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プロローグ-3

 時を同じくして西室 乾に招待状が届いた頃。

 他の人々にも同じような招待状が送られようとした。

 その一人、高層マンションに住む裕福な家庭でメガネをかけた名門に通う大学生にも送られていた。


「なんですかこれは?」


 突如としてきた滅多に鳴らないはずの携帯に驚いた。青年は人との交流よりも勉強に時間を費やしていた為、友人は無いに等しい。そんな有様なので基本、携帯は親とかに電話するときしか使わない。そして通知を確認して見ると、SNSアプリの通知から良くもわからないメッセージが送られていた。


「ゲームへの招待……?」


 ゲーム? よくあるソーシャルゲームの宣伝なのか。しかしこういったメッセージは届かないようにしてあるので不思議と感じた。

 勉強中だったが、少しキリが良いので休憩に入りつつ、SNSアプリを立ち上げメッセージを確認してみる。メッセージを送ってきた相手は、”道化なるゲームマスター”という者から届いていた。メッセージを開くと、


 >おめでとうございます。

 >香取 佐助(かとり さすけ)様は私共が開催する総額10億円を賭けたゲームの参加者に選ばれました。

 >参加方法は簡単。

 >ただのメッセージに返信頂ければ、参加表明となりますのでご了承ください。

 >開催時期は近日中の予定ですので、開催当日となりましたら私共で案内致します。

 >では、ご参加お待ちしております。


「まったく、何かのイタズラですか。下らない」


 呆れた感じて口に出すが、文章に書いてあることについて心の中で少し興味が湧いていた、

 しかし自分はこのSNSアプリに本名を登録した覚えがないので、相手がなぜ自分の名を知っているのかは不可解だった。


「壮大な大金に、一瞬よくある迷惑メッセージに見えた、僕宛てに向けた巧妙なメッセージ。どう見ても怪しさ満点。10億賭けたゲームなんてどんなことをやらされるのやら」


 ゲームの運営側が10億を提示するのだから、テレビのバラエティ並のものではないのだろう。下手をしたら人との殺し合いを強要される可能性もある。


「まぁ、そんなことはないだろうな……」


 そんなドラマみたいなことは平和な日本じゃありえないだろう。

 しかしこのメッセージに返信することでゲームへの参加表明になってしますのか。だったら……。


 >参加しない


 メッセージに返信したら参加表明するのだったら、あえて参加しないと返信したらどうなるか?そう思い興味本位で返信してみたが、数分待っても、既読となっているだけで反応は無い。


「……これは失敗したか?」


 もしこれでこの運営側が参加表明と捉えてしまったら僕はこのゲームに参加させられるハメになる。だがメッセージ文章には会場に案内してくるとこの事なのでその時にスタッフと会うはず、そこで断れば良いし揉めれば警察を呼べばいい。


「念の為、防犯グッズを持ち歩くか」


 強引に連れてかれる可能性も考え、いつも通学に使う鞄の中に防犯ブザーを入れた。


「さて、下らないことは終わりにして勉強に戻ろう」


 いざとなれば警察沙汰にすれば良いと甘い考えでいつもの日常へと戻るが、翌日そんな日常へと戻ることは無かった。


 こうしてゲームの参加者たちは集められていくのだった。カップルで参加する者もいれば、中学生ぐらいの子供も参加させられていく。

 しかし西室 乾や香取 佐助のように招待状によってゲームに参加する者もいれば、他の方法によって参加する者もいた。



 *** *** *** *** *** *** *** ***



 とある市街地の離れに建てられた、極悪な事件を犯した者を集めた刑務所。

 この中にもゲームに参加させられようとした者がいた。


「おい、4989番! 起きろ!」


「あぁ?今日は休みだろぉ?なんだ、ついに死刑執行か。まだ最後の晩食済ませてないが、そんな制度日本にないのかぁ?」


「いいから、黙ってついてこい!」


「へいへい」


 一人の受刑者が刑務官によって連行される。

 この受刑者は強盗・強姦を繰り返し、ついには逮捕され死刑宣告を受けていた。頭髪は金色に染め、筋肉質はよく締まった体つきをしたいかにも不良上がりの男性であった。


「そこで大人しくしろよ」


 刑務官に客間みたいなところに通され、男性は言われた通り置いてるソファーに座り大人しく待つ。

 しばらくすると黒服の人たちが続々と部屋に入ってくる。


「なんなんだぁ、いったい?」


「お待たせしました。貴方が西成 翼(にしなり たすく)様ですね。よろしくお願いいたします。私は名乗るほどの者ではないのでただの黒服Aだと思い下さい」


「はぁ?」


「さて率直に言わせて頂きますが、貴方は私共の方で買わせて頂きました」


「ははは、冗談が笑えるぜ。なんだオレはペットてか? この世の中に奴隷制度が存在してたとはな」


「ご安心ください。別に私共はあなたを束縛しようという訳ではございません。ただ私どもの支配下上で自由という形ですが」


「うん?よく分からねぇが、つまり自由って事だな。だが良いのか?あんた等が許しても、世間様は許してくれねぇぞ」


 凶悪な事件を犯し大量の犠牲者を出したので前代未聞の大事件として大々的に報じられてきた。もし西成 翼が釈放されとなればまたまた大々的にニュースに取り上げられ非難されるだろう。


「確かに貴方を簡単に世に解放することは無いですよ。条件がございます」


「条件……?」


「私共で開催するゲームに勝ち残ることが出来ましたら、貴方を完全に自由の身とさしあげましょう」


「ゲーム?はははそんな簡単なもんでオレは自由ってか? 笑えるぜ」


「内容は詳しく話せませんが、ゲーム中は勝ち残るために何しても構いません。殺人も結構です。それに商品として莫大な賞金と、そのまま世間に戻りますと何かと不都合かと思いますので、私どもの方でそこらへんは手配致しましょう」


 このままつまらない監獄で一生を終えると思っていたが、まさか千載一遇のチャンスに出会えるとは、しかも勝てば賞金と身分の保証てか?上手すぎる話すぎて、腹から出てくる笑いが絶えなってしまう。


「いいぜ、そのゲームとやら。やってやろうじゃねぇか」


「そのお言葉、お待ちしておりました。ではゲームの開催まで安静して頂きたい」


「は?」


 すると西成の背後にもう一人の黒服がいつの間にか立ちはだかり、西成を眠らせるため催眠薬を嗅がせる。すると間もなく西成は眠りについてしまう。

 眠りについたことを確認した自称黒服Aは誰かに電話を掛ける。


「はい、西成 翼の参加完了致しました。直ちに会場まで移動させます」


 こうして西成の体はどこかへ黒服たちに運ばれていき、ゲームの参加者達が集めらていくのだった。


 そして始まる、異世界での生き残りを賭けた総勢52人によるゲームが。

 はたして誰が生き残るのか。誰も知る由もなかった。


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