで回復薬とかを抑えられるぞ」
「確かに、いつでも回復できるのはうれしいね」
「回復薬も高くなればバカになりませんからね」
いつの間にか生えてきていた回復術という便利なスキルを選んだ安藤。これは高レベル者やそのパーティーなら大体が持っているもので、スキル性能も低レベルでも軽い怪我の回復から状態異常の回復までこなせ、高レベルになると四肢の欠損や大病をも治せるらしいものだった。
「にしてもよくそんなの出てきたな」
「四人分の経験と安藤さんの吸収がありますからね。どこから来たのかわかりませんよ」
「そうだな。……んっ!弱体術とかもある。今度取ろ」
「こっちも確認しとかなきゃな。多すぎて何が何だかわからんし」
更に候補が増えたスキル一覧に、どこまで行くのか見当もつかない四人。現在進行形で増え続けていると言われたら普通に納得するほどである。
「ま、今回はこれぐらいにして、明日のために休むか」
「……ちょっといいか?」
「どうした?」
そこで明日も頑張ろうと田中が言ったが、安藤が意見を口に出す。
「それなんだが、明日は休まないか?最近ちょっと動きすぎな気がするから」
「……そうだな。この短い間に色々あったしな」
「安藤さんは当然ですが、私たちも能力が疲労してるかもしれません。その件も考えて休むべきですね」
「細かい検証もいつでもできるしね」
そうして明日が休みの日となったのだった。




