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この石には意志がある!  作者: 一狼
第1部 「幼女」 / 第1章 ファルト村・激闘編
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007.襲撃

 平穏とは唐突に破られるものである。







 俺がジルに拾われてから数日が経った。


 とは言っても特に変わったことは無く、平穏な日々を送っていた。


 あ~~、変わったと言うか、イベントと言うか、ちょっと前にブランがジルにちょっかいを掛けてきていが。


 まぁ、この時はジルは颯爽と逃げたけどね!


 そして今日もまたジルの前にはブラン達3人が居た。


「今日こそ俺の、お・お・女になってもらうぞ!」


 相変わらず俺の女呼ばわりするのが恥ずかしいのか、カミカミだったが。


 もう何回もこのやり取りしているんだろ?


 少しくらい慣れろや。


「無理ー。お断りー」


 ブランの心中は余所に、ジルはバッサリと切り捨てる。


「ぐぅうぅ~~! ええ~い! だったら力づくだ!

 ベッシュ! ビリガー! フォーメーションデルタだ!」


 ベッシュとビリガーはそれぞれジルの斜め後ろに位置取る。


 あー、なるほど。確かに形はデルタだな。


 只の思い付きの陣形か。


 それともこの間見せたようにこの陣形を用いた練度が高い戦闘を見せてくれるのか。


 と言うか、ブランも懲りないねぇ~


 もう何度も断られているし、全然ジルはブランの気持ちに気が付いてないし。


 ジルも相手してられないとばかりに、前回と同様に逃げの姿勢を見せる。


 お気に入りの1つ、ふーちゃんを足下に出していた。




 名前:ふーちゃん

 形状:ホバーボード型

 能力:浮遊




 この前【鑑定】で見たふーちゃんのステータスだ。


 石で出来た板が宙に浮く――所謂ホバーボードだ。


 何でも浮遊石で出来ていて、ジルがコレクションに加える前から浮き上がっていたらしい。


「おい! また逃げるのかよ!」


「だってー、ブランしつこいんだもんー」


「し・しつこい……」


 あ、マジで凹んでいる。


 ブランはリアルorz状態になっていた。


 ジルはその隙を突いて逃げようとしたが、唐突に後ろを振り返る。


 俺もある気配が【気配察知】に引っかかったのを感じてそちらの方を見る。


『ジル!』


「(うんー!)」


 ジルはふーちゃんを仕舞い、代わりにぼーちゃんを取り出した。


 ジルの様子に訝しんだベッシュとビリガーもジルが睨む方向――背後を見ると驚きを顕わにする。


「「「グルルルゥ……!」」」


「なっ! グレイウルフ……!?」


「何で村の中に……!!」


 背後から近寄ってきた狼――グレイウルフ3匹はあっという間にジル達の前に辿り着き、獲物を逃がさないとばかりに威嚇する。




 種族:グレイウルフ

 属性:土

 脅威度:E:(群れ:D)




 【鑑定】した結果は上記の通りだ。


 強さとしては下位の魔物になるが、群れを成すと上がると言う典型的な魔物でもある。


 ブランもグレイウルフの接近に慌てて面を上げてジルを庇うように前に出て木剣を構えた。


「グレイウルフが3匹も……! ベッシュ! ビリガー! なんとしても追い払うぞ!」


 そう言えば村の周辺に狼っぽい魔物が現れたって話しがあったな。


 こいつらの事か。


 ……しかし、この村は小さいとはいえ、周囲を大人ほどの高さの柵で囲っているからそう簡単には入っては来れないんだがな。


 いや、魔物だからその程度の高さは関係ないか?


 と、【気配察知】にもう1つの反応が現れた。


 3匹のグレイウルフとジルとブラン達が睨みあっていると、グレイウルフの背後から悠々と如何にも野盗と言った1人の男が現れる。


「おうおう、ガキ3匹に雌ガキ1匹か。

 雌ガキ1匹は頭への土産にしてガキ1匹は伝言板でいいな。残り2匹は見せしめだな」


「あんたがこのグレイウルフを連れて来たのか!? この村に何のようだ!!」


 ブランが野盗に威勢よく啖呵を切る。


 7歳児にしては勇気ある行動だが、お前たちはまだ子供だと言う事を自覚しろよ。


「ふははっ! 見て分かんねぇか? 見たまんまだよ! この村を頂きに来たんだよ! 餓狼盗賊団がな!!

 お前らはこの村を頂く前の狼煙代わりだ。ああ、そこの雌ガキは美味しく頂くために連れて行くがな」


 餓狼盗賊団?


 って事はこいつ1人じゃないって事か。


 1人で先行してくるのは余程戦闘に自信があるのか、それとも何か他に目的があるのか……


「頂かれるのはお断りー。

 おじさんが1人で先に来たのは私達に恐怖を煽る為ー? でも残念だったねー。逆におじさん達が恐怖に慄くかもねー。だって私達が今、おじさんを追い返すからねー」


 ああ、なるほど。


 こいつ1人先行したのは盗賊団が来たと恐怖を煽って一か所に纏めて逃がさない様にする為か。


 と言う事は、既にこの村の周囲には盗賊団が包囲しているかもしれないな。


 つーか、ジルさんや、言うね!


 盗賊の男を前にして怯むどころか逆に煽るとか。


 まぁ、確かにこんなおっさんにジルを攫わせるわけにはいかないがな!


「くはっ! 笑わせてくれるじゃねぇか! ガキ共が俺とこいつらグレイウルフを追い返すだと? はははっ! やれるもんならやってみな!」


「ブランー、ベッシュー、ビリガー、やるよー!」


 ジルがぼーちゃんを構える。


「おう! ジルをこんな奴に攫われてたまるか!」


 ブランが更に前に出て木剣を構える。


「村も襲わせはしません!」


 ベッシュが小さな杖を突き出す。


「返り討ちにしてやる!」


 ビリガーが両手に木剣を構え、何時でも飛び出せるようにする。


 そして俺はこの盗賊の【鑑定】を行ない、何時でもサポートできるように魔法の準備を行う。




 名前:トラッシュ

 所属:餓狼盗賊団

 脅威度:D

 スキル:窃盗Lv55











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