表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この石には意志がある!  作者: 一狼
第4章 迷宮大森林・疾走編
55/357

051.地竜2

 ジル達が地竜の巣(グラドラ・グランデ)に足を踏み入れると、その場にいた地竜が一斉にこちらを向く。


 しかもその視線には殺気が籠っていた。


「あれ……? 地竜って温厚な性格じゃなかったっけ……?」


「そのはずだけど……」


 一斉に向けられた殺気により、マックスとシロップは若干及び腰になりながら、周囲を伺う。


 ジル達を一瞥した地竜たちは何事も無かったかのように別の方角を見定める。


 普段は温厚な性格なため、寝そべっているか、ゆったりと歩いているか、こうまで露骨な行動をしていないと言う。


「一体何が起こっているんでしょうね……」


 流石に異常な雰囲気に、おっとりしているクローディアも周囲を警戒する。


 そんな中、1人だけ普段通りの人物がいた。


 我らがお気に入りの(マスター)のジルだ。


「ねぇー、もしかして、あれが原因じゃないのー?」


 そう言ってジルが指差す方向には、確かに原因らしきものが居た。


 地竜が地竜を襲っていた。


 但し、襲っていた方の地竜は金色に輝いていたが。


 普通の地竜の体の色は茶色系の岩肌だ。


 だが、その襲っている地竜はメタリックのような肌に黄金に輝いていた。


『あれ、明らかに異常個体だな。温厚な性格なはずの地竜が暴れまわっているな』


「(うんー、多分だけど、金色さんが1匹襲って、それで皆が反撃に出たんだろうねー)」


 ジルの言う通り、この異常事態は金色地竜が暴れまわった結果だろう。


 ただ、タイミングが悪すぎだ。


 何でジル達が地竜の巣(グラドラ・グランデ)に足を踏み入れると同時に事が起きるんだ。


 出来ればジル達が過ぎてからか、来る前に争いを終わらせて欲しかったよ。


「ど、どうすんだ、これ……? このまま通り抜けられるものなのか……?」


「普段でも地竜の巣(グラドラ・グランデ)を通り抜けるのに緊張を強いられるのに、こんな雰囲気の中を通るなんて、難易度ベリィハードなんですけど……!」


 こうして話している間にも、地竜たちは金色地竜に襲い掛かっている。


 この中を通れってか……?


「ジルさん、悪いことは言いません。このまま地竜の巣(グラドラ・グランデ)を迂回して別ルートを行きましょう」


「えー、でも、地竜さん達は私達を襲ってこないんでしょー?」


「確かに今はまだ襲っては来ません。ですが次の瞬間、地竜たちはわたくし達に向かってこないとも限らないんです。それだけ、今の地竜の巣(グラドラ・グランデ)は異常状態なのです……!」


 素直に引かないジルに、クローディアも流石に強い口調で窘める。


『客観的に見ても、ここはクローディアの言う通り引くべきですね。危険すぎます』


『はーい、あたしもさんせー!』


『む、無理だょぉ……こんな所通り抜けるなんて……』


『おいおい、何を言っているんだ。こんな面白い場面に出くわしておいて逃げるだぁ……? オレ様たちもこの祭りに参加しないでどうするんだよ!!』


『Yeahー! 突き抜けて行っちゃいNa! 地竜ごとぶち抜け!!』


 かめちゃん、ふーちゃん、へきちゃんが迂回派、はーちゃん、やーちゃんが突破派か。


 俺としても危険回避の為、迂回派なんだが……


「せめて通り抜けるにしても、この争いが終わってからにしようよ! こんな状態じゃ通り抜けられるものも抜けれないよ!」


「でも、これっていつ終わるんだ……?」


 ただでさえこの地竜の巣(グラドラ・グランデ)は広大だ。


 確か地竜は300匹以上居るんだったよな……?


 だが、300匹一気に襲えるものでもないから数匹ずつ襲い掛かるとして、全員が襲い終る時間はかなりかかると見ていい。


 まぁ、普通ならその前に金色地竜が群れに潰されてしまうんだろうけど……


 あり得ないことに、その金色地竜は群れの地竜相手に無双しているんだよなぁ。


 数匹に襲い掛かられても物ともせずに、群れの地竜を噛み付き、ぶちかまし、爪攻撃、尻尾攻撃、挙句の果てにはブレスまで吐いて蹴散らしていた。


 確か地竜ってブレス吐けないよな。


 明らかに規格外の金色地竜相手に群れは劣勢を強いられている。


「いえ、ここは多少時間が掛かったとしても争いが終わるのを待つべきですね。上手くいけば巣の中の脅威が……」


 このまま地竜の巣(グラドラ・グランデ)の外で金色地竜無双が終わるのを待つ方向に向かって行きそうだったのだが、そうは問屋が卸さなかった。


 金色地竜が弾き飛ばした群れの1匹が、ジル達に向かって飛んできた。


「へきちゃんー!」


 ジルは咄嗟にへきちゃんを呼び出して、巨大化、神鋼化してマックスたちを守る。


 へきちゃんの防壁により怪我は無かったのだが、事態は悪い方向へと進んだ。


 何故か周囲の地竜が一斉にジル達に殺気の視線を向けたのだ。


「へ……? なんで……?」


「……なぁ、もしかしてさっきのジルちゃんの防御も、向こうさんにとっては攻撃に当たるんじゃないのか……?」


「……あ」


 マックスの指摘にシロップもそれに思い至ったのか、間抜けた声を出す。


「そんなの有りなわけぇ~~~!? こっちは防いだだけだったのに~~~!!」


 近くに居た地竜の攻撃を躱しながらシロップは叫ぶ。


 同じくマックスも叫びながら、【韋駄天】で地竜の攻撃を躱しながらこの後の事を提案する。


「このまま地竜の巣(グラドラ・グランデ)の外に逃げるのは!?」


「巣の外に逃げても追いかけて来ると思われます。記録では、一度外敵を見つけたら丸1日追いかけ回されたと有ります。

 わたくし達が取れる手段は2つ。ここの地竜を全て倒すか、死に物狂いで丸1日逃げ回るか、ですね」


 クローディアも、手にした刀で地竜の攻撃を捌きながら絶望的な事を言う。


「なんだ、その無理ゲーは!」


「いやぁぁぁぁぁっ! この依頼受けるんじゃなかったぁぁぁぁぁっ~~~!!」


 とか叫びながらも、マックスとシロップの2人はしっかりと地竜の攻撃を防ぎつつ反撃を行なっている。


 で、うちのジルはと言うと……


「逃げるのと、全部倒すのと、どっちが早いのかなー?」


 などと、緊張感のないやる気を出していた。


 ……まぁ、何故か俺も負ける気は全くしなかったのだが。









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ