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この石には意志がある!  作者: 一狼
第1部 「幼女」 / 第1章 ファルト村・激闘編
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004.ガキ大将

翌日。


 俺はジルに案内されてジルの住むファルト村を見て回っていた。


「おねえちゃん、どこいくの?」


「今日は村の中をお散歩よー」


 俺の案内と言っても、実質ジル1人だけなんで弟君と一緒に散歩と言う形で案内だが。


 弟君の名前はアルベルトと言い、その容姿は幼いながらも透き通るような金髪も相まって美形だ。


 これでまだ4歳――もう数日で5歳なんだぜ。


 モテ過ぎて悪役令嬢に目を付けられるとか、嫉妬に駆られた輩に襲われるとか、今からアルベルトの将来が心配だよ。


 まぁ、ジルも美少女と言っていいほど整った顔立ちをしているのだが、くすんだ金髪がかえって普通に貶められていた。


 因みにジルは7歳だ。


 ……昨日の会話から感じたんだが、7歳と言う割にはジルは思ったよりも聡いんだよなぁ。


 あの食事の後もジルとこの世界の事とかスキルの事とかいろいろ聞いたのだが、結構受け答えがしっかりしていてとても7歳児とは思えなかった。


 それともこの世界の子供はみんなそうなのか?


「(ここは村長の家だねー)」


 ジルはアルベルトの手を引きながら村の中を歩いてその都度俺に村の紹介をしていた。


 まぁ、紹介と言っても小さな村だから、ファンタジーにありがちな一般的な宿屋とか武器屋とかはないが。


「おや、ジルとアルか。2人で仲良く散歩かのぅ」


 丁度村長の家の前に来ると、村長の家から白いひげを蓄えた如何にも村長と言った老人が出てきたところだった。


「村長ー、こんにちわー」


「そんちょう、こんにちわ」


「ほっほっほっ、こんにちは。

 おや、首に下げているのは新しいコレクションかの?」


 村長はジルの首に下げているペンダント――俺を見つけてはそう聞いてきた。


「うんー、この子はきゅーちゃんだよー」


「おねえちゃんすごいんだよー! きゅーちゃんとおなはしできるの!」


「ほぅ。そうかそうか、ジルはきゅーちゃんとお話が出来るのか。それは凄いのぅ」


 どうやらジルの石集めは思ったよりも周囲に浸透しているようだ。


 それも石と話をするような変人と思われている程に。


「村の外には出ないようにな。最近はちょっと物騒になっておるからの」


 そう言って村長はその場を去っていく。


『物騒って何かあったのか?』


「(私もよく分からないけど、村の周辺で狼っぽい魔物が現れたみたいなのー。おとーさんも気を付けなさいって言ってたからほぼ間違いないと思うのー)」


 狼系の魔物か。


 どれくらいの強さかは分からないが、村人からすればかなり脅威の対象だろう。


 その後も村を回って行くと、ちょっとした広場に付いた。


「よう、ジル。弱虫のアルベルトと一緒にお散歩か?」


 その広場にはジルと同じくらいの子供が3人居た。


 その内の1人――ジルに声を掛けた男の子は、子供にしては成育がいいのか少しばかり体格が良かった。


 まぁ、その所為だろう。


 体格に物を言わせて周囲を従わせていたのだと思う。


 その男の子は2人の子分を従えるかのように威張り散らしたガキ大将だった。


 弱虫呼ばわりされたアルベルトはその男の子を見ると直ぐにジルの影に隠れてしまった。


『ジル、このガキ大将は?』


「(この男の子はブランって言うのー。私と同じ7歳よー。きゅーちゃんの言う通り、ガキ大将だねー)」


 まぁ、ファルト村は小さな村だ。


 この手の悪がきが居ても不思議じゃないだろう。


 と言うか、寧ろ居る方が普通か。


「ジルもいい加減、お・お・俺の女になれよ。そうすれば将来いい思い出来るぜ」


 俺の女って……7歳児が言うセリフじゃないぞ。


「んー? 将来って言っても、私達まだ7歳だよー。将来何になるかなんて分かんないよー?」


「むっ、俺は将来騎士になるんだ! スキルだって【騎士】なんだ! ファルト村始まって以来の快挙なんだぜ!」


 あー、なるほど。


 そりゃあ威張り散らしたくもなるか。


 昨日、ジルといろいろ話して分かった事だが、スキルには大まかに職業(ジョブ)系、技能(アビリティ)系、特化(スペシャル)系、特殊(エクストラ)系の4つに分類される。


 職業(ジョブ)系スキルは文字通り職業を表すスキルだ。


 例えばガキ大将ブランの【騎士】や【戦士】、【魔法使い】、【踊り子】、職人の【大工】、【鍛冶師】、【料理人】なんかだ。


 技能(アビリティ)系スキルは【剣術】、【槍術】、【弓術】、【木工】、【鍛冶】、後は魔法系の【火魔法】、【水魔法】、【風魔法】、【土魔法】とかだ。


 特化(スペシャル)系スキルはある意味で本当のスキルなのだが、1点に集中しすぎて使い勝手が悪く、あまり人気が無いと言われているらしい。


 つまり、【スラッシュ】のスキルを授かれば【スラッシュ】のスキルしか使えないと言う事だ。


 因みに【スラッシュ】は【騎士】や【戦士】、【剣術】でも使う事が出来る。


 つまり【騎士】スキルを授かれば、【剣術】や【槍術】、【馬術】等が使える上に、【身体強化】や【防御力強化】などと言ったその職業に応じたスキルが使えるようになるのだ。


 こうして見れば特化(スペシャル)系より職業(ジョブ)系の方が有利に見えるが、だからと言って特化(スペシャル)系がまるっきりの不利と言う訳でもない。


 同じ【スラッシュ】でも職業(ジョブ)系の威力が1としたら、技能(アビリティ)系が3、特化(スペシャル)系が10と言う10倍もの差が生じるのだ。


 まぁ、スキルにはレベルもあるからレベル差も考慮すれば一概に特化(スペシャル)系が強いとも言えないが。


 よって、職業(ジョブ)系が人気を博している。


 そして、大抵のスキル所有者は職業(ジョブ)系であり、その授かったスキルの職業に就くのが普通だ。


 何せスキルによって天職を示されていると言ってもいいからだ。


 まぁ、中には自分の授かった職業(ジョブ)系スキル以外の職業に就く変わり者も居るらしいが。


 と言う訳で、このガキ大将ブランは将来騎士になることが保障されているとも言えるからこれほど威張っていられるのだ。


 因みに、残りの特殊(エクストラ)系スキルは先の3つに含まれない文字通り特殊なスキルとの事だ。


 ジルの【ストーンコレクター】も特殊(エクストラ)系スキルに含まれる。


 まぁ、特殊(エクストラ)系についてはまた機会があった時にでも。


 今はこのガキ大将への対応だな。










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