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この石には意志がある!  作者: 一狼
第1部 「幼女」 / 第1章 ファルト村・激闘編
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002.スキル

 ……なにこれ?


 ジルの【ストーンコレクター】は石を集めるだけのスキルだったよな。


 それが何故かジルの持つぼーちゃんは如意棒のように伸びて部屋の壁を突き破っていた。


 俺は慌ててぼーちゃんに【鑑定】をかける。




 名前:ぼーちゃん

 形状:棒型

 能力:伸縮




 ただの石じゃなかった!


 何だよ伸縮石って!


 つーか、スキルじゃなく能力って!?


「うんー、うんー、どうしようー? また壁壊しちゃったー」


 俺の驚きを余所に、ジルは壁を壊した事の方が気になっていた。


『あー、ジルさんや。ぼーちゃんは最初からそんな風に伸びたりしたのか?』


「うんー、そうだよー。最初はでこぼこの棒だったんだけどー、私が磨いたら真っ直ぐなぼーちゃんになったのー。

 そしたら伸びるようになったんだよー」


 Oh……間違いなく【ストーンコレクター】の影響だよ、これ……


 確かにぼーちゃんは自然石ではありえないくらいの真っ直ぐな円柱状の棒だよ。


 職人でもない幼女が磨いただけでこんなきれいな真っ直ぐにはならんだろう。


 うーむ、おそらくだがその磨いたって、魔力かなんかを込めて磨いたんじゃないのか?


 それがぼーちゃんに伸縮と言う能力を与えたとか。


 あーー、もしかして俺もそのパターンか?


 あの温かいのが魔力で、それでスキルが与えられたとか。


 ただ、ぼーちゃんが能力で、俺がスキルってのは何が違うんだろうな。


 そういや、俺のスキルって【百花繚乱】ってわけ分からんスキルだったよな。


 でも【鑑定】も使えるって……


 あ、【百花繚乱】を鑑定してみればいいのか。




 スキル:百花繚乱

     一般的に知られているスキルを殆んど使用できる。

     但し全てのスキルが使用できるわけではない。




 思ったよりもチートスキルだったよ、これ!!


 なんだこれ!? 殆んどのスキルが使えるって……


 あー……だから【鑑定】も使えるのか。


 あ? まてよ、と言う事は……


『ジル、この壁を直すとしたらどんなスキルがあるんだ?』


「えーっとー、【リペア】スキルだねー。あとは【リペア】スキルが使える【大工】スキルか【木工】スキルとかだねー」


『ふむ、【リペア】か【大工】、【木工ね】』


 俺はスキルの【百花繚乱】の中を探るようにして【リペア】スキルを検索する。


 すると頭(石なのに頭と言うのは可笑しいが)の中に【リペア】スキルが浮かび上がった。


『【リペア】』


 するとぼーちゃんが開けた穴が瞬く間に塞がった。


 よく見れば、今突き破った箇所以外にも他にも塞いだような跡が何か所も見えた。


 そう言えばさっき、『また』って言ってたな。


 恐らく、不意に伸ばしたぼーちゃんで何回も穴を開けているんだろう。


 ついでだから他の破損個所も直しておこう。


「わー! すごいーすごいー! きゅーちゃんスキルが使えるんだー!」


 ジルは綺麗に塞がった壁を見ては喜んでいた。


『おう、恐らく大抵のスキルが使えるぞ』


「ねー、もしかして魔法スキルとか使えるー?」


『えーと、魔法スキルな。魔法魔法……』


 魔法もスキル扱いなんだな。


 【百花繚乱】スキルを魔法で検索を掛けると……


 【火魔法】

 【水魔法】

 【風魔法】

 【土魔法】

 【氷魔法】

 【雷魔法】

 【木魔法】

 【光魔法】

 【闇魔法】

 エトセトラエトセトラ……


『使えるな。部屋の中で使っても大丈夫なのは……これなんかどうだ?

 ――【ライト】!』


 部屋の中に光球が生まれ辺りを照らす。


「すごいすごいすごいー!! きゅーちゃんすごいー!!

 普通スキルは1人1個しか授かれないんだよー。きゅーちゃん何個もスキル使えるなんてすごいよー」


『あー、いや、使えるのは【百花繚乱】って言うスキル1つだけだな。その【百花繚乱】で他の大半のスキルがカバーできるっぽい』


「ふぇー、そうなんだー。その【百花繚乱】が使えるきゅーちゃんはすごいんだねー」


 いやいやいや、凄いのはジルの【ストーンコレクター】だろ。


 俺は100年以上もスキルが無かったんだからな。


 ジルのお気に入りコレクションになってからスキルが生えたんだぞ。


 ジルの方がよっぽど凄いよ。


「あ、そろそろご飯の時間だー。きゅーちゃん石空間に仕舞うからまた後でお話ししよー」


『え? ちょっ、待っ……』


 俺が言い終らないうちにジルは俺を石空間へと仕舞う。










 そこは何も無い真っ暗な空間だった。









 え? なにここ? ここが石空間?


 あれ? こういうのって普通真っ白な空間だよな。


 他にジルのコレクションの石が浮かんだりとかして。


 なのに、えーと……ここには俺しか居ない。


 しかも真っ黒な何も無い空間。


 こんなところでジルに呼び出されるまで居ろって事か?


 ………………………


 ………………………………………………


 …………………………………………………………………………………………無理だ、これ。


 うぁわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーー!!


『ジル! ジル~~~っ!!! 出して! ここから出してくぇぇえっぇぇぇぇぇっ~~~!!!』


 いやだいやだいやだ! こんな真っ黒な何も無い空間は!


 今まで考えるのをやめてただの石になっていた事を考えれば大したことないだろうと言う輩もいるかもしれないが、あの時と違って今はもう無理だ。


 人との会話があれほど有りがたいものだと理解してしまった今となってはこの石空間は地獄だ。


 1分1秒たりとも居たくない!


『ジル~~~~! ジル~~~~~!! ごごがら出じでぐれぇぇぇぇぇっぇぇぇぇぇっ~~~~!!!』










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