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黒髪の少女
予定時刻、21時になった。
管理人がちょうど腕時計を見た時、爆音が徐々に近づき…一台の大型バイクが、駐車場に凄いスピードで入って来た。
8人が半ば唖然とそちらを見ていると、バイクに乗った人物がメットを外しながら近づいてきた。
真っ黒な、腰まであるストレートの髪。
まだ16歳位の、少女に見えた。
管理人が慌てて声を掛ける。
「君、どうしたの?」
少女は小さな声で答えた。
「…私も、参加希望者です。パートナーは訳あって本日来れなくなりました。」
管理人を、真っ黒な瞳でじっと見る。
非常に整った容姿なのに、どこか…陰気くさい。
少女は、上から下まで黒づくめで、更にバイクまで黒だった。
気圧された様に、管理人は言う。
「…別に一人でもいいけど、ペアで入って貰うからちょっと怖いかもしれないけど…」
「構いません。」
そう言って初めて笑顔を見せた。
しかし、信夫と深雪はその笑顔に…獲物を狙う猛獣の様な印象を受けた。