[♠5]ゲームスタート-5
「あとは、このよく分からない僕の能力ですね」
このゲームにおける参加者に与えられた最大の武器、それが能力。
そしてこの僕に授けられた能力が…。
「ショップアプリね……」
目覚めた後行われたゲームの説明で、スプエロという奇妙なピエロが能力について、こう説明していた。
「次に! 君の能力を教えるね! 能力は…。『端末にショップアプリが追加される。この機能はこの世界の通貨と引き換えに買い物ができる。』だよ!このアプリには銃や刀といった武器が買えるし、このゲームに有利なアイテムが手に入るかもしれないガチャガチャもあるから、頑張ってお金を貯めてお買いものしてね!」
そしてこの能力が対応したかのように僕の条件がこれだ。
[情報]アプリに記載されている自分の情報を開く。
[カトリ サスケ]
スート : スペード
ランク : 5
勝利条件: ショップアプリでの総買物金額が1000万を超える。
[能力]
異能力系:端末にショップアプリが追加される。この機能はこの世界の通貨と引き換えに買い物ができる。
端末消費量:極小(アプリ閲覧時)極小~極大(購買物の量、質、大きさによって変動)
「これで1000万円分買い物しろってことですか……」
僕が持っている端末の上側面にコインを入れられる大きさの切り込み口があった。支給品の中の金貨を使って当てるように大きさを確かめたら、入れるのにちょうど良い大きさだった。多分この世界の通貨を入れる投入口なのだろう。
「この金貨がいくらの価値なのか、確かめたいところだけど。今ここで使ってしまったらこの世界の街に行ったときに買い物が出来なくなってしまいますね」
金貨を元のポーチに仕舞い、再び持っている端末に目を落とす。今度は自分のスキルで追加されたショップアプリを確かめるためだ。アプリを開くと、どこか見たような某大手通販サイトのようなデザインのトップページが表れる。
「まったく、どこかでみたようなサイトですね。"初心者おススメ武器ピックアップ"、"奇襲対策にこれ。便利グッズ"などとこれを考えたやつはすごく趣味が悪いですね…」
トップページには銃器やらナイフ、あとは手りゅう弾といった爆弾までが表示されていた。それ以外にもカテゴリ欄にはサバイバルグッズや石鹸などの日用品から食料品まで取り揃えられており、武器だけではないことに内心ホッとする。
「しかし、銃器がえらく高いな。自動拳銃でも一丁100万。これだけで条件が1割達成できてしまうな。それに対して刃物系の武器は安いというか一般的な値段みたいだ」
サバイバルナイフでも一本7800Zellで売られている。銃器系は殺傷性と入手の難しさを考えての値段なのか。また値段の後ろについてるゼルというのは通貨の単位なのだろう。
「日本では考えられないラインナップですね。……えー、七支刀まであるのですか。こんなのどうやって使えばいいんですか」
神話の武器を模した武器なども取り揃えられており、これらを使ってどんどん殺してくださいという魂胆が見えてきて、なんとなく薄気味悪い。
「だけど、食料といった生活問題がこの能力のおかげでなんとかなりますね」
ショップアプリを使えば、金がある限り追加の水や食料が買い放題。しかし値段が何故か近接系の武器より高めに設定されていた。普通のミネラルウォーター1ℓでも1本15000Zellと高めである。おそらく運営的にはサバイバルゲームだから飲食物は簡単には手に入りづらくしているのだろう。
「いざとなったら、今持っている金貨1枚使うことを念頭に入れないと。そういえばあのピエロ、ガチャガチャがあるって言ってたね」
スプエロが言っていた説明にこのゲームに有利なアイテムが手に入るというガチャガチャがあるらしいのでアプリ内からその場所を探してみる。すると該当ページが出てきて、ソーシャルゲームでよくみる形のガチャがスプエロのデフォルメイラストとともに表れる。
「なんて射幸心を煽るようなデザインですね…」
こういったガチャは射幸心を煽るように出来ているから、しょうがないけど。1回10000Zellとは……。結構高い……。下の方に賞品リストが記載されており、はずれでも近接武器や飲食物関係が貰えるらしく、引いておいては損は無さそうな感じはする。1等は増設メモリというものが手に入るらしく、例にはプレイヤー表示チップというものがあるらしい。
「ゲームに有利なアイテムって言っている程だから、名前だけで考えると、他の参加者の位置を表示するって感じなのかな」
他には、1等の上に特賞というものが存在しているらしく、それについては出てからのお楽しみとしか書かれていない。
「特賞の確率が0.01%って……。どんだけひどいソシャゲのガチャですか……」
他の確率は、1等、3%。2等、7%。3等、15%。それ以外がはずれの提供割合のガチャとなっていた。まさしく金を絞る
「金に余裕が出てきてから、使ってみてみますか」
自分の能力について、だいたい把握できたのでショップアプリを閉じ、地図のアプリを開く。
「とりあえず、街を目指してみよう。多分ここが街ではないかな。城の周りにいっぱい家のような建物が立ち並んでいますし」
開いた地図アプリには、特に名前などが記載されておらず、ただ上から覗いて描かれた地図が表示されている。そして自分が今いる地点から20km離れた所に城下街らしくものがあったので、始めにここを目指してみる。
最初の目標が決まり支度をしてから、自分が最初に目覚めた場所を後にしたのであった。