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この石には意志がある!  作者: 一狼
第4章 迷宮大森林・疾走編
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045.4つの組織

「さて、迷宮大森林を抜けるのに、協力を仰ぐ組織は俺が調べた限りでは4つある」


 マックスがわざわざ1人で調べたのには訳がある。


 ジルは表向きのルートを探っていた訳だが、マックスは裏――影や闇組織関連も調べてもらった訳だ。


 で、マックスが辿り着いた組織が4つ。


 1つ目は商業ギルドの裏組織。


 よくある表立って取引できない商品などを売買する為の裏の商人ギルド。


 通称・裏ギルド。


 登録されていない奴隷なども取引されているとか。


 2つ目は盗賊ギルド。


 前にもちらっと話したが、盗賊ギルドは犯罪組織じゃなく、冒険者としての職業(ジョブ)スキル【盗賊】の互助組織としての意味合いが大きい。


 それを盾にして影で犯罪行為をしているのが影の盗賊ギルド。


 通称・影ギルド。


 暗殺稼業も含む暗殺者(アサシン)ギルドでもあるらしい。


 3つ目は冒険者ギルドの闇部門。


 これも表立って言えないが、犯罪を犯した冒険者の処罰や、問題ある冒険者の素行調査をする為の冒険者ギルド内の部門だと言われている。


 通称・闇ギルド。


 他にも表立って引き受けられない依頼などを、闇ギルドを通して密かに冒険者に依頼をしているらしい。


 その冒険者も真っ当な冒険者でなかったり、闇ギルド専門の冒険者であったりするとか。


 4つ目は、この太陽王国サンフェルズの暗部“月夜(カグヤ)”と言われている組織だ。


 まぁ、太陽王国に限らず、国と言う大きな仕組みには人には言えない暗部があるから、こう言った組織は必然と言えよう。


 これは俺達にはあまり関わりが無いと言える。


 と言うか、関わりたくないと言うのが本音だな。


 そしてこの4つの組織が、迷宮大森林を抜ける為のルートをそれぞれ確保していると言うのがマックスの見解だ。


「俺達にはどの組織にもコネや伝手は無い訳だが、何処の組織に協力を仰ごうか」


 マックスの言葉に、マックスには聞こえないが反対意見が出る。


『あたいは裏ギルドと影ギルドは反対だね』


『我も反対、犯罪組織でもある、盗賊ギルドは』


『ぼくも、裏の商業ギルドも、影の盗賊ギルドも反対……』


 曲がったことが大嫌いと明言しているめーちゃんはそう言うだろうと思っていたが、えんちゃんとへきちゃんからも反対の声が出てきた。


『そうなると、残るは闇ギルド――冒険者ギルドとなるが……』


『丁度いいではないですか。マスターはS級冒険者です。闇ギルドとは言え、S級の威光が通じるのでは?』


 ぼーちゃんの言う通り、それは俺もそう思った。


 4つの組織の内、ジルが最も関わりが大きいのが冒険者ギルドだからな。


『ジルもそれでいいか?』


「(んー、闇ギルドで話しが通ればいいんだけどー……)」


『お嬢、何か心配事か?』


 いまいち歯切れが悪いジルにはーちゃんは問いただす。


「(心配事と言うかー、それぞれ裏とか影とか闇とか言われているんでしょー? 話通じるのかなーと思ってー)」


 うん? 全く別組織って訳でもないから関わりがあると思うのだが……こう言った時のジルは侮れないからなぁ。


『とは言っても、オレ様たちには闇ギルド以外に伝手は無いぜ?』


「(そうだねー。まずは闇ギルドに頼んでみるねー。ダメだったら別の手を考えよー)」


 ジルはマックスに闇ギルドに協力を仰ごうと伝える。


「まぁ、そこが無難だろうね。ジルちゃんがS級冒険者になったって言うのも大きいし」


「じゃぁー、最初にギルドマスターに協力を仰ぐー?」


「……その方が手っ取り早くていいか。ギルドマスターなら冒険者ギルド内の闇部門も知っているだろうしな」


 マックスの了解も貰い、ジル達はまずは冒険者ギルドへ行き、いきなりギルドマスターへの面会を求めた。


 受付嬢にジルのS級冒険者のギルドカードを見せて驚かせ、ギルドマスターへの面会を取り付けた。


 拠点都市フィフスの冒険者ギルドのギルドマスターは老人タイプのギルドマスターだった。


 老人タイプよろしく、老獪な術師系で一筋縄ではいきそうにないように見えた。


「2週間ほど前に東大陸でS級モンスターのリヴァイアサンを単独で倒した、新たにS級となった幼き冒険者がわざわざ儂に面会をしてまでお願いしたい事となんじゃ?」


 挨拶もそこそこに、いきなり要求を言えと突き付けるギルドマスター。


 やっぱり一筋縄じゃ行かなそうだな。


 と言うか、当たり前とは言え、遠く離れた東大陸の情報が既に届いているんだな。


 俺らと一緒に船で情報が届いたのか、それとも別の通信手段で情報が届いたのか。


「まず訂正ー。単独じゃなくて、マックスと一緒に倒したのー」


「ほぼ単独と聞いておるが?」


「マックスの協力があってこそなんだけどー」


「おい、ジルちゃん。その話また蒸し返すのか?」


 まぁ、ジルの昇格だけでなく、マックスの昇格もって港町フォルスの冒険者ギルドで散々揉めたからなぁ。


「ふん、己の手柄独り占めにするつもりはないと。殊勝な心掛けじゃな。まぁ、その話は良い。それで本題は?」


 せっかちな爺さんだな。話が早くて助かるが。


 ジルは聖王国セントルイズに戻る為、迷宮大森林を抜けるルートを知る闇ギルド――拠点都市フィフスの冒険者ギルドの闇部門に協力をお願いしに来たと話す。


「闇ギルド? 何じゃそれは。 噂には聞いておったが、そんな部門は知らん。この冒険者ギルドにはそんな部門は存在しない。迷宮大森林は抜けられない。それがこの冒険者ギルドの判断じゃ。

 もし本当に迷宮大森林を抜けるルートがあるとすれば、それを知る組織に当たるんじゃな」


 え? マジで存在しないの?


「えー? 闇ギルドって存在しないのー? 凄く噂になっているのにー?」


「存在し無いものは存在しない。下手な噂に振り回されるとは冒険者としてまだまだ未熟じゃな」


「まだ冒険者なって1ヶ月も経ってないのでー」


「そう言えばそうじゃったな」


「なぁ、ギルドマスター、本当に闇ギルド――闇部門は存在しないのか? いや、存在しなくてもいい。迷宮大森林を抜けるルートを知っていれば」


「くどい! 『韋駄天』ともあろう者が噂に振り回されるとは情けないのぅ。そこのお嬢ちゃんとは違いお主は熟練の冒険者じゃろうて」


 ギルドマスターに叱責され、マックスはぐうの音も出ずに口を紡ぐ。


『なぁ、この爺さん、嘘をついているって事は無いか?』


『いや、嘘感知魔法の【センスライ】でも確認したが、ギルドマスターは嘘は言っていない』


 はーちゃんの言う通り、嘘をついているのではないかと俺は密かに【センスライ】を唱えていたが、反応は無かったのだ。


 闇ギルドそのものがギルドマスターの言う通り無いのか、それとも単にギルドマスターが知らないだけで本当は存在していのか。


 話はそれで終わりだと言わんばかりに、ジル達はギルドマスターの部屋から追い出された。









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