ノッキンウィル21
突如、いきなり眼前に手が伸びてきて、なんとか避ける。
っぶな?!
「…っとぉ~?!いきなしですか?!!」
「………。……問題あった?」
こいつ…。
「いんや。……っ?!」
応えた瞬間また手を……!解答がYes Noのどっちでもよかったな!?
しかもまた……狙いは目。
シュウ、完全にこれが鬼ごっこではなくターン制のバトルだってわかってる。
わかった上でのまず目潰し…。視界を奪えば確かに行動を制限できるもんね(失明の可能性は置いといて)。手もピースの形でなくより広範囲で狙いやすい手刀…。
こわ…。ケンカの経験でもあるのか。そんな本格的なのやる奴、怒ってないとまずやらないよ?
いや…
「もしかして…怒ってる?」
「……フンッ!!」
わっわっ、余計勢い増してきた。
なんだろ、いっぱいあるような…。
「なめられてるのが腹立たしい…。もう…我慢しないって決めたから…」
やばい…。
さっきの訂正。ケンカじゃない。
こいつ、遊びじゃなくて殺る気だ…。
初めてここでの相手がつまり僕だったという…そんなとこ…?
目やさっきからの動きに一切躊躇いがない。
さっきまでの何か気だるげな印象が消えていた。
普通ケンカなら自分が同じ分のことをやり返されたりするからその辺を否応なくイメージして動きが鈍ったりするけどそんなリミッターが完全に振りきれちゃってる。どういうわけか全身全霊。そんな返されるイメージが全くないのか…一瞬何もしらない素人だからできることかともシュウのオタクイメージから思ったが、もうひとつの可能性で考えといた方がこの状況は無難と考える。つまり、経験からそのイメージを越えて殺りにきてる…。………。
こっちも超本気でいこう。誘った手前、こちらからおりるというのはありえない。
鈍ってそうな身体から思った以上の速さで攻撃がくる。
「っとぉ!」
すんででかわす。が、
「ぉわっ?!」
なんとそのままの勢いで身体を回転させて回し蹴りがきた。手に集中し始めた途端にまたルールに抵触しない言外でOKした手段を使ってくる。やりにくい。
もうやめたくなってきた。ってかほんとに帰りたい。
けど…。
「っし…!」
「っと」
あ、やばいな。いい加減まずはここから離れよう。すぐ隣は一応テストしてんだし…。さっきからキュッキュキュッキュと上履きがうるさいかも…。
一気にバックステップして階段を目指す。
「………っ……」
「……っ………」
ほんとなら『ここまでおいで~♪』とか小学生もやらないことしてあおるけど…そんな余裕がない。息づかいからもうすぐ後ろにいるのがわかる。振り向いても『タッチ』される。このスピードで『タッチ』されたらそれでまた大ケガしかねない。
あまり思ってたのと違う。楽しい感じがあんまりないなぁ…。
でも…。
「よっ…!」
四段飛ばしで一気に階段をかけ上がる。
折り返して上るときに一瞬見るとターミネーター2のT-1000みたいに手を手刀のまま走ってついてくる。こわっ!
どっか笑えもするけどマジで殺りにきてる分笑えない。
すぐさまかけあがりそのまま渡り廊下へ。2階分も一気にかけ上がると消耗が激しい。気楽に始めたけど一回でも捕まるとアウトだこれ。そして、本来の目的も忘れちゃいけない。 わはは、どんな部活やってるかな。……っと。
動きに直線でなく揺さぶりを入れる。渡り廊下は幅が広いので適当にサイドステップ。
「チッ…(スカッ)!」
タイミングバチグー。
ほーら、いちかばちかで思いっきり踏み込んできた…。
考えが殺伐過ぎて単調。うん、考えが読めそう。
パターンな敵の動きはすぐ覚えられるし簡単。ゲームと一緒。ってかこれゲームだし。
が、これで並んでしまった。すぐさま切り返して元来た道を少し戻ってさっき気になった茶道部の部屋をチラリ。うん、開いてて中見える。今の状況からはかけ離れた優雅な時間が流れてるなぁ。靴脱いで扉隔てた向こうじゃ時間が止まってるんじゃないかと走りながら一瞬見て思ってしまった。
などと思いながらもすぐに後ろに集中。ちょっと捕まえるのに難色が出てきたけど相手はまだやる気は…落ちてない。むしろよそ見してるのがバッチリ見てたようで、茶道部も見ないでこっち一直線。
うーわ…。
でも…シュウが見せる初めての顔だ。
これがシュウの本気だろう、めっちゃ怒ってるけど。
これがシュウの本当の素顔、めっちゃ怒ってるけど。
これからだ。
ここから知ってく。
まぁ、まずはひとつ目のシュウに対してわかったことのメモとしては
『チョロい』だね(笑)




