65話:PP―朱野宮家侵入
私達は、どうにか高い壁を乗り越えた。警備システムを避けながら、数時間掛けて、屋敷に着く。そこで、使用人と思わしき人に見つかってしまった。
「何者ですか」
「我々は、《PP》、戦略武装軍隊です」
私達は、簡潔に名乗る。すると、直後に、朱野宮静刃がやって来た。どうやら、使用人が外に居たのは、彼女をこれからどこかに連れて行くためだったらしい。しかし、拘束されている様子もないし、焦っている様子もない。朱野宮家は、もしかして、この一件の事件に関わっていないのだろうか。
「《PP》といいますと、信也君の知り合いですか?」
「ええ。私は、小向匡子。彼の戦技指導をしていました」
私から順に関係を答える。
「私は、姉弟で~す」「同期よ」「クラスメイトです」三人の回答を聞き、彼女は、私達を中に招き入れてくれた。たまには役に立つわね。あの子にちょっと感謝。
私達から事情を聞いた朱野宮家の人々は、苦虫を潰したような顔をして、何かを話そうとしては、止める。それを繰り返すこと数回。突然、屋敷の外で、シャっと何かが切れる音がした。アレに気がついたのは、私だけ。おそらく、誰かが何かを切った音だろう。しかし、誰が。敵なら、攻撃までの時間がかかりすぎだ。メールを送ってからかなり経っている。まさか、今の音は。そこで、思考は寸断される。
「実は、この屋敷には、地下に社があるのです。おそらく、そこに賊が侵入しているのだと思います。ここから以外にも、入れる穴があったはずですから」
地下の社。おそらくそこだろう。
「案内してください」
私達は、案内に従い、壁まで来る。近くの花瓶をずらすと、壁が倒れた。奥には階段が見える。
「ここから先は、危険ですので、私が案内につきます」
朱野宮静刃もついてくるようだ。
「降りましょう」
――小向匡子、姫野咲耶、姫野飛鳥、東雲紀乃、朱野宮静刃。地下の社に侵入成功。




