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この石には意志がある!  作者: 一狼
第2部 「猛女」 / 第5章 Alice神教教会・対決編
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081.隷属

 こっちに向かって来ていた3匹はゴブリンジェネラルだった。


 とは言っても、ゴブリンキングすら相手にならなかったのに格下のジェネラルが相手になるはずも無く、ほぼ瞬殺と言っていいくらいにあっさりと片付いた。


「うそ……ジェイコブ達3匹までも……」


「まー、ゴブリンキングよりは弱かったからねー」


 おそらくこれ以上の戦力は無いのだろう。


 今度こそ本当にコーリンは心を折られ、項垂れていた。


「さて、どうしようかー」


 コーリンがこれまでしてきたことを考えれば赦すと言う事はあり得ない。


 まぁ、ここで命を以って罪を償うのでもいいのだが、問題はこいつが勇人部隊の1人と言う事だろう。


「(どういうことー?)」


『別に勇人部隊の報復とかは怖くは無いんだが、ずっとつけ回されたり、アルベルトのように身内とか知り合いを人質に取られたりすると、面倒なことになりそうだなと思ってな』


「(そっかー、そうすると行動が制限されたりするもんねー)」


『そうすると、勇人部隊には報復されずに、且つシークス村への償いも考えなければならないと言う事ですね』


『うわっ、めんどくさ! あたいはそう言うのはパス。頭の良い奴らで考えて』


『我は愚考する、始末するべき、知られなければ問題ない』


『確かにそれが一番楽な方法ですが、客観的に見てもいつかはバレますよ』


『オレ様も始末する方に賛成だ。そのバレるまでの時間稼ぎが出来ればいいんじゃないか?』


『みんな、物騒だょ……もぅ少し、穏便な、方法は、無ぃのかな……?』


『この女がいろいろやらかしている時点で穏便な方法は無いわよ。と言うか、この女の事もシークス村の人たちに話すの?』


 うーん、それもあるんだよなぁ……


 ただゴブリンがたまたま何度も群れを成していたのか、それとも裏でコーリンがシークス村の蹂躙を企んでいたのか。


 それだけでもシークス村への対応が変わるからなぁ。


『Hey! You達、Stoker野郎の事をForgetしていないKa!?』


「『『『『『『『……あっ!?』』』』』』』」


 やーちゃんの指摘で皆が今更ながらその事に気が付いた。


 コーリンとの戦いのどさくさに紛れて、マードックは逃げ出したていたのだ。


 抜け目ないと言うか、流石勇人部隊と言うか。


 尤も、俺はちゃんとマードックの奴が居なくなっているのは知っていたよ。


 ちゃんと【索敵】や【追跡】【マーキング】のスキルで奴の位置は把握してます。


 実はマードックの処分も含めてのコーリンの処遇の検討だったんだが。


『まぁ、先にマードックの身柄も抑えておくか。その方が余計な心配をしないで考えられるし』


 取り敢えず、敵意のなくなったコーリンを【スリープ】の魔法で眠らせて、ふーちゃんに乗ってマードックの元へ向かう様に指示を出す。


『よし! あたしの出番ね!』


『どうせだから光速モードで追いかけろ』


『えー! あれコントロールが難しいんだよね~』


『そのコントロールを磨くための実戦練習だよ』


 ふーちゃんは不満を漏らすが、分からないわけでもない。


 俺の【森羅万象】と同じく、ふーちゃんの新しい3つ目の能力はコントロールが難しいのだ。


 ふーちゃんの3つ目の能力はただ単純に光速で移動が出来ると言うものだ。


 搭乗者であるジルをも光の粒子と化し、全ての障害物を素通りする事が出来る。


 但し、コントロールを誤れば粒子状態であろうともジル自身や障害物にも衝撃が起こったり、調節を誤ればちょっとの移動で何千何万キロも移動してしまうと言う事だ。


 まぁ、そうならないためのコントロールをこの20年の間、みっちり練習してきてはいるが、まだまだ完全とは言い難かったりするんだよな。


『それじゃあ、いっくよー!』


「ふーちゃんー、ゴー!」


 一瞬の間にマードックの元へと辿り着く。


 っと、辿り着くどころか、ちょっと追い越してしまったな。


 やっぱり光速で動くのに精密なコントロールは難しいみたいだな。


「ふぅ……、ここまでくれば安心だろう。ってか、クソッたれ。美味そうな女だと思っていたが、まさかの劇薬だったとは」


 後ろを気にしながら歩いている所為か、すぐ目の前に居るジルに気が付かないマードック。


「はぁいー、どこにいこうとしているのかなぁー?」


「って、うぎゃぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!? 何でここに居る―――――――――っ!?」


『驚き過ぎだよ。お前、それでも勇人部隊の副長かよ。【スリープ】』


 驚いている隙を突いて【スリープ】の魔法を掛けて眠らせる。


『ジル、悪いがマードックを担いでコーリンの所へ戻るぞ』


「うんー? どうするか決まったのー?」


『まぁ、な。多分これがベストな方法だと思う。ベストじゃなくてもジルにメリットがあるからな』


 マードックに【レビテーション】の魔法を掛け浮かせ軽くし、ジルが担いでコーリンの所へと戻る。


『それで、どうするんですか?』


 皆を代表して、ぼーちゃんが質問する。


『ここで始末するのは簡単だけど、それは何時でも出来る。と言う訳で、どうせならその命、ジルの為に使わせてもらおうと思ってな。命を奪わずに勇人部隊()にも騒がれない様に2人を【隷属魔法】で奴隷契約を結ぶ』


 マードックとコーリンの2人には、悪事を働かない、非道な行いをしない、人の命を奪はない、()の命令には従う等の幾つかの条件を付けた【隷属魔法】で奴隷にする。


 表向きはジルの奴隷と言う事にして、実はペンダントの神銀水晶()の奴隷と言う、ジルの裏を斯こうとしても全くの意味をなさない様にしておく。


『なーるほど。こいつらで勇人部隊の内部を探る、スパイにさせようって事か』


 その通り。


 尤もはーちゃんの言う通り勇人部隊だけじゃなく、Alice神教教会内部を探るスパイをさせる事にもなるだろうがな。


 別にばれて処分されても問題の無い、使い捨てが出来るスパイだ。


『あ! じゃあアルベルト君を裏から助けることも出来るって事!?』


『ああ、そう言う使い方も出来るか』


 ふーちゃんに言われるまで気が付かなかった……


 確かに密かにアルベルトを助ける事が出来るな。尤もアルベルトには突然の心変わりに気味悪がられるかもしれないけが。















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