061.アサシンバニー3
そもそも【隠密】系を使っている相手に【気配探知】や【魔力探知】を使っても効果が薄いことが今回の事ではっきり分かった。
なので、使うスキルは【看破】、【鑑定】、【真眼】、【第六感】だ。
ふっふっふ、これでアサシンバニーも丸裸だ!
早速スキルをオン!
……居た! ジル達の右斜め後ろ、木の影から様子を伺っていた。
巨大な体を木に隠しているが丸見えだ。
本来なら【隠密】等の効果で隠れているんだろうが、今の俺の前には全く意味をなさない無意味な行為となっている。
ついでにアサシンバニーの【鑑定】効果が現れる。
種族:アサシンバニー(特殊個体)
属性:闇
スキル:暗殺兎Lv99
脅威度:B
おいおい、スキルが【暗殺兎】って……モンスター専用の職スキルか?
えーと、使用できるスキルが【隠密】とか【影隠れ】【剣爪】【抜き足】【差し足】【忍び足】など暗殺に向くスキルが使用できる上に、【火魔法】とか【風魔法】おまけに【雷魔法】まで使用できるとは。
いやはや、確かに【暗殺兎】だな。しかもLvが99だし。
まぁ、俺には通じないけどな!
『ジル、右後ろに居たぞ』
「(了解ー。めーちゃんお願いー)」
『あいよ! あんな兎イチコロだぜ!』
ジルはめーちゃんを取出し前方右へ投擲する。
突然の行為にマゼンダ達は狼狽えたが、マックスは直ぐに理解し、シロップとクローディアもこれまでの同行でジルが何をしようとしているのか分かり、行動に移す。
めーちゃんは大きな弧を描きながらアサシンバニーに迫る。
透過の能力により、森の中にの木々をすり抜けながら背後からアサシンバニーに突き刺さる、かのように見えた。
不意を突いた状況にもかかわらず、アサシンバニーは一瞬でめーちゃんの奇襲に反応し、巨体に似合わないステップで致命傷を避ける。
『ギュッ!』
だが、攻撃を受けたアサシンバニーはジル達の前にその姿を現した。
「うぉっ!? あんな所に居たぞ!」
「シルバー様、お下がりください」
意外に近くにいた事にシルバーは驚き、コバルトも驚きつつシルバーを背後に庇う。
この2人は積極的にアサシンバニーを倒そうとは思っていないみたいだな。
まぁ、元々迷宮大森林の依頼者であると同時に貴族のボンボンらしいから守られるのが当然なんだろう。
縄張りに入る前は協力するみたいなことを言ってたけど、あまり期待しな方がいいかもな。
逆にマックスやシロップ達は直ぐに行動に移していた。
今度は逃がさないとばかりに、マックスはロープを手にアサシンバニーの周囲を【韋駄天】で駆けまわり木を巻き込んで動きを封じる。
クローディアも刀を手に死角から急所目がけて攻撃する。
シロップは更に動きを封じる為、捕縛魔法を唱える。
「【ソーンバインド】!」
無数の蔦がアサシンバニーを縛り上げる。
少し遅れてシアンがアサシンバニーの前に立ち塞がる。
敢えて真正面から挑むことでヘイトを稼ごうとしているのだろう。
一瞬、これならこのまま倒せるか?と思われたが、やはり一筋縄ではいかないらしい。
アサシンバニーは額の角から【トルネードエッジ】の魔法を放ち、自分を中心に風の刃の竜巻を巻き起こしロープと蔦を斬り飛ばす。
それと同時に自身の体を回転させ爪攻撃をしながらその場から離脱しようとしていた。
させるか!
『【スネークボルト】!』
地を這いながら追尾型の雷がアサシンバニーに迫る。
『ギュギュッ!』
アサシンバニーは回転しつつ、その場を跳躍して【スネークボルト】を躱しながら姿を消す。
【隠密】で姿を消した事で【スネークボルト】は目標を失い消失する。
他のメンバーには姿が消えたように見えるが、残念、俺には見えているぞ!
『【クレイムーア】!』
アサシンバニーの着地地点を泥沼に変える。
『ギュアッ!?』
その巨体な体を半分まで埋まらせながら再び姿を現すアサシンバニー。
よし、姿さえ捕らえられれば倒せないモンスターじゃない。
ジル達が攻撃し、アサシンバニーが姿を隠す。俺が直ぐ見つける。
これの繰り返しで徐々にアサシンバニーの動きが鈍ってきた。
このままいけば遠からずアサシンバニーを倒せるだろうと思われたのだが、そこで思わぬ横やりが入った。
「ふむ、止めは余に任せてもらおう」
貴族ボンボンのシルバーだ。
何を思ったのか、シルバーは絵を描くパレットと筆を取り出した。
いや、最初から戦闘になるとパレットと筆を出していたんだが、俺はそれを貴族の戯れだと思って無視していたんだが。
シルバーはパレットの絵の具を筆に付け、空中に絵を描き始めた。
描かれた絵は角の生えた巨大な兎だった。
そう、シルバーはアサシンバニーを描き上げたのだ。
その描かれたアサシンバニーは絵とは思えない程リアルで精密に描かれていた。
「よし行け、アサシンバニー2Pカラーよ!」
『Gyua!』
2Pカラーのアサシンバニーは満身創痍のアサシンバニーに襲い掛かる。
「ふはは! どうだ、自分自身に襲われる気分は」
余程気分が良いのかシルバーは争う2匹のアサシンバニーを見ては高笑いを上げていた。
「おい、あれ何なんだ?」
マックスは傍にいたシアンに訊ねていた。
「ああ、あれはシルバー様のスキル【ファンタスティックアーティスト】の効果だ」
何だそれは。聞いたことの無いスキルだな。
俺はシルバーに鑑定を掛ける。
名前:シルバー・ジルバニア・アル・サンフェルズ
種族:ヒューマン
状態:健康
スキル:ファンタスティックアーティストLv34
称号:サンフェルズ王国第4王子
備考:現在王国より逃亡中
そしてそのまま【ファンタスティックアーティスト】に鑑定を掛ける。
スキル:ファンタスティックアーティスト
職系スキル。
空中に描かれた絵に命を吹き込むことが出来る。
命とは生命的な事や、実物として存在させることを意味する
何だこのスキルは。
ある意味チートスキルだろう。
描かれる絵によっては何でも出来ちまうぞ、これ。
そんでもって、敢えてスルーしていたが……どっかの貴族のボンボンだと思っていたが、王族だったよ、こいつ!!
第4王子って、逃亡中って何なんだよ!




