ノッキンウィル20
教室から出たぼくとシュウ。
さて、おさぼりです。
何をしよう♪ワクワクするね!
カバンはとりあえずそのまま教室には置いてかっちゃんにまかせた。
「さいで、なんか決めてる?」
「んー………そだね…」
まさか連れができるとも思わないし。正直いつもの単独行動になると思ってたもんで。けれどそんなに難しく考えることなくすぐにぼくは思い立つ。
「うん、鬼ごっこしよう」
意見を求められた、なら好きなこと、やりたいことをただ言えばいい。
「……鬼ごっこ?」
「鬼ごっこ。…ダメ?」
「ん~…いや…。……いや、でも二人だよ?」
二人で鬼ごっこ。
どっちかが鬼で追いかけ、どっちかが追いかけられる。タッチされたら立場交代。
それは運動面で二人の間に差があると、ことごとく劣っている方に面白味がなくなるし、一方がやる気をなくして立場放棄すれば自然鬼になって追いかけるの止めてゲームとして成り立たなくなる。
「ルールはいくつか追加しよう」
シュウの体格はやや細めで運動は…ぼくより得意じゃなさそう。身長少し勝ってるのにね。ぼくはそもそも鬼ごっこ大好きで中学でも昼休みよくやってた。ハンデでもつければ…ノるかな…?
でもさ、提案求められたら普通、自分のフィールドのものを言うよね?
ここは値切るのとおんなじ。まずは高めで言ってみて、それから妥協案…
「わかった」
「……………」
………………………………。
ええええ??
いいの?いいならいいけど。…。やた。
「ルールは通常通り。タッチで鬼交代。………」
……………………。
………他になんかルールってあったっけ?
とりあえずなんかしながら校内巡りたいだけだし…。あ、そだ、一応サービスしてくれたんだし…
「ハンデ、いる?」
「いらない」
あ、そ。
……………。なんかそっけないというか…。これはこれで果たして面白いのか疑問になってきた。
シュウ、この人がまだまだどんな人かよくわかんない。
とりあえず何かにつけてめんどくさそうな感じだけど…。
………………あ。
この人もしかして端からやる気ない…?
あー……。そっかそっか。始めて速攻バックレる感じか…。
それは………………………つまらないね。
じゃあこうしよう。
「とりあえず、タッチする場所は相手の身体のどこでもいい。服かすったら…どうする?」
「何でもいい」
………。いよいよバックレがチラリズム。
「じゃ、このくらい触ったらタッチとカウントしよう」
実際にシュウの肩に軽くポンとタッチして感触を共有する。………あ、なんか不快そう。ふふ。
さて、ここからここから♪
「じゃああとふたつ位。タッチだけど…そうだな、今の感触なら自分の身体が相手の身体にどうタッチしてもいいことにしよう♪」
「………ん?」
続いて…
「鬼交代する際に(捕まった方は)一発肩パンってのでどう?」
さて、どう反応する?
「………………」
「………………」
「……いくつか…。……タッチはさっきよりも強くていいんだ?」
「うん」
わかってる♪
「肩パンって肩をパンチ、だな?」
「うん」
ま、バカじゃないね。すでにこれが鬼ごっこではなくなったのはわかってるみたい。加えてこの食いつき♪
「うらみっこなし?」
「うん」
さっきからニマニマとまりません。もう早く始めたくてたまらない。シュウはいよいよ大きく深呼吸すると初めて提案してきた。
「鬼さ、最初こっちがやっていい?」
「いいともー♪」
ほいきたー!フィーシュッ♪
早速さっきまで机に着いてたこともあり準備運動~。
いっちにー、いっちにー。
「開始はそだな~…あ、そろそろ始まるだろうからそれ合図に」
「ああ…そだね」
元いた教室ではそろそろまた15分休憩が終わりプリントが配られてるようだ。静かながら紙をペラペラめくり順繰りに配られてる音がする。
よっし、ある程度体はあちこち伸ばした。ばっちこい。
『あれ?藍影くんと山吹くんは?』
『すいません、拾い食いしたようで仲良くトイレです。気にせず始めちゃって下さい』
失敬な。僕だってツツジの蜜吸うくらいでそんなに意地汚くないぞ。
「……もう名前覚えられてるのか…。ってか即座にいない奴も…」
『…しょうがない…それでは…』
お、切り替え早いっ。声だけで開始のタイミングちょっとわかりづら…
『はじめ「ヒュッ!!」』
え。
視界がなくなった。




